彼女は死んでなんかいない

浜田まひる

第1話

 彼女が店の中に入って行く。

僕は外で様子を伺う。

彼女が店から出てきた。

彼女の指には大粒のダイヤモンドの指輪がキラキラと光っていた。


 声をかけたい、でも駄目だ僕はドキドキしてたたずんでしまった。

 そこへ婚約者らしい男が彼女に近づいていった。

これじゃ勝ち目なしだなと思っていたところ、男は足早に去って行った。

 僕は気づいたら彼女のそばに近づいていた。

彼女は驚いて「何なの?あなたは!」と言った。

「僕は怪しい者じゃありません、山本蒼と申します。」

彼女は「メチャクチャ怪しいんですけど、私はあなたの事を知らないし一体何なの?」

僕は「以前あなたを見かけて一度話してみたいと思ったんです。」と答えた。

彼女は「あなたストーカーなの?」

僕の恋は終わったと思った。

けれども彼女は変わっているのか「あ~喉渇いたからお茶しない?」

何と言うチャンスだ! 


 彼女はアイスミルクティー僕はアイスコーヒーを頼んだ。

彼女はアイスミルクティーを一口飲んでから「私は中山陽菜よろしくね」いきなり自己紹介。

僕は「その指輪キレイだね」と褒めた。

彼女は「これはガラクタ、イミテーションよ、毎日退屈なのよ」

彼女は金髪に染めた髪をかきあげた。

僕のドキドキは止まらない。

彼女は「私と付き合わない?」

えっいきなり告白

僕は驚き「僕でいいの?」

彼女は「もちろんよ」

何だかラッキーな1日だ。


それからは陽菜とは何回かデートを重ねて本当の恋人になってしまった。

楽しかった日々。

彼女に本物の指輪をプレゼント、プロポーズをしたんだ、陽菜は喜んで「蒼くんありがとう、大切にするね」


 その後警察から電話があったんだ。彼女が薬を大量に飲んで死亡したと…

そんなの信じられないよ

だって彼女は嬉しそうにしていたんだよ?


 彼女は死んでなんかいない


けど彼女の死に顔は安らかだった


彼女は死んでなんかいない…


         完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女は死んでなんかいない 浜田まひる @mahiru8

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ