第3話 捨てられる科学のバグ

「ほんとどこなのよここ・・・熱くても上着脱げないし」

蒸すような暑さを感じつつも周囲の探索を始める。

全面コンクリート張りの壁面と屋根と壁そこにパイプがどこに続いているのか分からないほど長く張り付いている。

場所によってはパイプだけでできているのでは?と思うほどパイプが敷き詰めている所が多々あり、亀裂などが入っていると高熱の蒸気が噴出している箇所もあり非常に危険だ。

1時間ほど探索し何者かの微かな足音が聞こえたため人か化物かがいることは確かなようだが、前に進まなければという意思が歩を止めない。


2時間ほど歩くと足の辛さよりも高温になってきたため暑くて水を少し飲み休む。

永遠に続くこの温度に耐えきれない事を前から分かっており無理せずに歩く。

更に1時間経過した後化物に遭遇してしまった。


「黄色いところで見た化物!不味い!」

振り切れないと感じたものの亀裂が入った箇所をみつけ熱気をスライディングで避けると毛の生えた犬のような化物は警戒しながらこっちに向かおうと試みるも熱に負けてこちらにこれないようだ。

一瞬の考えがあったものの銃が効くのか気になり一発頭を狙い2発撃ちこむと奇妙な声をあげながらその場で倒れた。


「うぇ・・・」

殺してしまったと思うと吐き気が止まらずその場で戻してしまう。

まだこの狂気に身を預けれず常識をそのまま持ってしまっているアサミヤ。

少し場所を移動し休みを取る。


「なんだか暑くなってない・・・?だとしたら不味いわ・・・」

なんとなく暑さが上がってることに気づき前の部屋とは違う焦りを感じを始める。

1時間そこから立つと初夏程度の熱さが真夏ほどに変わり一刻も早く移動しなくてはならない事を告げていた。

更に1時間経つと気温が40度を超え意識がハッキリとしている今のうちに歩みを進める。

そこに非常口であろう標識が見つかりかけこみ中へ入る。



「また・・・?でも涼しいし電気とかの設備よね 触らないようにしなきゃ」

新しい部屋に来たという事もあり警戒を怠らないようにするものの先ほどの部屋の暑さにやられてしまいへたりこむ。

10分ほど休憩を取りストレッチを行い歩みを進める。

果たして進んだところでどうにかなるのだろうか?という疑問が歩いて20分ほどで出てきた。ここから戻れる可能性は?ここに安全な土地はあるのか?人がいて居住は可能か?食料が今後ここから見つかる可能性はあるのか?

全てが謎であった、悩んでいた矢先疲労が来たのか足が震えてきてしまう。

今までポジティブに捉えなんとか保ってきたものが少し亀裂が入ってしまったために起きた現象である。

どこかで休憩を眺めに取らなくては死んでしまう恐らく化物どもに食われるだろうと思っていた矢先遠くにドアが見つかった。

が、それと同時に後ろから声が聞こえた。


「誰!?」

振り向くとのっぺらぼうの様な化物がこちらを見て徐々に速度を上げて走ってくる。

言葉をしゃべらない上に近づいてくるという敵意しか感じない行動されたことでパニックになるも銃を構える。

一発ずつ丁寧に撃つも2発外してしまい焦るアサミヤ。


「痛ッ!・・・この!!!」

化物の攻撃を横に避けるも左手を殴られたのか傷をつけられる。そんな事構わず右手でナイフを首元に刺し立て続けに頭に刺すと化物はこちらを振り払いどこかへ逃げた。少し殴られ痛みはあるものの軽傷以下のためとぼとぼと歩きながら部屋を目指す

部屋に入り部屋の中を見るとこの出口一つしかなくおあつらえ向きにテーブルがあったためドアにたてかけ休憩を取ることに。


休憩をしながらこれからの事を思い浮かべる。

・部屋ごとに違いは存在し危険度も上がるかもしれない

・戦闘を2度ほどしているがどちらも銃、ナイフ共に有効だが他の化物はどうなのか

・部屋自体が危険な事もあった以上見知らぬ場所での睡眠は非常事態以外避けた方がいいかもしれない

・弾は残りマガジンが2個と拳銃の中の10発

・ナイフは血とふき取りいつもの場所にしまったが今後便利なホルダーなどがあれば腕元に装着を行いたい

・この部屋に布らしき物が落ちてるが人の痕跡かは不明

・人がいた場合救助を求め救助が無くとも出口だけでも聞く

・そもそもこの空間は何なのか

・戻れるのか

色々な事を考えるも携帯も圏外で何もできず泣きそうになってしまった。

携帯の待ち受けの実家の犬が目に入りその場で化物に聞かれぬよう声を殺し泣いてしまった。


「絶対出るんだ・・・前に進まなきゃ・・・でも今は休も」

再度扉の安全を確かめいつでも武器を取り出せる位置に置き起きたら現実に戻っていないかなどとという叶わない夢を見ながら眠りについた。


「・・・よく寝た 無事みたいね」


今日の水分を確保するためアーモンドウォーターを半分ほど飲む。

冷えたレンガの元に置かれていたため多少冷えており飲みやすく喉は潤った。

1時間ほど歩くと再度化物が現れたが慣れたもので銃弾を2発のみで倒した。


「大分化物にも慣れてきたし油断はしないけど当分は大丈夫そうね」

つかつかと極力最小限の足音で最高速を出しながら歩く。

これといった物は見当たらず歩いているとエレベーターを発見した。

すぐに行っていい物か引いた方がいいか考えていると後ろから毛の長い化物がこちらに向かって走ってきている。

それを見たアサミヤは弾の消費をしたくないという理由でボタンを押しエレベーターに乗りどこかへ向かってしまった。

その部屋では化物が虚しくエレベーターのドアに向かって唸っていた。


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