第2話 何処か辺獄か
「お疲れ様です」
定時に上がりジムへ行き一汗かいた後スーパーで食料を買いに向かうアサミヤ
「重いけど鍛えてるからこのぐらいなら大丈夫ね」
ペットボトル数本と菓子パンと野菜を買い家に帰る直後それは起きた。
「え?きゃあああああ」
体が地面の下へと落ちた。周りに人はおらず監視カメラだけがアサミヤを捉えていた
「どこよここ・・・」
黄色く湿っている耳障りな蛍光灯がついている空間に落とされた。
すぐさまスマフォを取り出し警察を呼ぼうとする。
電波が届いてないと言われ確認してみると圏外になっておりネットなども使えない。
どうしようと焦っているもたまたま持っていた食料を選別し始めた。
「菓子パンが3個とペットボトルが2個 これがあれば大丈夫でしょ・・・きっとどこかに出口があるはず・・・」
アサミヤは慌てていたもののすぐさまここは異常で長くいてはいけないと判断しスポーティな服装に着替え何があっても大丈夫なようにした。
とりあえず辺りを探索する前にスマフォで辺りを撮影し記録に残すことに。
「ア、アサミヤです 良く分からない黄色い部屋にいます 食料はまだ持つと思います 何が起きるか分かりません もしこの映像を見ていたら私を助けてください スマートフォンがあなたの手にあるということは私はダメかもしれませんが身分証をカバーにつけてあるのでそれを使って私の情報を扱ってください」
「よ、よし映像が撮影できたから人がいないかどうかとか調べる事からね」
「おーーーい!誰かいませんか!・・・おーい!」
「ここはどこですかー!助けてくださーい!」
「誰もいないみたいね」
辺りを1時間ほど歩くと見たこともない犬のような化物を遠目に見えたため急いで隠れ違う方向へ歩く。
確実に関わってはいけない物だと直感し逃げたのは正解だった。
更に2時間休憩を挟みながら歩いていると階段を見つけた。
「何これ・・・でも信じるしかなさそう ちょっと休憩してから入りましょうかね」
30分ほど休憩すると階段を登るアサミヤ。
少し長い階段を登るとコンクリートの床と壁で出来た空間に出た。
先ほどの部屋と同様異様な広さなのだろうと予想しあたりを探索する。
獣のような化物が出るかもと思いうかつに声は出せずただただ黙々と歩く。
歩き続けていると一つの段ボールのような色をした箱を見つけた。
「何これ・・・蹴ってみたけど特に反応ないし大丈夫よね」
箱を開けると何かのパーツのようなものが入っていた。
持って色々見てみると使い古されたような跡があり人か何かに使われたのだろうと推測するアサミヤ。
という事は何かしらの知的生命体もしくは人間がいるのでは?と推測し歩みを進める
再度箱発見し開けるとアーモンドウォーターと英語で書かれた飲料物のような缶を見つけた。喉が渇いており中身を手に出し匂いを嗅ぎ安全だと判断しちびちびと飲み30分待ち体に異常が無いことを確認しごくごくと飲み始める。
「うまい 若干くらくらしていたけど落ち着くし何より癖のある味が美味い!」
アーモンドウォーターをいたく気に入り半分ほど残し再び歩みを進める。
箱が道中何個かあり10個中8個は使い道の分からない意味不明な物(人の髪や焼け焦げた紙など)が入っていた。
残り2個がかなり重要だった。
ナイフと拳銃という一般人が手にしてはいけない物が入っておりここが異常な空間だと再度認識させられた。
物資が豊富にあるかもしれないという事と今後どんな場所があるかも分からないため物資を漁る旅を始めたアサミヤ。
「お この服は物が一杯入りそうだから持っていこうかな」
ポケットが異様についている薄手のジャケットを見つけ羽織る。
通気性もよく暑くないためさきほど見つけた拳銃などをしまい探索を進める。
3時間ほど歩き回り集めた現状の物資は以下の通りだ。
・アーモンドウォーター2本
・持っていた水のペットボトル2本
・菓子パン3個
・拳銃
・マガジン2つ
・ナイフ
・医療用包帯
・懐中電灯
・電池
・ポケットが異様についている薄手のジャケット
手提げのレジ袋に優先度が低い物を入れポケットには重要な物を入れる。
拳銃も試しに一発撃っており撃ち方も覚えたアサミヤ。
ナイフに関しても即構えられるようにしておりとりあえずの戦闘は大丈夫に思えた。
ジジジジ・・・ブゥーン
いきなり周囲の灯りが消えパニックになるアサミヤ。
後ろから何か音が聞こえ始めたため急いで光が漏れている部屋に飛び込む。
外から獣のようなそこまで大きくない唸り声が聞こえる。
一瞬部屋の明かりが少し届いている所にナニカの手足が見えたが光を感知したのかアサミヤを感知したのか遠ざかっていく。
10分ほど経ち警戒を続けたまま手にあったアーモンドウォーターを飲み心に平穏がもたらされていく。
ほどなくして外の通路の灯りがつくとナニカたちは声を上げながらどこかへ走り去っていたようだ。
「行ったのか・・・?あんなの遠くから銃で撃たないと絶対に負けるナイフなんて駄目だ これは非常事態だね」
弾薬を節約しようと思っていたが大きな間違いであると気づいた。
優先順位として逃げる>戦うという事にはなっていたが戦うという選択肢はかなり分の悪い本来ベットしてはいけない賭けという事を認識する。
プツンと緊張の糸が解け猛烈な睡魔が襲ってくる。
「不味い・・・これだけでも・・・」
懐中電灯をつけ自分に光を浴びせるようにアサミヤは眠ってしまった。
ガバッと起きると気を失うように寝ていた事もありかなり体力の回復はできたようだ
懐中電灯の光を消し眠気を少しの水で吹き飛ばし探索を開始する。
1時間ほどでアーモンドウォーターを2本確保でき当面の水分などは大丈夫と分かった後に空腹が無い事に気づく。
アーモンドウォーターのおかげなのか、この異常な空間なのか皆目見当はつかなかったが”空腹を感じないだけ”の可能性も鑑みて菓子パンを半分ほど食べる。
「うん やっぱりこの味美味しいなぁ」
日常の味を思い出し精神が大分落ち着くものの状況は全く変わらない。
この空間はいつまで続くのか。
そして元いた場所に戻れるのか?
更に言えば戻れる場所にいるのか?
全ては分からない。
人間如きではおおよそこの空間は理解しきれないだろうという事だけは分かっていた
そんな矢先ドアがついている場所を見つけた。
だがドアは開かず施錠されていた。
再度歩き始め2時間後アーモンドウォーターを1本見つけた直後ドアがあり再度開けようとするも施錠されている。
「うーん とりあえず開くドアを見つけようかな 銃で壊したら何があるか分からないし跳ね返って怪我をすると終わりな気がするしなあ」
3時間が経ちアーモンドウォーターを飲み干した時ドアをみつけ開けてみるとスンナリとドアが開いた。
すぐさまゆっくりと閉め周りの安全を再度確かめ拳銃を構えドアを開ける。
「・・・なんだ?ここパイプがいっぱい 何より暑い でも行くしかない」
アサミヤは止まるという選択肢を現実に帰るという希望を強く持っていたがために捨ててしまっていた。
扉が閉まりアサミヤはその空間から居なくなっていた。
もう少しもう少しだけとどまってさえすれば1分後に人と出会えたとも知らずに。
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