各放浪者放浪中につき
マターリマターリ
第1話 狂気に落ちる
「じゃあ今日はこの辺で終わりにしとくか7時だしな」
「ああ そうだな」
「じゃあな」
「またな」
ラフな格好に身をつつみ友達の家から歩いて家へ帰ることにするマツダ。
明日も休みという事で右手にスマフォを持ちながら歩いていた。
時刻は19時:10分家に帰ってゆっくり寝ようという所だった。
コンビニに寄りおにぎりを一個買いその場で食べた。
「お?なんかヤンキーが喧嘩してるから晒してやるか」
マツダがスマートフォンを他人に向けたと同時に起きてしまった。
「うわあああああああ!?」
落ちる!道の真ん中で落ちるというありえない現象に声を上げどこかへマツダは言ってしまった。
マツダはこの世から姿を消したがそれに気づくものは誰一人としていなかった。
「いってー・・・は?なんだここ」
マツダは黄色く無造作な作られたような部屋に居た。
正確に言えば落ちてきたのだった。
「おーい!誰かいるか?ここどこなんだ?おーーーーい!」
声を張り上げるも虚しく蛍光灯の耳障りな音がいずれ空間を包んだ。
誰かいないかあたりを探索することにしたマツダであったが食料などが無い事に気づき少し焦り始める。
1時間ほど歩きランダムに作られた人類が作ったとは思えない狂気の空間にいることに気づき嫌な汗が滴っていた。
ひたすら歩いているとどこからか足音が聞こえた。
声を出そうと思ったが明らかに人間の足音ではないと気づき声を潜め物陰に隠れる。
何かを探しているような獣のような息遣いが聞こえさきほどの声を出さない選択肢に正解したと知るマツダ。
声を10分ほど潜め静かに違う方向へ歩みを進めるマツダ。
更に1時間ほど経つもいまだに獣のような声は聞こえず安堵し耳を立て周囲を探るも大丈夫そうだ。
万が一の事があると思い映像に自身の特徴などを抑えスマートフォンのロックを無効にし映像を撮影することにした。
「異常事態 SOS これを見た者は救助を頼む現在黄色い部屋だ
一体ここはどこなんだ?
外を歩ていたらいきなり無機質で同じような部屋が繋がっている
しかも広すぎる
さっきから獣のような声も聞こえる
とにかく安全では無さそうだ
私は現在撮影をしているが何かがありこれを落とすかもしれない
そのために私の顔などを伝えるため記録している
もし俺・・・マツダを見たらどうか助けてくれ
映像をここで終了する」
映像を残し何かあっても救助がくるようにしておいた。
この黄色い部屋に来てから分かった事はあまりないがまとめるとこうだ。
・無数の人工物で作られた黄色い無造作に作られた部屋が繋がっている
・蛍光灯から絶え間なくノイズが聞こえる
・カーペットは何故か湿っており口に含まない方がいいであろう
・一度元来た場所を戻ったが気のせいか構造が変わってるような気がする
・獣のような何かは友好的なのかは不明
・いつ何が起きるか全くもって不明安全性の保障はない
・脱出口があるのか一刻も早く出なくては体力が持たない
・外部との通信は圏外のためできない
「少し歩きすぎたな 休憩は取ってたが少し長めに休もう」
2時間ほどスマートフォンなどを触り位置情報などを掴もうとするも圏外となっており外部との通信はやはりできなさそうだ。
手荷物を確認すると財布、ライター、タバコ、ティッシュ、飲みかけの貰ったお茶のみで役に立ちそうなものはなかった。
タバコを吸おうとしたが濡れているものが万が一引火性の高い物だと考えるととても吸えなかった。
「どうする・・・休憩もしたしひたすら歩くか」
再度1時間近く歩くことにしたマツダ。
壁を避け通路を見渡したところ人影が見えた。
「おーい!あんたここどこか分かるか?」
人影はこちらを向いたようだ。
「な、なあ」
遅い足取りでこちらに向かってくる。
「次喋らなかったら俺はお前を敵と認識するぞ」
こちらを完全に捕捉したのか早歩きで向かってくる。
「クソ!」
異常をもっと早く察していればと後悔する間もなくマツダはぐにゃぐにゃと進路を変えながら逃げる。
確実に関わってはいけない者だった。
いや、顔が無かったのだ。そこに気づけてよかったと心の底から安堵する。
10分ほど走り足音が完全に聞こえなくなったと思った所で耳を凝らすも足音は聞こえなくなっていた。
まだ近いかもということで駆け足で10分ほどクールダウンも兼ねて走り続けるマツダの判断は正しく先ほどの異形は完全に見失っているのかうろうろしている。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
徐々にペースを落とし歩きながらストレッチを行い歩き続ける。
一口にも満たないお茶を飲み歩き続ける。
この黄色い部屋に来て約5時間弱が立った。
たびたびスマフォを見るも圏外のままだった。
「本当にここから出られるのか・・・?」
不安が頭をよぎりどうするか悩むも答えは一向に出ない。
ただただ歩き続け人ではないナニカから逃げているだけで情報が一切掴めない。
ただ寝られずひたすら警戒しつづけるだけの気が抜けない時間とても常人では後何時間もすれば耐えれず狂ってしまうだろう。
「本当におかしくなる前にここから出られるか歩いてみよう」
1時間、2時間、3時間、4時間ただただ周りを警戒しながら歩き続ける。
5時間目に差し迫った時に一つの音が聞こえた。
獣のうなり声が
息を押し殺し周りを警戒し後ろを振り向いたとき20mほど離れたたまたま直線状になっていた通路の奥に獣はいた。
人の顔に長い毛がどっさりと生えた犬型の化物という事しか分からないが明らかに敵意を向けている。
逃げようと思い走る事に。
「こっちくんな!」
たばこに火をつけ引火するかも考えず化物に投げつける。
化物はそれを避け距離をどんどん詰めてくる。
獣のように速くはないが確実にマツダの足より1割程度速いため徐々に差がつめられる。タバコやティッシュに引火させ避けさせれば多少差は開く。
7分程度走ると階段が見えそこへ向け走る。
何か変わるかもそんな思いを胸にしてしまった瞬間タバコに火をつけていたこともあり転んでしまう。
いきなり迫られるも間一髪で化物の顔を弾き飛ばし起き上がる。
よろめきながら階段へ向かうも再度転んでしまい壁にぶつかる。
はずだった。
「は?」
「お客様・・・大丈夫でしょうか?」
「は?いや?は?ここ・・・え?待ってくれここはどこだ」
「へ?いや札幌駅前のコンビニですけど・・・お客さん入ってきたんじゃないんですか?全くどういう状況なのか私では分からなくって・・・」
「ああ・・・ありがとう警察を頼めるか?」
「は、はあ・・・犯罪にでもあったんですか?」
「すまん 話す気力が無い 頼む」
「はい 分かりましたぁ」
コンビニで食べ物を買いその場で食べまくるマツダ。
これほど美味いのかと食べているとある事に気づく。
時間が19時23分。
店員に日付を聞くと日が変わっていない。
確実に明日になっているはずだがと考えるも何も分からない。
時間が経ち警察が訪れ交番で話を聞くことに。
「で?なんか変なとこにいきなり行って戻ってきたら北海道だったと」
「本当なんです!あ・・・レシートがあります」
「見せてくださいよ 東京なんでしょう?」
「そうです!ほら!」
「・・・これあなたが作ったわけではなく?」
「場所をいいますからそこのコンビニの映像を見てください」
「うーん 信じられないけどねぇ」
「お願いします 自分が狂ってるのか知りたい」
「まあ分かりましたけど」
警察が一度席を立ち確認を行うと警察が不思議そうな顔で戻ってきた。
「いや・・・私にはさっぱりだ どういうトリックなんです?」
「いや本当なんです映像も見せたじゃないですか」
「あれは確かに東京だった そしてその後あそこに・・・分からない」
「これを大々的に言って注意喚起とかするべきですって!」
「うーむ 一端の私ではとても・・・」
コンコンコンとドアがノックされ開かれると警視庁の文字が入った人たちが入ってきた。マツダの事を3人が見てくる。
「ノノムラ署長どうされたんです」
「君は出ていきなさい この方の事件は国が秘匿している事項だ」
「はあ・・・口外は致しませんので」
「それがいいだろうね 君は若い こういう事もあるんだ」
「はい・・・マツダさん取り調べあると思いますので頑張ってください」
「早く出ていきたまえ」
「失礼します」
署長と言っていた男がマツダの元へ近寄った。
「お話は聞いています。そのスマフォ、服、持っているもの全てを買い取らせていただきたい」
「は?一体どういうことか・・・」
「申し訳ないんですが あなたは禁止区域に行き逃げおおせた人間だ その人間に何があるか分からない だから持ち物は全てこちらで買い取り分析します」
「構いませんが・・・従う以外ないようですね」
「ご理解いただけて感謝いたします こちらに変えの服と100万ほど包んであります
この袋に入れていただきこちらにお渡しいただきたい」
「はい・・・出て行ってもらえませんか?」
「いえ私たちは気にしません 着替えてください」
「拒否権はないようですね」
「ご理解いただけて感謝します」
外傷が無いことを確認され服を着替え持っていた全てを袋に入れる。
「ありがとうございます。この後消毒剤を浴びていただきチャーター便で東京まで行っていただきます」
「はい・・・」
「では失礼」
皮膚がぴりぴりするような痛みが出るほどの消毒液を浴びせられた。
「ではこちらです」
飛行機に乗せられ2人と行くことに。署長は付いてこないようだ。
機内で揺られながら話を聞こうとするも「機密事項です」と言われ何とも窮屈な時間を過ごし東京についた。
目隠しをさせられ車でどこかに連れていかれた。
「お待ちしておりました生存者様 ご安心ください危害は一切加えません」
「はぁ・・・」
「まず最初にお伝えしたい事がございます」
「はい」
「あなたはこれから政府の監視下におかれます 自宅も全て捜査しました」
「それほどの事という事ですね」
「ええ 常人が居てはいけない場所に行き戻られたのです」
「なるほど?」
「確率で言えば1000分の1と言った所です」
「何がです?」
「生存して戻ってくる確率です 是非色々教えていただきたい」
「私にできることであれば・・・」
「ではお聞きします」
「あなたはどうやってあの場所へ?」
「なるほど・・・そして現在に至ると・・・」
「はい」
「未解明ですがこれは非常に興味深い結果です 基本的に誰かに協力してもらいレベル3999から出てくるのですが まあいいでしょう」
「一体私には何が何やら」
「それでいいのです」
「そしてもう1つお願いが」
「はい?」
「最初の話は嘘です あなたには今2つの選択肢があります」
「・・・」
「このトランクの金を受け取り指定の場所で一生を過ごしていただくか この場で殺されるかです」
「なるほど・・・」
「申し訳ございませんがこちらもそれほど逼迫しているのです お許しを 金は10億入っています あなたの経験はそれほど価値がありましたので全額です」
「答えは待ってもらえないようですね」
「いえいえ 3時間後でどうでしょう?食事も用意してありますし食事を取ってからお答えをお聞かせ願えればと思います」
「ありがたくいただきます」
今まで食べたこともないような美味い物ばかり運ばれてきた。金か死か迷うこともないのだが今までの全てと関係を断つということだ。選択肢は無いに等しい。
3時間が経ち男がやってきた。
「どうです?答えを聞かせていただいても?」
「金を受け取ります」
「そうですか いい判断だと思います もう人と会う事は厳しいですがインターネット上でゲームなど暇つぶしはいくらでもありますので お金が無くなっても生活の保障はいたします 危害は決して加えません 今回は本当ですから」
「信用しますよ」
マツダは元より選択肢がない選択を行い二度と人の世に出れないままこの世を去った
「もうあちらに行かないでくださいね」
「えぇ・・・では・・・」
マツダはどこかへ連れていかれ消息を絶った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます