第17話


「「えっ?!」」


 私たち姉妹と柚鈴ちゃんは玄関から聞こえた声にとても驚く。マリナちゃんは何が起こっているのか分かっていない。


 玄関からした声の主の足音が近づいてきて、私たちのいるリビングのドアが開いた。


「いらっしゃい。柚鈴ちゃん」


「「おかえり!お母さん」」


「お邪魔してます。有美子さん」


 そう、私たちの母が帰ってきたのだ。


「あれ?私の知らない人がいるけどその人は誰?」


「我はマーファリナ・クインという。お邪魔しているぞ」


「えっと、雪菜、夏葉?どうゆう関係の方なの?説明してくれる?」


「あの〜。えっと〜」


 私はこの世界で2度目となる説明を開始する。知らない人が聞いたら、なかなかに恥ずかしい話だと思うのだが、夏葉もそうだがお母さんもちゃんと最後まで聞いてくれた。


 全ての話を聞き終わったお母さんは、マリナちゃんに話しかける。


「えっと、何でお呼びすればいいですか?」


「マリナでいいぞ」


「じゃあ、マリナさんで。マリナさんはこれからどうするつもりですか?」


「どうするとは?」


「ずっとこの家に居座り続けるんですか?」


「お母さん、ちょっと!」


「いいえ、こういう事は曖昧にしてはいけません。ちゃんと決めてもらわなくては」


 こうなったお母さんはちゃんと決めて答えるまでは、会話を終わらせてはくれない。その雰囲気はマリナちゃんにも伝わったようで真剣な顔をしてから話し始めた。


「我はこの世界に来てまだ日が浅い。知らないことも多いし、出来ないことも多い。でも、やっていきたいとは思っているのだ。この世界で我が1人で生活できるまでは居らせては貰えないだろうか。必ず、できる恩返しはさせて貰うつもりなのだ」


 おおぅ、あのマリナちゃんがここまでちゃんと喋れたのか。いや、16歳だから当たり前なのか?でも、ここまでのマリナちゃんの様子を見てきた人間からすると違和感しかない。


「うん。この家にいていいわ。その代わりちゃんと手伝いとかすること。あと私のことは名前で呼ぶように」


「有美子さん?」


「そう、それでいい。よし、じゃあご飯の続きにしょう。ごめんね柚鈴ちゃんもご飯止めちゃ」


「んっ?何?」


 お母さんの謝罪に柚鈴ちゃんはもぐもぐと口を動かしながら答える。


「あぁ、柚鈴ちゃんはそうだった。何でもないわ。夏葉ご飯入れてくれる?」


「分かった」


 すぐにお母さんの前にはご飯が揃い、5人でご飯を食べ始める。若干一名すでに半分以上ないが。


「今日お母さん帰ってくるの早いね。何かあったの?」


「たまたまよ。偶然早く終わって柚鈴ちゃんも泊まりに来てるっていうから帰ってきたの」


「お父さんは?」


「あの人は海外だしまだまだ帰って来ないんじゃないかな」


「なぁ、カイガイって何だ?」


「それはね。この国の外側にある国ってことだよ。この世界はいろんな世界があって日本は周りが海に囲まれてるから海の外の国って意味で、海外っていうの」


「よく知っているのだな。柚鈴は」


「本当物知りなのね」


「えへへ〜。それほどでも〜」


 お母さんの言葉に答えた際、私は柚鈴の額に冷や汗が滲んでいるのを見逃さなかった。どうやら夏葉も見逃さなかったらしく、2人で笑い合う。


「あら、何で2人は笑ってるの?」


 お母さんたちに不思議がられるが柚鈴ちゃんのために黙っておくことにしよう。私たちはそのままご飯を続けたが、そんな時間は長くは続かなかった。


「雪菜はご飯の時に牛乳なんて飲んでるのね。私も久しぶりに飲んでみようかな」


 そう言ってお母さんが手を伸ばしたのはポッ○レモン入りのコップだった。


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