第16話


「辛い辛い辛い辛い!何なのだこれはー!」


 味噌汁を飲んだマリナちゃんが叫び出す。同じように味噌汁を飲んだ私たちは何が起こっているのか分からずポカンとしていた。ただ1人を除いて。


「はい、牛乳」


「何だこの白い液体は!これもお前の仕業なのか!?夏葉!」


 そう、マリナちゃんを除いた私たち3人の中で唯一夏葉だけがそうなることを予想していたかのように牛乳を運んできた。


「私のオレンジジュースへの恨みを軽くみた報いだ」


 やだ、オレンジジュース怖い、、、、。


「マリナちゃん、とりあえず夏葉が持ってきてくれた牛乳飲んだらいいんじゃないかな」


「しかし、柚鈴。この白い液体はのんでも大丈夫なのか?」


 まだ、口をパクパクさせながらマリナちゃんが柚鈴ちゃんに問いかける。


「これは大丈夫だよね。夏葉」


「、、、、うん」


「ん?夏葉今の間なに?」


「なんでもないよ」


 そんな2人のやりとりを見ながらまだ唸っているマリナちゃんに私は行動で見せることにした。


「マリナちゃん見ててね」


「あっ!お姉ちゃん待って!」


 私が牛乳を口に入れる瞬間夏葉が止めたのだが、時すでに遅し。


「うえっ!何これ!酸っぱ!何したのこれ!?」


 口に入れた瞬間のヤバさときたら。これをマリナちゃんにでも飲ませていたら、辛さと酸っぱさのコラボで大変なことになっていただろう。


 私は少し落ち着いてから自分とマリナちゃんの分のちゃんとした牛乳を注いで持ってくる。


「マリナちゃん。これはちゃんとしたやつだから。辛いの抑えてくれるから飲んでみて」


「ありがとうなのだ」


 マリナちゃんは少しビクビクしていたが一口飲むと次からは口の中に留めるように大事に飲んでいた。私はその様子を確認してから夏葉を睨む。


「夏葉?」


「ごめんなさい、、、、」


「それは何に対してのかなぁ〜」


「ちょっと、雪姉怖いよ。よくあるヤンキーみたいになってるよ」


 今の私そんな感じになってる?柚鈴ちゃんの言葉に気持ちが落ち着くのがわかる。こう言う時はありがたいんだよな。


 心の中で柚鈴ちゃんに感謝しながら、夏葉の答えを待つ。


「お姉ちゃんの作ってくれた味噌汁に辛子とわさびを入れたことと牛乳にポッ◯レモン入れたこと」


「わさびも入れてたんだ」


「うん、、、、」


「マリナちゃん、それは口の中すごいことになっただろうね」


「そうなのだ!柚鈴も飲んでみるか?」


「謹んで遠慮しときます」


 私は外野の柚鈴ちゃんの返事に心の中ですごい勢いで同意しながら、話を進める。


「一応聞くけどこんなことした理由は?」


「マリナが私の分のオレンジジュース入れてくれなかったから」


 いや、子どもか!


「はぁ、それだけ?」


「、、、、、、、、、うん」


 なんかすごく間があったが、まぁいいとしよう。しかし、それだけのことでここまでの事をするとは、はやり我が妹ながら恐ろしいと思う。


「ちゃんとマリナちゃんに謝ろっか」


「ごめん」


「ん〜?何を言っているのか全然わからないのだ?」


 おい、煽り性能高いなこいつ。


「辛子とわさびと生姜入れてごめんなさいって!」


 あっ、生姜も入ってたんだ。


「え〜〜?聞こえ「マリナちゃん。夏葉がここまでちゃんと謝ることもないから聞いてあげて」


 マリナちゃんの煽りは柚鈴ちゃんが静止してくれる。あのまま言っていたら今度こそどうなってたか分からないから柚鈴ちゃんが止めてくれて良かった良かった。


「お姉ちゃんもごめん」


「いいよいいよ。私に謝るよりもご飯冷めちゃうから早く食べよう」


 私たちはひと段落したので、みんなで再度ご飯を食べ始める。


 そんな時、玄関の開く音と共に家の中に声が響いたのだった。


「ただいま」


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