第14話
「お姉ちゃん。ただいまー」
「おかえりー。あれっ、柚鈴ちゃんは?」
晩御飯の準備をしようとしていると、夏葉が大きな袋を抱えて帰ってきた。1人で、なんで?
「着替え用意したりしてからくるって」
「別に貸してあげるのにね」
「私もそう言ったけど着慣れた方がいいからって行っちゃった」
まぁ、今日のマリナちゃんクソダサTシャツみたいなの貸されても困るしな。柚鈴ちゃんはそこんとこよく分かってるんだろう。
「さっきから出てくる柚鈴ちゃんって誰のことを言っているのだ?」
「マリナちゃん、醤油とか持ってきた時に夏葉の隣にいた子覚えてない?」
「覚えてないのだ」
あの時マリナちゃん醤油と海苔に夢中だったもんね。あれだけ面白がれるのもすごいと思うよ。
「今日、その柚鈴が泊まりにくるから迷惑かけないでよね。マリナ」
「迷惑とは何だ!大体ここはお前たちの家だろうが!」
「柚鈴に迷惑かけないでね」
「はい、、、」
あっ、マリナちゃんが黙った。夏葉の圧にマリナちゃんが負けている。マリナちゃんのこの家でのヒエラルキーがどんどん下がっていくね。最終的にどこまでいくんだろう。
「こんにっちは〜!」
「柚鈴きた!」
そんなことを考えていると柚鈴ちゃんが到着したようだ。
「お邪魔しまーす。雪姉さっきぶり!マリナちゃんは初めまして!私
「我はマーファリナ・クインである」
「マリナちゃんだね。私のことは柚鈴で良いよ。よろしくねマリナちゃん」
「うむ、よろしく柚鈴」
うん、良いこといいこと。夏葉との邂逅は酷かったけど柚鈴ちゃんの人となりもあるのだろうが、こっちにきて1日。マリナちゃんも丸くなったのかな。いや、それは早いか。
「お姉ちゃん。今日の晩ご飯何?」
「今日は肉じゃがかな。あとは柚鈴ちゃん食べたいものある?」
「我はオレンジジュースが飲みたいのだ!」
「それは自分で入れてね。あとご飯じゃないし」
「私、雪姉のお味噌汁飲みたい」
「分かった」
私はオレンジジュースをプルプルと入れ始めたマリナちゃんの横で鍋を並べて具材を切り始める。
「マリナ。私の分も入れて」
「自分で入れるのだ!」
「あれ〜?柚鈴もオレンジジュース飲みたいよね」
「えっ?私は」
「飲みたいよね、ね!」
「う、うん。飲みたいかな」
「ほら、マリナ。柚鈴も言ってんじゃん。ほら入れて柚鈴はお客さんだよ」
「むぅ、、、」
夏葉がマリナちゃんをいじめている。それにしても嫌な圧の掛け方プラス脅しだな。一体誰に似たんだろう。そう思いながらも私は手を出さない。
「マリナちゃん、ありがとう!」
「あれ?私の分は?」
「お客さんの柚鈴の分だけだが?」
「へぇ〜。そう言う態度取るんだ。あとで覚えときなよ」
マリナちゃんはどうやら自分の分と柚鈴ちゃんの分しか持っていかなかったようだ。夏葉を怒らせたら怖いのにどれだけ恐れ知らずなのだろう。まぁ、私には矛先向いてないし関わらないに越したことはないな。何で考えていると、私の考えとは裏腹に楽しげな声が聞こえてくる。
「ねぇねぇ。マリナちゃんがいた魔界ってどんなところだったの?何でこっちにきたの?雪姉とはどんな戦いしたの?オレンジジュースすきなの?」
「ちょっ、ちょっと待つのだ。一気に言われても答えられないのだ」
柚鈴ちゃん相変わらずマイペースなところあるな。今回はいい方向に進んだようだけど。
私は晩御飯の用意をしながら、マリナちゃんの話す向こうでの話に耳を傾けるのだった。
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