第13話
「こんなにいっぱい家があったのか」
私の隣でマリナちゃんが興味深そうに呟く。ちなみに服は夏葉の部屋にあったものを拝借させてもらった。
「何言ってるの?昨日も見たじゃん」
「昨日は雪菜に担がれていただろう!もう忘れたのか?」
「あぁ、そうだったわ」
色んなことがありすぎで昨日のことなのにもう忘れていた。本当にあの時はびっくりしたもんだ。道に自分が倒したはずの魔王が倒れているんだから。
そんなことを思っていとポケットの中に入っていたスマホが鳴った。それに返しているとマリナちゃんが隣で声を上げる。
「夏葉!いつまで立ち止まってあるのだ!我は目的にまでの場所は分からんぞ!」
「ちょっとそんなに大きな声じゃなくても聞こえるって」
「いや、我さっきから呼びかけておったが、全然だったぞ」
「あっ、そうだったの。それはごめん」
「うむ。分かればいいのだ」
「それで行き方だっけ?次の道を右だね。その次は左、最後は真っ直ぐ。そしたら見えて来るはずだよ」
「そうか!」
そう言って走っていってしまうマリナちゃん。よく知らないところでよくそんな走っていけるなと思うのだが、今はそんなことを言っている場合じゃない。
「そこ違う!そっち右じゃなくて左だし、元々その道じゃない!」
だめだ。聞こえてない。
結局、そのまま間違えていってしまったマリナちゃんを追いかけて発見し、元の目的地に到着したのは昼を過ぎてしまっていた。
「もう家の外にいる時は離れちゃだめだからね。分かった?!」
「分かった、分かったからそんなに怒らないでくれ」
「それはマリナちゃんが分からないからって、留まるんじゃなくて知らない道に進む性格してからでしょ!どれだけ私が探すの苦労したか!」
道にいる人に髪の赤い人通りませんでしたか?なんて聞いたの初めてだったわ。まず話しかけないし。
「ご、ごめんなさい」
「反省もいいけど、ちゃんと離れないでね」
「分かった」
「よし、じゃあ店の中に入るよ」
一応マリナちゃんと手を繋いで私は店の中に入ったのだが、、、、。
「はぁ、もうはぐれた」
店に入った瞬間すごい勢いでどこかに行ってしまった。まぁ、流石に店内のものを勝手に開けたり、食べたりしないだろう。しないよね?
私はカゴを取ってから買い物を開始した。
「えっと、オレンジジュースに玉ねぎ、じゃがいも、っと」
独り言を呟きながら買い物をしていると何やらおかしな会話が聞こえてきた。
「だって〜。夏葉の家にお泊まりなんだもん。今夜は寝かさないぞ」
「わ、私の体で何をするのっ!」
「それはもうあんなことからこんなことまで手取り足取りこの私が教えてあげよう」
「あんたたち何やってんの?」
私が会話主の2人に声をかけると、2人ともとても驚いたような顔をしてから挨拶してきた。
「あっ、雪姉久しぶりです!」
柚鈴ちゃん。夏葉の親友で私たちの幼馴染にあたる。私からしたら2人目の妹って感じ。
それに夏葉も合わせて3人で会話していると途中でマリナちゃんが帰ってきた。右手にノリ左手に醤油を掲げて。
「雪菜〜。これ!これなんだ?!真っ黒、真っ黒だぞ!」
「ごめん、また今日の夜ね」
2人に別れを告げて、マリナちゃんと一緒にノリと醤油を返しにいく。
「何で持ってきちゃったのかな?しかも、私店に入る前に言ったよね。離れないでねって」
「でも、でも」
「でももへったくれもない!次、私と離れたら首輪つけるからね」
私が圧を込めてそう言うと、マリナちゃんが首周りをさすりながらコクコクと頷く。
「分かったてくれたようで何より」
ちゃんとノリと醤油を返したあと買い物も済まし、私たちは家に帰るのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
よろしければ応援、レビュー、作品のフォローしてくれると嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます