第12話


 朝、意識の外から声が聞こえてくる。


「うわっ、やっぱりお姉ちゃんと一緒に寝てる。気持ちよさそうに爆睡しがって。こうしてやるっ」


ぼすっ、、


「うっ、、うぅ〜ん」


「ふん、いい気味だ。あっ、お姉ちゃん起こしに来たんだった。お姉ちゃん!私朝ごはんちゃんと作ったからね。学校行ってくるね」


「うぅん。ぃっ、てらっしゃぃ、、」


 私は微睡の意識の中夏葉に挨拶をする。何か言っている気がするが、やはり眠気に負けてしまった。


「お姉ちゃん、寝顔も可愛い、、、、、」


●●●●


「はっ!」


 朝9時半。私、再起床。


 1回夏葉に起こしてもらった気がするんだけど何伝えに来てくれたんだろう。記憶が朧気過ぎてやばい。とりあえずマリナちゃんを起こすことにしよう。


 そう思って私はベットへと向かう。


シュコーシュコーシュコッ


 あれ?何でマリナちゃん顔面に枕置いて寝てんの?すごい息しづらそうなんだけど。たまになんか詰まってんじゃん。


 枕をどかしてあげてから声をかける。


「マリナちゃん、朝だよ、起きて」


「あ、あとフガフガはガフが」


「寝起き過ぎて何言ってるのか分からないから。はい、ちゃんと起きる」


「あと、あと一杯の、、、」


 私が声を大きくして呼びかけても起きる気配のないマリナちゃんの顔に水をかけてやる。


「きゃっ!」


 えっ?何今の可愛い反応。


 私は静かに2回目を投下する。


「きゃっ!」


 さ、3回目。


「おい、雪菜?」


あっ、、、、。


「朝っぱらから何遊んであるのだ?」


「ごめん、ごめん。マリナちゃんの反応が可愛いもんだからつい」


「雪菜のせいで顔がビチャビチャではないか」


「下におりてご飯に、あっ!そうだ。夏葉が朝ごはん作ってくれてるんだ」


 私は自分の忘れていたことを思い出す。なんてことだろうか。夏葉作りたてホカホカの料理を食べたかったというのに、眠気に負けてしまった自分を恨む。


「マリナちゃん。早く降りよう。早く!」


「なんだ。急に焦り出して。さっきの朝ごはんが何だかが関係してるのか?」


「説明はいいから降りる!」


 急いで降りた私、そこには机の上に置かれた冷めきった朝ごはんたちだった。


「あぁ〜。レンチンとは暖かさが違うんだよ〜」


 嘆きながらレンジへと朝ごはんを突っ込む私、お味噌汁は温め直す。


「はい、マリナちゃん麦茶これでも飲んで待ってて」


「昨日も出てきていたが、これも我は初めて飲むな」


 そう言いながら、何も疑わずに飲んでくれる。ちょっとは信用してくれたのかな?それともただ毎回疑うのもめんどくさくなったのかな?


「むっ!これも美味しいな。しかし、これは甘くないな。我はもっと甘いもの好きだな」


「いやいや、お茶で甘いのって言ったらそんなにないから。そういうものだから」


「そうなのか。じゃあ、これから我にはオレンジジュースを出すのだ!」


「糖尿病になるからダメです〜。けど、オレンジジュース無くなったから買いに行こうか」


「100本ぐらい買って来るのだ!」


 私の言葉を聞いてノリノリになったマリナちゃんが買ってきてもらう前提で私に話しかけて来る。そんな態度取られちゃうとなぁ。


「欲しいものがあるなら自分で来ないと買ってあげないよ〜。マリナちゃ〜ん」


「じ、じゃあ早く行くぞ。我を連れていけ!」


 うん。行く気満々になってくれたのはありがたいけど、ご飯食べ終わってマリナちゃんの今着てる服どうにかしてからだね。


 私は昨日夏葉がマリナちゃんに貸した、超絶ダサいTシャツを見ながらそう思うのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 よろしければ応援、レビュー、作品のフォローしてくれると嬉しいです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る