第11話
@夏葉視点●●
「ちょっと待って、今マリナって子が夏葉の家にいると。さらにその子は帰る場所がないからそのまま夏葉の家に住むかもしれないと」
「そうなの!しかも、こっちの世界のこと全然知らないからお姉ちゃんがほぼ付きっきりになって教えてあげてるの。昨日なんて一緒に寝てたし!ずるい!」
少し感情的になっている柚鈴に対して、私も感情的に叫ぶ。そして、ここが学校であることを思い出して、2人揃ってテンションを落ち着けた。
「はぁ、じゃあマリナさんはほとんど雪姉と一緒なんだ」
「うん」
「そういえば、そのマリナさんの事は
「ううん。お母さんたちにはまだ伝えてない」
なんなら、私も最近会えてない気がするし。一生懸命私たちのために働いてくれてるのは嬉しいけど、体を壊さないか心配になる。
「そっか〜。けど、有美子さんたちなら普通に迎え入れそうだけどね」
「そうだね。多分お母さん達なら許してくれると思う」
「ねぇ、夏葉。今日夏葉んち泊まっても良い?」
「えっ?」
柚鈴の突然の問いかけに驚く。
「急にどうしたの?」
「さっきの話聞いたら、そのマリナさんのこと気になっちゃって。明日は休みだし別に良いでしょ?」
「うぅ〜ん。お姉ちゃんに聞いてみないと。後一応お母さん達にも」
「わかった!返事きたら教えてね」
「うん」
私は柚鈴に返事をしてから、お姉ちゃんとお母さんにメールを送る。すると、どちらからもすぐに了承のメールが送られてきた。お姉ちゃんは今日休みだから分かるけど、お母さんからの返信が早いと驚いてしまう。
「お姉ちゃん達いいって」
「良し。じゃあ、早速帰ろう!」
「そうだね。あっ、でもお菓子とか買って帰りたくない?」
「いいねそれ。いっぱい買って帰って今日はマリナさん歓迎パーティーだ!」
「私は別に歓迎したくないけど」
「まぁまぁ、そう言わずに。ほら行くよ」
「はーい」
私は柚鈴に引っ張られるような形で学校から家の近所にあるスーパーへと向かった。
「ふんふふ〜ん」
「何でそんなノリノリなの?」
「だって〜。夏葉の家にお泊まりなんだもん。今夜は寝かさないぞ」
「わ、私の体で何をするのっ!」
「それはもうあんなことからこんなことまで手取り足取りこの私が教えてあげよう」
「あんたたち何やってんの?」
私たちがノリノリで会話していると、よく知った声が聞こえる。
「あっ、雪姉お久しぶりです!」
「久しぶり、柚鈴ちゃん。今日泊まるんだって?」
「はい、よろしくお願いします!」
「いやいや、そんなに畏まらなくても」
2人は私抜きで会話を進める。なんか、面白くない。
「お姉ちゃんは何でいるの?」
「それは久しぶりに柚鈴ちゃんも来るって言うし、マリナちゃんもいるから食料買いに来たんだよ」
ここで私はお姉ちゃんが1人でいることに気づく。あれ、マリナ家にお留守番?でも、あれを家に1人でいさせるとも思えないし。
そう思っていた時だった。
「雪菜〜。これ!これなんだ?!真っ黒、真っ黒だぞ!」
「それは醤油と海苔だね。今日はいらないからちゃんと置いてあった場所に戻してきてね」
「わ、忘れたのだ」
そのマリナの言葉を聞いてからお姉ちゃんは私たちの方に一旦の別れを言ってから去っていった。嵐のようだな。
「ね、ねぇ。あれがマリナさん?」
その様子を見送ってから柚鈴が私にそう聞いてくる、
「そう。あれがマリナ。お姉ちゃんに倒された弱々魔王らしいよ」
「可愛かったね」
「いや、あれでもお姉ちゃんと同い年だからね」
「えっ?」
私は久しぶりに柚鈴の間抜け顔を拝めたのであった。
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