第6話
「マリナちゃんって私と同い年だったんだ」
私は見た目と精神年齢的に年下だと思っていたので少し考えを改めることにする。けどまだ嘘をついてる可能性があるか。
「雪菜、今「もっと年下じゃない?」って思ったろ!そんな事ないぞ。ちゃんと16歳で、そこの夏葉より年上なんだからな!お姉さんなんだぞ!何ならお姉様と呼んでくれてもいいんだぞ」
「私のお姉ちゃんは、お姉ちゃん1人なの!お前なんてお前で十分!」
「何だと!じゃあ、夏葉。お前もお前で十分だ!」
「はいはい、喧嘩しないの。あとお互いのことは名前で呼ぶように。これは決定事項です」
「「でも!」」
「「でも!」何?」
「「何でもないです、、、、、、」」
いや、君たち本当に仲がいいね。もう反抗や返事がピッタリじゃないか。お姉ちゃん、少し妬けちゃうな。
「まぁ、ひと段落ついたしご飯にしようか」
私はチラッとマリナちゃんの顔を見る。私には聞こえてるんだよね。さっきからマリナちゃんのお腹が小さくなってるこ・と。マリナちゃんは私のその視線に気づいて少し顔を赤くしている。なに!?この子可愛いんだけど!
「ちょっと!何お姉ちゃんマリナに視線送ってるの?!」
「さっきから誰かさんのおな」
「雪菜!」
「ごめん、ごめん。からかいすぎた」
私が夏菜に報告しようとするとマリナちゃんに叱られてしまう。ってあれ?夏葉どこ行った?
そう思って、辺りを見渡すと夏葉はすでにキッチンで晩ごはんの準備をしていた。さっきまで目の前にいたはずなのに。
「あれ?なんか今日のカレーちょっと違う?」
「あっ、気づいた?それマリナちゃんと一緒に作ったんだよね」
「あぁ、我がつくったのだぞ。そのかれーは」
「い、一緒に作ったの?」
「うん、さっきからそう言ってんじゃん」
「仲良く?」
「えっ?」
いや、顔が怖いよ夏葉。マリナちゃんなんて震えちゃってるじゃん。
「だから一緒に仲良く作ったのかって聞いてるのマリナ!」
「な、なぜ我がこんなにもキレられないといけないのだ」
夏葉の声にプルプルになりながらそう私に聞いてくるマリナちゃん。いや、さっきまで貴方たち言い争ってたでしょ。その勢いはどうしたんだよ。
そう思いながらも私はまず夏葉を宥めにかかる。
「ちょっと、夏葉落ち着いて。マリナちゃんがこっちの技術が知りたいからって一緒に作っただけだから。そんな悪いことしてないから」
あれ?なんか自分で言ってて不倫した彼氏みたいなこと言ってない?私。
「ま、まぁ、お姉ちゃんがそう言うならそう言うことにしといてあげる。でも、これからマリナが料理する時は私とだからね」
「でも、夏葉学校とか勉強で忙しいんじゃない?私がマリナちゃんの面倒は見るよ」
「大丈夫。それぐらい。そう言うことだから、マリナ、また料理がしたくなったら私に言ってね」
「わ、分かった。次があれば夏葉に頼むことにしよう」
「それでいい」
夏葉はそう言ってからお皿にのったお米にカレーをかけ始めて、晩御飯の準備が始まった。わたしはマリナちゃんが料理している最中にパパッと作ったおかずたちを出して、マリナちゃんに運んでもらう。
たまに夏葉からの視線を感じることがあったが、いつもの事だし気にしないでおこう。
そうこうしているうちに晩御飯の準備が完了したと思ったのだが。
「な、なぁ、なんか我のだけかれーが少ない気がするのは気のせいなのか?」
「気のせいだよ。じゃあ、いただきまーす」
「ちょっ、ちょっと待って夏葉。マリナちゃんのあの顔見て」
マリナちゃんの言葉を気にすることなく自分の皿にスプーンをのばしていた夏葉をとめて、マリナちゃんの方を見てもらう。
「、、、、、、、わ、分かったよ。わたしが悪かった。入れてきてあげるからそれ貸して」
「うん、、、」
流石の夏葉もしょぼくれて今にも泣きそうなマリナちゃんには敵わなかったのだろう。ちゃんとした大きさの皿に入れ直してあげていた。
その後、満面の笑みになったマリナちゃんと少し不機嫌さを増した夏葉との晩ごはんは非常に気まずいものとなったのは言うまでもない。
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