第4話
「「ぐぅ〜」」
科学技術の発展をどう見せようか悩んでいたところ2人のお腹が同時になった。そして、それと同時に私の頭には雷にも似た閃きが生まれた。
「マリナちゃん。一緒に晩御飯作ろっか。もうちょっとしたら妹も帰ってくると思うし、そしたらみんなで食べれるように」
「そ、そんなことより魔法を使わなくてもいい理由を」
「はいはい分かったから、これ着て」
私の言葉に納得してないマリナちゃんが説明を急かそうとするが、ネタバレすると面白くないので、無視してエプロンを渡した。
「何だこの布切れは、雪菜は我にこれを着ろと言っているのか?!」
「うんそうだよ。ほら見てよ。私だって着てるでしょ」
「わ、分かった」
マリナちゃんは私の姿を見て納得したのか、手に持っていたエプロンを着ようとし始めた。
まぁ、着ようとし始めたはいいけど全然着れてませんけど。
「ここに頭を通して紐を後ろで結ぶんだよ」
「見ろ雪菜!着れたぞ!」
エプロンが着れたことを目を輝かせながら報告してくれるマリナ、なんて可愛い子!
それにしても、フワフワドレスにエプロンってなんかメイドさんだよね。本人に言ったら絶対に怒り出すから言わないけど。
「ゆ、雪菜?なんかすごいニヤニヤしてるぞ」
「何でもないよ〜。じゃあ、マリナちゃんも着替えられた事だし、今日はカレーを作りたいと思います!」
「かれー?」
「どんな料理かは完成してからのお楽しみだよ。ということで、まず手を洗います」
私はそう言いながらレバーを上げて水道から水を出し、ハンドソープをつけて綺麗に洗う。次はマリナちゃんの番だと変わってあげようとして、後ろを振り向いた所すごい顔のマリナちゃんがそこにいた。
「ど、どうしたの?すごい顔して」
「何だその綺麗な水は、その泡穴は、そしてその水が出る蛇みたいなものは!」
あっ、そういえば料理作り兼科学技術の発展だっけ?
私はマリナちゃんの驚きに本来の目的を思い出し、少しのマリナちゃんイジリ欲が生み出されていくのを感じる。
「これは水道って言うんだよ。レバーを上げたり手をかざしたり、蛇口を捻ったら水が出るの」
「これは魔法ではないのか?」
「うん。人もいないし魔法陣もないでしょ。早速マリナちゃんも手を洗おうか。そのレバーをこっち側に上げるだけでいいよ」
「よ、よし。これだな。おっ、水が出たぞ!水が、、、、、、?熱い熱い!」
「あっはっはっはっ」
「雪菜!貴様なにをした!」
「いや別にレバー上げたって言っただけだよ。ただちょっと上げる向きを間違えればお湯が出るけど」
「そんな事があるか!」
「じゃあ、他は向こう向きに上げてみたら」
マリナちゃんは私の言葉を聞いて疑い深くレバーを向こう側にあげる。
「熱っ、、くない?逆に冷たいぐらいだ。何だこれは?やっぱり魔法だろ!」
「違うって、まぁいいや。手を濡らせたら石鹸で洗って」
そこからはすごかった。泡の存在に驚き、タオルの吸水性。食材を出す時の冷蔵庫、鍋を温めるIH。もう、うるさいとも思えるぐらいにいちいち反応を返してくるマリナちゃん。
カレーが出来上がる時にはそう2人揃ってヘトヘトになっていた。
「これがかれーというものか?途中から思っていたが食べ物とは思えぬ色をしているのだが」
「だけど、すごくいい匂いがしてるでしょ。食欲をくすぐるような。その証拠にマリナちゃんのお腹ずっとちっさく鳴ってるしね」
その言葉を聞いたマリナちゃんの顔がすぐに赤く染まる。
「な、な、別にいいだろう!我のお腹が空いたのは事実なんだし」
「そうだね。だけど、多分もう妹が帰ってくるからそれまで待っててね」
「雪菜最初にも言っていたが、どんな妹なのだ?」
「私の妹はね」
「お姉ちゃん、ただいまー!」
噂をすれば何とやら、ちょうど夏葉が帰ってきた。
「おかえり!我、妹よ!」
あっ、やばっ。マリナちゃんの言葉遣いが混ざっちゃった。
「ただいまー、お姉ちゃん。って!誰よ、その女!」
へ?
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