第18話 1.3.2 自己紹介

 俺は地理の勉強をしていた。


 ちなみに得意科目だ。


 参考書ルートは黄色本→演習本→実力をつける地理100題→標準精講だ。


 地理は共通テストだけで使うのでここまでガッツリやる必要はないのだが得意科目なので極めて共通テストで100点を取ろうと考えている。


 黄色本と演習本は解説が充実しており丁寧で基礎固めにはもってこいだ。


 実力をつける地理100題は応用問題を解くために使う。


 標準精講は難問を解くために使う。


 地理は知らない地名が出てきたらその都度地図帳で確認する習慣をつけたい。


 ☆


「ええええ!?空音先輩!?」


「光介君!?本当に光介君なの!?」


 水瀬空音。


 直奈ちゃんを除けば俺が初恋した女の子だった。


 知り合ったきっかけは図書委員会だった。


 俺は読書が好きなので図書委員会に入った。


 その女の子は俺の1コ上先輩だった。


 最初見たとき眼鏡をつけていてかわいい子だと思った。


 メガネを外したところあまりの可愛さに俺は恋に落ちた。


 奇跡が起こった。


 図書委員会の当番で担当が空音先輩とペアになったのである。


 俺は図書委員会の担当の日が楽しみになった。


 空音先輩の顔が見たかったのである。


 2人でいるときは緊張して顔を赤らめていたので好意がバレバレだったと思う。


 空音先輩はそんな俺にも優しく図書委員会の仕事を教えてくれた。


 図書委員会で仕事を一緒にしたときにこう言われた。


「光介君って優しいね。光介君みたいな人好きだな」


 好き……!?好き……!?俺のことが好き!?完全に脈ありじゃないか!!


 それで俺は決意した。告白することを。


「空音先輩、す、す、好きです!!付き合ってください!!」


 空音先輩は伏し目がちにこう言った。


「ごめんなさい。光介君は仲のいい後輩としてしか見られないの」


「でも俺のこと好きってこの前言ってたんじゃ……!?」


「あくまで後輩としてだよ」


 その後、空音先輩は転校した。


 俺の初恋は失恋に終わったのだった。


 ☆


 その空音先輩が俺の目の前に現れたのだ。


 驚くなという方が無理があろう。


「ん?何だ2人とも知り合いなのか?」


 源治さんがそう聞いてくる。


「中学が一緒だったので……」


「これも何かの縁か……。Vtuber候補は空音だけではないぞ。春香はるか千夏ちなつ衣実璃えみりもいるからな。お前たち自己紹介しなさい」


「長女の空音だよ。高校2年生だよ。アニメ、マンガ、ゲームが趣味のいわゆるオタクでオタク以外の趣味は読書。ってこのことはもう知ってるか、てへっ。改めてよろしくね、光介君」


 空音先輩は見ない間に大人びて成長したような印象を受けた。


 髪もショートヘアからセミロングになっていて落ち着いたお姉さんに変貌していた。


「次女の春香です。中学3年生です。アニメ、マンガ、ラノベ、ゲームが趣味ないわゆるオタクでオタク以外の趣味は料理です。三女の千夏とは双子です」


 春香ちゃんはショートカットでメガネをつけておりどことなく中学時代の空音先輩を思い出させた。


 正直に言えばとてもドキドキした。


 中学時代の空音先輩に話しかけられてるみたいで。


「三女の千夏です。中学3年生です。アニメ、マンガ、ラノベ、ゲームが趣味ないわゆるオタクでオタク以外の趣味はテニスです。次女の春香お姉ちゃんとは双子です」


 千夏ちゃんはサイドテールをしていて快活そうな印象を受けた。


「四女の衣実璃です。中学1年生です。アニメ、マンガ、ラノベ、ゲームが趣味ないわゆるオタクでオタク以外の趣味は家庭菜園です。よろしくお願いします」


 衣実璃ちゃんはゆるふわな髪をしておりガーリーな装いをしていた。


 正直言ってどの子も可愛い美少女で俺にはもったいないくらいだった。


「俺も自己紹介しますね。高坂光介です。高校1年生です。モデル兼マネージャーでシトラス症候群の研究医を目指しています。俺もアニメ、マンガ、ラノベ、ゲームが趣味ないわゆるオタクでオタク以外の趣味は読書です。よろしくお願いします」


 こうして俺たちは自己紹介を済ませたのだった。


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