第15話 1.2.8 打ち合わせ

 俺は数学の勉強をしていた。


 参考書ルートは教科書例題→傍用問題集→フォーカスゴールド(FG)→プラチカだ。


 まず、教科書例題で基礎を固める。


 次に傍用問題集で計算を鍛える。


 ここでは計算はできるだけ省略せずちゃんと1行1行丁寧に書くことをおすすめする。


 フォーカスゴールドはパターン暗記に使う。


 数学はある意味、暗記科目的な側面があると思う。


 分からない問題があったらすぐ答えを見ていいと思う。


 考えている時間はもったいないし、まだ基礎を固めてる段階は思考するパーツが揃ってないからだ。


 こんなこと言うと数学の先生から怒られそうだが。


 プラチカは応用問題を解くために使う。


 ☆


 8月上旬。


 俺は琴音と朱音とともに東京に来ていた。


 東京でキミキセの打ち合わせに参加する2人にマネージャーとして同行している。


 打ち合わせ時刻の30分前。


 俺たちはスタジオに着いた。


「おはようございます」


「おはようございまーす」


 声優にとって挨拶は基本のきだ。


 2人にはハキハキ大きな声でするよう指示している。


「2人とも久しぶりー」


「ふん、よく来たわね」


 桐原さんと水原さんだった。


 2人は知り合いを見つけて安心したようだ。


 緊張がほぐれたのが分かった。


「お久しぶりです。お二人とも」


「冬湖ちゃんと天衣ちゃんだー。合格してから直接会うの初めてだよねー」


「こうして合格してから会えるなんて感慨深いね。本当に私たちアイドル声優になったんだね」


「私、心配なんだ。本当は全部夢なんじゃないかって。本当現実離れした話だよね、私たちがあのキミキセのアイドル声優だなんて」


「ふん。また庶民は小さなことで悩んでいるのね。これは現実よ、現実」


「琴音ちゃん、ちょっと私の頬をつねってくれない?」


「あ、私も私も」


「分かりました。こうですか?」


 琴音が桐原さんと朱音の頬をつねる。


「「イタタタタ」」


「痛いってことは夢じゃないってことか」


「うん、まだ信じられないよー」


 そのときだった。


 その人がやってきたのは。


 その人はその空間にいる全ての人の視線を持っていくそんな不思議なオーラがあった。


「おはようございます!!七瀬カレン到着しました。」


 そうその人とは七瀬カレンである。


 七瀬カレンは敬礼をしていた。


「本物の七瀬カレンさんだ!!」


「私と同じ高貴な雰囲気があるわね」


 そうか桐原さんと水原さんは初対面なのか。


「カレンさん、お久しぶりです」


「カレンちゃんと仕事を一緒にできるなんて光栄だよ」


「朱音ちゃんありがとねー。琴音ちゃん久しぶり。そっちの2人ははじめましてだよね。これからよろしく」


「あのあの、七瀬さんサインもらってもいいですか!?」


「ふふ、私のファンなのかな、全然OKだよー」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


「ふん、冬湖ミーハーすぎて下品よ」


「な、なんだと天衣……あの七瀬カレンさんだぞ。天下一のアイドル声優として人気を独占する」


「知らないわ」


「はあああ!?あの七瀬カレンさんを知らない!?あの七瀬カレンさんを知らない!?」


 桐原さんが珍しく興奮していた。


 よっぽど七瀬カレンさんのこと好きなんだな。


 どうやら桐原さんは七瀬カレンの大ファンらしい。


「七瀬カレンさんはアイドル声優界の天使といってもいい、いや女神様だ!!そんな七瀬カレンさんを知らないとはお前さてはにわか声優だな?」


「誰がにわかよ、誰が」


「まあまあ冬湖ちゃん落ち着いて。カレンちゃんちょっと引いてるから」


「ハッ……失礼しました。上田佳奈役の桐原冬湖です。以後お見知りおきを」


「倉橋ルリ役の水原天衣です。どーしてもと言うなら仲良くしてもいいけど」


 桐原さんが水原さんにチョップをする。


「こら天衣、またツンデレ要素出さない。この子根は真面目でいい子なので仲良くしてあげてください」


「だ、誰がツンデレか!!」


「冬湖ちゃんと天衣ちゃんだね。覚えておくよー」


 こうして桐原さんと水原さんは七瀬カレンとファーストコンタクトを行ったのである。












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