第13話 1.2.6 最終選考
俺は英単語の勉強をしていた。参考書ルートはデータベース4500→シス単と英単語アプリmikanである。英単語は1日に300単語これを6周しようと考えている。データベース4500は中学英単語の勉強をしっかりした人向けなので中学英単語に自信の無い人はデータベース3000を使うのがオススメだ。シス単は第4章だけは難しいのでやらない方が無難だ。
英単語アプリmikanはゲーム感覚で英単語を覚えられるので俺は夢中になって勉強してる。mikanにはランキングがあるのだがその上位100位以内に入れるように頑張っている。勉強が楽しいというのは初めてだった。
☆
7月上旬。俺たちはキミキセのアイドル声優オーディションの結果通知の電話を待っていた。
正午。電話が来る時間だった。
「お兄ちゃん、いよいよ……いよいよですね」
「私、緊張しすぎて心臓が口から飛び出そうだよー」
プルルルル。俺は電話に出る。
「もしもし、こちら星野プロダクション」
「こちらキミキセのアイドル声優オーディションの者ですが……」
「……はい……はい……そうですか!!ありがとうございます」
「お兄ちゃんどうだったんですか?」
「お兄、結果、結果は!?」
俺は2人にピースサインを作る。そして電話を切る。
「3次選考通過!!おめでとう!!」
「やったああ!!」
「嬉しい……嬉しいです、お兄ちゃん」
琴音は嬉しさのあまり泣いていた。
「おいおい泣くのはまだ早いだろー。その涙は最終選考まで取っておけよ」
「あ、LINE来てる。冬湖ちゃんも無事に3次選考通過したって」
「それは良かった」
3人が3次選考を無事に通過できて良かった、そう思った。
☆
最終選考前日。俺たちは東京にいた。東京で七瀬カレンの指導を受けるのだ。
「2人とも3次選考通過おめでとう!!」
「ありがとうございます」
「テンキュー、カレンちゃん」
「最終選考は歌とアフレコだったよね。合格まであと一歩、気合い入れて指導していくよ」
「はい」
「はーい」
それで七瀬カレンの指導が始まった。前回に比べて幾分熱を帯びているようだ。
「……もう時間か。2人ともよくここまで私についてこれたね。もう私が教えられるものはないかな」
「ありがとうございました、カレンさん」
「ありがとね、カレンちゃん」
「もう私から言えることは何も無いよ。自信を持って最終選考に臨んでね」
「はい」
「はーい」
☆
最終選考当日。
待合室のドアを開けると先客がいた。
「あら、あんたたちもキミキセの志願者?」
「そうです」
「そうだよー」
「ふん、私にとってこんなオーディションお遊びみたいなものだけどね。私が合格するのは当然だし!!」
自信家で高飛車なお嬢様のようだ。
「自信満々だー。そのつよつよメンタル見習いたいー」
「ふん、庶民は庶民らしく私を崇めなさい」
「こらっ
背後からお嬢様にチョップする。桐原さんだった。
「あっ冬湖ちゃんだー」
「お久しぶりです、冬湖さん」
「2人とも久しぶり。この
「だ、誰がツンデレか!!……で、でもあんたたちがどーしてもと言うならLINE交換をしてあげてもいいけど」
見事なツンデレだった。
「はい、ぜひよろしくです。水原さん」
「天衣ちゃん、よろしくー」
最終選考では実際にアフレコをする。時間は10分間だった。琴音と朱音は2人の持つ全身全霊の力で涼奈と絢奈を演じてみせた。聞いてみたところこれまでで最高の演技だったと思う。
その後は歌だった。歌は1期のOP『キミと出会えた奇跡』だった。2人ともカラオケで95点以上スコアを獲得していたので歌は心配してなかった。2人とも最高の歌だったと思う。
「2人ともお疲れ様。ジュース飲むか?」
「ありがとうございます、お兄ちゃん」
「ありがとう、お兄。……くぅ〜染みる〜」
朱音がビールを飲む中年のおじさんのようにジュースを飲む。その後、2人は桐原さんと水原さんと今日のオーディションについて話していた。
「冬湖ちゃん、今日の最終選考どうだった?」
「いつも通りの自分のパフォーマンスを出せたと思う」
「えー、すごーい。私、緊張で何言ったか覚えてないよー。結果が出るまで心臓バックバックだよー」
「ふん、庶民は不安で眠れない夜を過ごしてなさい。まあ、高貴な私が合格してるのは当然だけどね。緊張なんて全然してないんだからね」
「あはは」
4人とも合格してくれ、そう願う俺だった。
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