第11話 1.2.4 2次選考
6月上旬。琴音と朱音はキミキセのアイドル声優オーディションの2次選考に進んでいた。条件だった芸能事務所への所属を星野プロへの加入によって達成した2人は2次選考のサンプルボイスの収録という課題に取り組んでいた。
俺はスタジオでサンプルボイスの収録に付き合っていた。2人が狙っている役は双子の役である。リアルでも双子の2人なら経験不足でも演じきることができるだろうと思ってのことである。
ちなみにキミキセでのアイドル声優オーディションでは6人募集されている。9人で再び物語が動き出す、なぜなら9は絶対数だからだ。
「お兄ちゃん、おはようございます」
「お兄、おっはよー!!」
2人が狙ってる役は
「やーやー、元気にしてたかい君たち」
その人が入ってきてスタジオが騒ぎ出す。
スタジオの全ての視線を持っていく、まるで目が話せないオーラがあった。
ーーそうその人とはなんと七瀬カレンだったのである。
「七瀬さん、関西に来てたんですか!?」
「あー、うん、ちょっと仕事でね。……それよりも名前」
「名前?」
「私だけ光介君って呼んでるの不公平だから光介君も下の名前で呼んで」
有無を言わせない圧があった。その圧に怖気付いた俺はその要求を飲み込むしかなかった。
「分かりました。カレンさん」
「あはは、さんもいらないんだけどなー」
「勘弁してください。大人気アイドル声優を呼び捨てなんてできませんよ」
「お兄ちゃん、その女性って誰ですか?」
「お兄と親しげに話してる、むー」
「ああ、2人には紹介してなかったか。この人が小泉詩音役の七瀬カレンさんだ」
「ええええ!?本当ですか?」
「写真で見るのと全然違う!!写真の100倍可愛い!!」
「いやー、照れるね。そんなに私かわいい?かわいい?」
「かわいいですよ」
「本物のカレンちゃんに会えて感無量だよー」
「あの私たちからお願いがあるのですが」
「お願い?」
「七瀬カレンさん私たちをあなたの!!」
「弟子にしてください!!」
「えっ!?私にもついに弟子が……!!ふふ、嬉しい。あ、もちろんOKだよ」
それから七瀬カレンによる指導が始まった。
「琴音ちゃん、そこもっと感情を出して表現して」
「はい」
「朱音ちゃんだるそうにしない!!」
「はーい」
「……もう時間か。2人とも基礎から怪しいから基礎の発声練習宿題ね」
「はい」
「はーい」
七瀬カレンの指導によって2人の実力が徐々に向上していくことが分かった。
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