第6話 1.1.5 凪咲との交際
4月上旬。椿台は元女子校なので9割女子である。だから男子は男子同士でつるむようになっていた。
出会いは入学式の日だった。入学式の後、クラスごとのホームルームがあった。ちなみに凪咲と同じクラスだった。これで幼小中高と13年間同じクラスになることが決まったのである。腐れ縁ってレベルじゃねーぞ。
座席は出席番号順だったので凪咲とは別れた。隣りに座っていたのは美少女(なぜか男装)だった。なんとその子のサブバッグにキミキセの愛花の缶バッジがついていた。同士を見つけたみたいでつい嬉しくなり声を掛ける。
「その缶バッジ……。キミキセのファンなんですか?」
「え? ……はい、愛花は僕の嫁です。」
嫁!?
キミキセガチ勢じゃないか。さらに嬉しくなる。その後、俺たちはキミキセの2期のエンディングは神回だったとか3期7話は感動したとか話した。
「自己紹介がまだでしたね。僕の名前は藍崎瞬です」
「瞬!? 男だったんですか!?」
なんと藍崎君はリアル男の娘だったのである。
☆
俺は中学の時、1ヶ月で15人に告白され、俺がモテることを自覚した。かわいい子はいたが好きにはなれなかったから全部断っていた。
「このままだとコウ君の貞操が危ないよー。……だから私が付き合ってあげる」
こうして俺と凪咲は付き合うことになった。凪咲は美少女で幼なじみだったので話していて楽だったし、ある程度好意を抱いていて特に断る理由が無かったので告白を受けることにした。
凪咲との恋人関係はとても楽しかった。いろんな場所に2人で行った。カラオケ、ゲームセンター、遊園地、水族館、夏祭り……etc。凪咲と付き合うことで学校で告白されることはなくなった。その点は凪咲と付き合うメリットだった。告白を断るのは心が痛むのだ。
学校の帰りに一緒に手を繋ぐだけで顔を赤らめてしまうような初々しい関係だった。セックスはもちろんしたことは無かったし、キスも数えるくらいしかしていなかった。
ファーストキスは遊園地の観覧車の中だった。無言になり見つめ合う俺たち2人。凪咲が目をつむる。俺たちは自然とキスをした。唇がすごく柔らかかったことは覚えている。
別れは突然だった。受験に集中したいという俺の一方的な頼みだった。
「……え……嘘。……私、待ってるから……。受験が終わるのずっと待ってるから」
別れを切り出した時、凪咲は泣いていた。こうして2年半の交際期間が終了した。
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