第2話 1.1.1 二人の義妹

 その後、俺は直奈ちゃんと家に帰ってきた。


「ただいまー」


「お邪魔します……」


「おっかえりー!! お兄!!」


 俺が玄関に入るといきなり美少女が抱きついてきた。この美少女は俺の義妹の朱音あかねである。サイドテールをしていて子犬のように人懐っこい性格をしている。


「おかえりなさい、お兄ちゃん」


 この美少女も俺の義妹である。名前は琴音ことねという。家事全般が得意でとても包容力のある性格をしている。髪型はショートヘアである。


 俺には義妹が二人いる。琴音と朱音である。琴音が上の妹で朱音が下の妹である。琴音と朱音は幼い頃に両親を交通事故で亡くしている。二人の両親と親友だった俺の両親が親戚のいない二人を預かることを決めたのである。


「……その女の人誰?」


 朱音が声のトーンを落として聞いてくる。


「直奈ちゃんだ。幼なじみだ。……俺たち付き合うことになったんだ」


「は? はあああ!?」


「……お兄ちゃん、家族会議です!!」


 直奈ちゃんを玄関に残しテーブルに座る俺たち3人。


「……で、何でこんなことになったんですか?

お兄ちゃん?」


「実は……」


 俺はとある女の子に一目惚れしたこと、キミキセのファンだったこと、幼稚園時代の初恋の相手直奈ちゃんだったこと、告白したらOKだったこと、ただし条件として同棲することになったことを話した。


「ど、どどどど同棲!?」


「……なんで私たちに一言も相談せずに決めたんですか」


「それはすまないと思ってる」


「それも両親が不在のときに……。絶対狙ってやりましたよね」


 そう、今、俺の両親は海外に出張中でいないのだ。


「お父さんとお母さんに許可をとったんですか?」


「それなら問題ないぞ。さっき父さんと母さんに同棲していいか電話で聞いてみたんだ。二人とも応援してくれるってさ。」


「そんな馬鹿な……」


「父さんと母さんは恋愛脳だから俺たちが付き合ってると言ったら一発でOKだったぞ」


「私は反対です。まだ付き合って間もないカップルがすぐ同棲なんて……」


「私も反対だよー。そもそもお兄が付き合うのも大大大反対なんだからね」


「二人とも頼む。この通りだ」


 俺は二人に土下座する。


「あ、頭を上げてください、お兄ちゃん。……1ヶ月」


「え?」


「1ヶ月ならお試しで同棲してもいいですよ、そう言っているんですよ」


「本当か!?」


「まー、琴音ちゃんがそう言うのなら私も嫌だけど反対はしないかな」


「ありがとう。二人とも」


「あ、あくまでお試しですからね。その後は分からないんですからね」


 こうして直奈ちゃんとの同棲の許可を二人の義妹からとったのだった。

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