第20話 炎の逮捕劇 <玖>
俺とミランダによる強襲で[悪鬼]オール・ゴールと[鮮血]のレディを分断させる事に成功した。
「ミランダ!死ぬなよ!」
「ええ!あなたもねゼフ隊長!」
早くこいつを無力化し、部下達の援護に向かわねば!
犠牲を出すわけにはいかぬ!
「痛たたた、いきなり何しやがんだ?おっさん!」
「黙れ!お前達マギアイストの連中こそ、このダンジョンで何をしようとしている!」
「ああ?俺は馬鹿だからわかんねぇなぁ?なんだったかなぁ?確かスタンピードを起こしてそれを帝都まで誘導するとかなんとか。」
「…‥お前それ言ってよかったのか?」
「…………って言うのは嘘だ。」
「嘘つけ!それこそ嘘じゃねぇか!誰が騙されるか馬鹿が!」
「うるせぇ!どうせ殺すんだ!チャラだチャラ!いいから早く死合前の口上を言え!」
「……口上?なんだその口上っていうのは?」
「かぁーー!これだからこの国の人間はダメなんだ!戦士が死合うのに口上がなくちゃ始まらねぇだろが!」
「だからその口上ってのはなんだと聞いてるんだ馬鹿が!この国にそんな文化はないわ!」
「っち、知らねぇなら仕方がねえ!いいか?その耳かっぽじってよく聞いとけよ!」
[天下無双の名を掲げ!渡り歩くは修羅の道!右手に宿りし血染花!咲かすは己の魂で!
泣く子も黙る大悪鬼!オール・ゴール様とは俺のことよ!]
「……それ俺もやらくちゃダメなのか?」
「早くしねぇか!!」
[帝都を守って20年!家燃え残ったローンは30年!法と秩序を守りしは!民に捧げた剣であれ!第三警魔隊隊長ゼフ・ニンテ・ガッタフォード!参る!」
「初めてにしてはなかなかじゃねぇか!じゃあ死合い開始だ!簡単に死んでくれるなよ!来い!<
「帝都の平和を守るため貴様如きに負ける訳には行かぬわ!出番だぞ!<
[悪鬼]の手には馬鹿でかい石の棍棒が握られている。
おそらく土属性タイプの固有魔法だろう。
俺の固有魔法<正義の体現者>は自分の気持ち次第で身体能力が上がったり下がったりする、少々使い勝手が悪い固有魔法だ。
だがどちらにも天井が存在しないため、気持ち次第でいくらでも強くも弱くもなれる可能性を秘めた固有魔法だ。
「準備はできたみてぇだなぁ!行くぞ!<金剛撃>!>
奴が思いっ切り棍棒を地面に叩きつける。
だが、そんなに早い動きではないため避けるのは簡単だった。
「っは!そんなスピードでは一生あたら……なにぃ!?」
突然俺の足元からデカい岩がすごいスピードで生えてくる。
俺はそれを間一髪でよける。
「当たらないなら当たるまで殴るだけよ!オラオラオラオラ!」
次々と岩が生えてきて、四方八方から襲い来る。
クソ!避けるので精一杯だ!こんちきしょうが!
「おい!おっさん!避けてるだけじゃ勝てんぜ!来いよ!一発殴らせてやるぜ!」
「舐めるなー!!!ガキがー!」
俺は渾身の一撃を奴の顔面に叩き込む!
奴は凄い勢いで後ろに飛んで行き、何回転かして止まった。
「はぁはぁ、ど、どうだ!おっさんを舐めるからだ!」
だが、奴は何事もなかったかのように跳ね起きた。
「おー威力だけはなかなかだ!だけど残念!全く効いちゃいねぇぜ!次は俺の番だな!」
奴は今戦闘が始まったかのように、棍棒を連打してきた。
これが若さか……ってそんな場合じゃない!
なにか有効打はないのか!
「おいおい、いい加減鬼ごっこも飽きてきたぜ。いいのか?お前の部下達がピンチだぜぇ?」
(な、なに?なにがあったんだ!あれは[跳魔]エヴァ!サボリの奴、目が潰れてるじゃねぇか!しかも…ヤバい!ロゼッタが暴走しそうだ!)
「ダメだろぉ?戦闘中によそ見しちゃ。」
「っぐはぁ!!!ひ、卑怯な!」
俺はどうやら相手の攻撃をモロに喰らってしまったらしい。
口から血が溢れてくる。
部下の様子に動揺し、身体能力が下がったところにまともに喰らってしまったから余計に効く。
「卑怯?っは!自分の未熟さを呪うんだな!
お前の血でこの棍棒に刻まれた血染花を咲かせてやるよ。死にやがれ!!」
クソ!ここまでか……すまないテレサ…ウル。
俺は好きな様に殴られ既に虫の息になっていた。
「はぁ〜つまんねぇつまんねぇ。この仕事が終わったらまた帝都の家に火でもつけに行くかぁ〜?あれは最高だったなぁ〜」
「……おい、お前今なんて言った?」
「あ?ああ、俺の趣味に幸せそうな家庭の奴の家を燃やすってのがあってな。それがストレス発散に最適なんだよ!家が燃えた時のあいつらの顔ときたら…そういえばお前この前燃やした家のやつに似てるなぁ?」
「…のか、お前だったのかぁ!!!」
俺の体は完全に回復し、固有魔法<正義の体現者>が最大限に発揮され身体が赤く発光している。
「な、なんだ?こ、こいつ。急に元気に……」
「お前だけはころーす!!ローン30年の恨みを……家庭の大黒柱の苦労を知れー!!!」
俺はやつを徹底的にボコボコにする。
身体能力は過去最高にあがっている、今なら誰にも負ける気がしない。
「あばばば、ま、待って、ゆ、許し…てくだ…さ…い」
「問答無用ー!!!帝国の塵になりやがれ!!オラオラオラオラオラ!!」
俺は気が済むまで殴り続けた。
やつはボロ雑巾のように転がっている。
持ち前の頑丈さ故かまだ息はあるようだ。
「クソったれめ!っは!?そうだサボリは!?ロゼはどうなった!?待ってろ!今行くぞ!!」
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