第18話 炎の逮捕劇 <柒>


  「あなたの相手はこのユリウス・J・カエサルムが務めさせていただきます。」


 「カエサルムだと?[死白爵]の家系か!なぜ警魔隊の平などやっている!」


 「貴方には関係ないと言いたい所ですが、特別に教えてあげましょう。帝都に降り立った神の使い、[黒仮面の君]の力の一助になれるかもと思い所属したのですよ。同じ平和を守る存在としてはなかなかの力がありますからね警魔隊は。」


 「貴様らも黒仮面卿の力に目をつけていたとはな。あれこそが我々の理想の姿だ!アンチマテリアフィールドの中でも自由自在に飛び廻り、あらゆる特殊な技を使いだす!あの力の謎がわかれば我々がこんな苦渋を舐めることは無くなるのだ!」



 「貴方は確かグレーリストに名前がありましたね。ブライアン・フォックスでしたか。その年では、捕まればもう二度と檻から出る事はできませんよ?」


 「馬鹿め!貴様にはあの帝都の大きな檻が見えないのか!?我々は生まれた時から檻の中で飼い慣らされているんだ!あの檻を壊し、帝国国民を解放するために戦っているんだ!それがなぜ分からん。」



 「それはエゴというもの。あなた達みたいな人がいるからアンチマテリアフィールドは必要なのです。これ以上は時間の無駄です。後は魔法で語るとしましょう。」



 「望む所だ!行け!<静かなる悪魔サイレント・デビル!>」


 「いきなり固有魔法ですか?どうやら短期決戦をお望みの様ですね。では私も行きまし……」



 (こ、声が!声が出ません!なるほど、どうやら私の固有魔法の情報は相手方に洩れているようですね。)



 「はーっははは!声を出せまい!俺の固有魔法<静かなる悪魔>は、お前の中のあらゆる音を奪っていくぞ?声、聴覚、そして最後はお前の心臓の音だ!」


 (っちぃ、ぐずぐずしてる暇はありませんね。ならば!)


 「魔法を使えなくなったやつがやることは二つしかない。逃げるか、持ち前の武器で突っ込んでくるだけだ!既に対策ずみよ!そのまま何もできずに死んで行け!カエサルム!」


 (止むことの無い魔力弾に罠魔法による二段構えで時間切れまで粘るつもりですか。確かにこれでは近づけませんね。ですがあと少しです!)


私は相手の攻撃を円を描くように避けつつ、レイピアで地面を切り付ける。



 「そろそろ時間だ!心の臓を止めろ<静かなる悪魔サイレントデビル>!………っぐは……な、なぜ私の心臓が……」


 「 不粋な夢を観るやつがれ

   何れはどこかで折れ給う

   悪魔による祝福は

   天使の呪いに変わるだろう

 僕の固有魔法<躍動する天詩ラブ・ソング>による呪詛返しだね。」


 「ば、バカ…な。魔法はつか…えなかっ…たはず……。」


 「確かに声を出せればすぐに決着はついただろうね。貴方のとった手はなかなか良かったよ。だけどね地面をよく見てごらん?」


 「こ、これ……は。魔力文字……?」


 「そう、私は貴方の攻撃を避けながら、貴方に捧げる死のラブ・ソングを書いていたという訳さ。」


 「こ、これが…[死白]の家系のじ、実力か……無念。」



 「ふぅ、なかなか手強いお相手でした。やはりマギアイストを舐めて掛かることはできませんね。ロゼッタ・ミルフィーユは大丈夫でしょうか?」


 どうやらサボリ巡査長は終わっている感じですね。

 ロゼッタ・ミルフィーユ…は、おっ?

 どうやらこちらももう終わりそうですね。

 

 心配し過ぎたようです。

 私も合流して第二の援護に回るとしましょう。

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