第17話 炎の逮捕劇 <陸>


  第二警魔隊は全員女性で構成された部隊だ。

 半年前の戦いで唯一犠牲者を出した第二警魔隊は全員が弔い合戦とばかりに殺気立っていた。


 「ミレーヌ・アイスヴァイス副長!隊長達が分断に成功した!俺達と敵の人数は同じだ!そっちに6人任せてもいいか!?こっちの3人を捕縛次第そっちの援護にまわる!」



 「サボラスタ巡査長。援護はいらないわ。これは私達の戦いなの。自分達の心配だけしていなさい。あなた達!一人一殺よ!行きなさい!」


 ダメだ!完全に温ったまっちまってる!

 話しを聞こうともしやがらねぇ!


 「ユリウス!ロゼッタ!俺達も行くぞ!すぐ終わらせて、第二の援護に回る!」



 「了解ですー、でもあんまり強そうには見えないですよー。」


 「ロゼッタ・ミルフィーユ。甘く見てはいけないよ、魔法絶対主義者マギアイストの奴等はねその名に恥じない様に日々魔法の鍛錬を積んでいる。そんな事では足元をすくわれるよ。」


 「ぶー。了解でーす。」


 「お喋りはそこまでだ!あちらさんから来たぞ。」


 先手はあちらの魔法だった。俺はすでに発動していた固有魔法<千年審判の目サウザンディアアイズ>で相手の魔法を解析する。


 どうやら触れると身体能力が下がる類の魔法みたいだな。


 「あれに触れるな!デバフがつくぞ!」


 おれが叫ぶ前にロゼは魔法障壁、ユリウスは持ち前のレイピアで魔法を打ち消していた。

 

 っち、優秀な奴らだぜ。


 「ユリウス!お前は右の男をやれ!俺とロゼは左の女といま魔法を放った奴をやる!」

 

 「えー?私も1人で大丈夫ですよー。行ってきますねー。」


 「…彼女は少し痛い目にあったほうがいいかもしれないね。私も行くよ。」


 どいつもこいつも!

 隊長はよくこんなやつらをまとめてやがるぜ!


 「おい、お前。少し憂さ晴らしに付き合えや。」


 どうやらお相手は一切会話に付き合うつもりはないようだ。

 言葉の代わりに魔法を放ってきやがる。


 俺の固有魔法<千年審判の目>を発動中はいろんな効果を発揮できるが、戦闘で1番役立つのはやはり目がとても良くなる事だろう。


 この程度の魔法なら難なく避けられる。

 どうやらお相手は闇属性の使い手らしいな。 

 どれもこれも魔法にデバフ効果が付与されている。

 

 だが、このままなら距離を詰めて顎に一発ぶちかませば終わっちまうぜ?

 

 固有魔法はどうした?

 なぜ使わない?まさかまだ固有魔法に目覚めていないのか?


 いやそんな半端者がこんな大掛かりな作戦に選ばれる訳がない。

 何かを狙ってやがるな。


 まぁいい、相手が固有魔法を使ったら俺の勝ち。

 使わなくても解析が終了すれば俺の勝ちだな。

 

 色々考えながらもどんどん距離は縮まり、拳が届くか届かないの距離なった時、突然あたり一面が真っ暗になった。


 「なんだ?何をしやがった!?」


 「ククク、第三警魔隊のサボラスタ巡査長だったね?君は大層目が良いみたいじゃないか。どうだい?闇の世界は?」


 「これはお前の固有魔法か!?ちくしょう何も見えねぇ!」


 「そうだ。私の固有魔法<新しい夜ノヴァ・ノクス>は相手の視界を奪い、闇の魔力を増幅させる私には最適な魔法さ。」


 「さっきとは違ってずいぶん喋るじゃねぇか?まさかもう勝ったつもりでいるのか?」


 「君の情報には目が良いくらいしか特段気にする項目もなかったものでね。残念ながら逆転の目はないよ。だがせめてもの手向に我が最大の魔法で送ってやろう。ではさよならだ、[ダークネビュラ]」

 

 「……どうした?まだ撃たないのか?」


 

 「……ばかな!貴様何をした!魔法が発動せん!」

 

 「敵にべらべら喋る趣味はねぇよ。おねんねしてな。」


 俺は迷いなく奴の目の前まで走り、呆然としている奴の顎を思いっきりぶん殴る。


 俺の[千年審判の目サウザンディアアイズ]には悪人に対して最強の能力がある。

 俺の目に見られ解析された奴は[審判]にかけられ、罪の重さ×1分間、魔法を全く発動できなくなる。

 逆に全く罪のないやつを解析すると俺が5分間魔法を使えなくなる。

 

 この罪の基準を決めてるのが誰かはわからないがな。

 

 法か、はたまた神か。


 まぁ考えるだけ無駄だな。

 












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