第16話 炎の逮捕劇 <伍>
第一警魔隊6名、第二警魔隊7名、第三警魔隊4名の計17名は、10階層に向かって疾走している最中だ。
突入してからまだ1時間も経っていないのにもう9回層の折り返しにいることが、我々警魔隊の優秀さが解ると言うものだろう。っと言いたいところだが、こんなにスムーズに来れたのには訳がある。
「おい、アロン。どうなってる?魔物が1匹もいないぞ?」
「ああ、俺も不思議に思ってたよ、ゼニガタのとっつぁん。これがマギアイストの連中の仕業だとしたら俺等はまんまと誘い込まれたのかもしれねぇな。」
「はーー。あなたもまだまだですね、アロン。あの賢者ウォルターが裏をかかれるはずがありません。」
「警魔長だって人間だ。ミスだってするだろう?それか、警魔長より頭のキレるやつがいるかもしれねぇ。部下の命を預かってるんだ、思考を止めちゃならねぇぞミランダ。」
「ええ。ですが彼の方には優秀な子飼いの諜報がいたはず。すでにダンジョンの情報は1から100まで知っている事でしょう。それでもあえて私達に何も言わないという事は、教える必要のない事だと言うことです。」
「なるほど。俺達如きが考えることなど、すでに警魔長殿は思考し終わってるというわけだな?」
「そういうことです。ゼフ隊長。それに考えられる事はそう多くありません。おそらくなんらかの方法でマギアイストの連中が魔物を操り、より高ランクの魔物の餌にした…ってところでしょう。」
「なるほどな、それなら辻褄があうぜ。元々俺達はマギアイストと魔物の両方を相手取る作戦だったからな。やる事が変わらねぇなら、わざわざ余計な事を言う必要はないって事だな?」
「やっと理解しましたか。……っとそろそろ着きますね。ではアロン、あなた達第一は高ランクの魔物の対処にあたって下さい。私達第二とゼフ隊長の第三はマギアイストの捕縛または排除にあたります。」
「了解だ。しくじるんじゃねぇぞミランダ。ゼニガタのとっつぁんもな。」
「お前もなアロン!よし行こうかミランダ!サボリ、ユリウス、ロゼッタ!お前らも死ぬなよ!」
さっきから一言も喋らない部下達に檄をとばす。
横を見るとミランダも部下に活を入れていた。
ミランダは半年前の戦いで部下を亡くしているから余計厳しく当たっている。
「……ミランダ。気持ちは解るがもう時間だ。行くぞ。」
「…ええ、ごめんなさい。…‥行きましょう!」
ーーーーーーーー
10階層に入ると13人の人影と数体の魔物が見えてきた。
「おいミランダ!情報どおりなら2人足りないぞ!」
「ええ、私の記憶が確かなら[跳魔]エヴァ・フランメと[銃聖]ジョン・ドゥがいないようですね。エヴァ・フランメだけはなんとしても確保したかったのですが…。しかしやる事に変わりはありません!」
「だな。むしろ楽になって喜ぶところだぜ?とっつぁん。予定通り俺達は魔物の対処にあたる!行くぞおめぇら!」
アロンが部下と共に魔物の方に疾走して行く。
(Aランクが4体に……、なんだあの魔物は?)
一体だけ見たこともない魔物が紛れ込んでいるな。
いや今はアロンを信じるしかあるまい。
「ゼフ隊長、あの中で特に危険なのは[悪鬼]オール・ゴールと[鮮血]のレディです。あとの面々は部下達だけでも十分対処可能です。」
「あい、分かった。俺が[悪鬼]を担当する!ミランダにはレディを頼む!サボリ!お前達はミランダの部下達と共に残りのやつらを対処しろ!」
俺はサボリにロゼを頼むと目線で合図を送りり、サボリも理解したかの様に頷く。
「ミランダ!俺とお前で[悪鬼]と[鮮血]を分断させるぞ!残りは分断に成功後すぐに行動開始だ! それでは作戦開始!!」
「「「了解!!!!」」」
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