第14話 炎の逮捕劇 <参>


 「何故自分も突入のメンバーに加えてくれなかったでありますか!ゼニガタ隊長!」


 「グレンジャー副長。それはな、もし俺に万が一のことがあれば、この第三警魔隊を任せられるのがお前しかいないからだ。こんな大事な事を内緒にしてたのは謝る。すまなかった。」


 「そんな素直に謝られたらもうこれ以上怒れないのであります!ゼニガタ隊長は卑怯であります!私が隊長に憧れて警魔隊に入ったのを知ってるくせにこの仕打ちはひどいですぅ」


 「グレンジャー副長!俺に憧れるのをやめろ!俺を超えられなくなる!それにマギアイストを捕まえる事だけが警魔隊の仕事ではない!日々の警邏、軽犯罪の取り締まり等も大切な仕事だという事を忘れたか!」



 「うう〜ごめんなさいでありますぅ。少し頭を冷やしてくるでありますぅ。」


 少しきつい言い回しだったが、これも期待の現れだという事を理解してくれグレンジャー副長。


 「隊長もー、奥さんがいるくせになかなか隅におけないですねー」


 「うるさいロゼ。そろそろ時間だ、行くぞサボリ、ユリウス。」


 「了解だ隊長。車の準備はできてるぜ。」


 俺達はすぐさま車に乗り込み、指定のあった集合場所目指して出立した。



 車の雰囲気は過去一番で引き締まったものになっている。

 こんな空気になるのは半年前のマギアイストとの戦い以来だな。


 あの戦いはとても激しいものだった、警魔隊にも多数の死者がでた。

 

 今回は誰も死なない事を祈るばかりだ。

 


 「…ちょう、隊長!着いたぜ!なにやってんだ?」

 

 「な、なに?もう着いたのか!?すまないサボリすぐ降りる。」


 どうやら思ったより長く考え込んでいたみたいだ。

 隊長がこの様では示しがつかないな、気を引き締めよう。


 「サボリ、ユリウスそしてロゼ。これからウォルター警魔長から作戦の概要が説明されると思うが命に関わる事だからしっかり聞く様に。

特にロゼ、お前はまだ経験が足りない。決して無茶はするな。」


 「了解ですー。でもー私強いから大丈夫だと思いますー。」


 ……はぁ。

 こればかりは経験せねば解らないか。

 ここで説教するのは士気に関わるな。


 「サボリ、ユリウス、ロゼをフォローしてやってくれ。」


 「隊長、俺がこの目で見ておくよ。」


 「私も気には止めておこう。」


 少し不安な返事だが、こいつらはこういうやつらだったな。

 おっ、そんな会話をしてる間に第一と第二のやつらの姿が見えてきたな。

 

 俺ら第三以外はもう集合してる感じか?

 これ以上待たせるわけにはいかんな。


 「すまない、少し遅れたか?」



 「いえいえ、まだ時間前ですよゼニガタ隊長。では全員揃ったところで作戦の詳細を伝えます。」


 ふむふむ。作戦を要約すると、グレーリスト及びマギアイストの人数は13名。


 10階層の草原エリアで集まってなにやらしているらしいので、それの阻止。


 高ランクの魔物の出現に注意しつつ、マギアイストの連中を捕縛、または排除。


 状況しだいでは即撤退。無理はするなと。


 「ここまででなにか質問のある人はいるかな?」



 「はいはーい、このままー、連中が出てくるのを待ってー、不意打ちで捕まえれば手っ取り早いと思いますー。」


 

 「君は第三警魔隊のロゼッタ君だね?いい質問だ。最悪その手を使う事になるかもしれないね。だけど連中がダンジョンでしているなにかによっては取り返しのつかない事になるかもしれない。君は警魔隊になる時に何を誓ったのか忘れたのかい?」



 「て、帝国の法と秩序を守るため!誠心誠意努めることですー!」


 「うん、そうだね。なら私達は最大限の努力を持って行動せねばならないのだよ、解っていただけたかな?ロゼッタ君。」



 「は、はひ!わ、わかったのですー!」


 「ウォルター警魔長、俺の部下をいじめるのはそれくらいに」


 

 「はは、すまないねゼニガタ隊長。では諸君! 作戦名!<炎の逮捕劇!帝都に巣食う!?夏の夜のゴミ掃除祭り!>開始だ!」

 

  

    「「「りょ、了解です!」」」

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