第12話 炎の逮捕劇 <壱>

 

  「本日はお時間頂き、まことにありがとうございますっす。"帝都中央第一新聞"所属のサラリス・ココノブレッドっす。」


 俺は今新聞記者によるインタビューを受けている。

 普段なら断るところだが、この間の火事の件を反省し、少しでも警魔隊の好感度をあげるため心よく引き受けたのだった。



 「第三警魔隊隊長のゼフ・ニンテ・ガッタフォードだ。気軽にゼフと呼んでくれ。」


 「わかりましたっす、ゼニガタ隊長。早速先日のマギアイストの逮捕の件について詳しく教えて欲しいっす。」


 「な、何故貴様がその呼び名を!…まぁいい。マギアイストの逮捕の件だったな?その話しをするには少し長くなるが、よろしいかな?」


 「売れる記事を書くためならどんなに時間が掛かってもかまわないっす!一日でも二日でも付き合うっすよ!」


 ふむ。なかなか仕事に対してストイックなお嬢さんだ。

 ならこちらもそれ相応の対応をしようではないか。


 「では心して聞くが良い、あれはそう私のまだ30年もローンが残ってる家が燃えた……」





 ーーーーーーーーーーー




 

 

 「それでダンジョンに異変とはどういう事だ?グレンジャー副長。」


 俺は疲れた体と心に鞭打ち、さらに疲れる事になるであろう質問を副長に投げ掛ける。


 「っは!先ほど1番街にある自宅からこちらに向かう途中に<ジャック>のマリア殿が冒険者と揉めているのを仲裁したのが事の発端であります!」


  ジャック?ジャックっていうと<ジャック オブ オール トレイズ>のジャックか!

 ジャックのマリアっていえばそこそこの大物じゃねぇか!

 なんでまたそんな人が冒険者なんかと?


 「それで?それとダンジョンが何の関係があるんだ?」


 

 「っは!なんでもジャックの新人がダンジョンから帰って来ないから様子を見て来て欲しいと、冒険者ギルドに頼んだところ、すぐに病院からジャックの新人が病院の前で倒れているのを保護したと病院から連絡が来たのを聞いたであります!

 冒険者はキャンセル料がどうのこうのと言っていたであります!」


 「だ・か・ら!それとダンジョンが何の関係があるのかを聞いているんだ!要点を言え、要点を!」


 グレンジャー副長は仕事は出来るのだが回りくどくていかん。

 仕事はもっとこう最速で最短でまっすぐに一直線によ。

 

 「っは!申し訳ないであります!なんでも本来出るはずの無いAランクの魔物が低階層で出たとの事であります!」


 「そいつはなかなかヘビィーだな」


 「っは!隊長それは死語ってやつであります!今時誰もヘビィーなんて使わないであります!」


 「うるせぇ!なんで俺が今時のやつらに合わせにゃならんのだ!言葉なんて使いたい時に使いたい物を使っていいんだ!」


 「隊長!言葉も立派な武器になるであります!人の心を傷つける言葉は使ってはダメであります!」


 「そんなことは分かっておる!この真面目ちゃんが!それよりも今はダンジョンのことだ!」


 「っは!?そうでありました!私としては一度警魔隊の本部に議題をあげ、合同で調査に当たるのがいいと思うであります!」


 「第三警魔隊だけでは手が足りないか……、よしグレンジャー副長、お前の案を採用しよう。俺はこのまま本部に行きダンジョンの異変について報告してくる。お前達は通常業務に戻れ。」


 「っは!了解であります!ご苦労様であります隊長!」


 退室して行く副長を見届けながら俺も本部へ向かう準備を整える。


 これから一癖も二癖もある本部の連中とやり合う事を想像すると胃が痛くなってきやがった。


 だが帝都の平和を守るためにはやらねばならん。

 なぜなら俺は、帝都の法と秩序を守る存在。 

 警魔隊の隊長なのだから。

 

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