第6話 敏腕記者サリーちゃん
私はサラリス・ココノブレッドっす。
みんなからは親しみを込めてサリーと呼ばれてるっす。
昨日の2番街の火事、そして黒仮面卿の活躍を朝イチに間に合うよう記事を書いてたから、チョー眠いっす。
でも、間に合ったからよかったっすね。
この帝都バラクーダはチョー広いっすから、話題には事かかないんすけど、黒仮面卿の反響は凄いものがあるっすね。
売れ行きも2倍から3倍に跳ね上がるっす。
「黒仮面卿には悪いっすけど、私の出世のためにドンドン活躍してもらわないと困るっす。ニシシシシ」
でもホントに眠いっす。
このままじゃ仕事になんねぇすから、
仮眠とっていいか編集長に聞いてくるっすかねー。
「編集長ー 眠いから寝ていっすかー?」
「おっ?サリーか、朝までご苦労様だな!っとちょっと待て電話だ。……なに!?3番街で火事だと!?分かった!情報感謝する!」
マジっすか?また火事っすか?こりゃ行くしかねぇっす!寝てる場合じゃぁないっすよ!
「えー3番街で火事が起きたとの事だ!昨日から出ずっぱりのサリー以外で行けるやつは…」
「私が行くっすよ!誰にも譲らないっす!」
「しかし今の時代、労基がうるさくてな。こんな働かせ方をしてるのがバレたら俺のクビが……」
「問答無用っす!行くったら行くっすよ!
ってかもう行ってくるっす!」
「待てサリー!労基が! 俺のクビがー!!」
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ふえ〜やっぱり黒仮面卿は凄いっすね〜。
あっという間に解決っす。
私の取材させて下さいの声はスルーされてしまったっすね。
まぁしょうがないっす。
チャンスはこれからいくらでもあるっすよー。
それにしても第三警魔隊隊長の家が火事っすかー。
かわいそうっすねー、「ローンがー!」とか叫んでたっすもの。
住民は警魔隊の到着の遅さに不満たらたらみたいでしたっすね。
いい記事のネタになりそうっす。
でも見た感じ警魔隊の隊員の仕事は文句なしっすねー。
みんなテキパキ自分の役割をこなしてるっす。
薄紫の髪のポエム書いてそうな隊員の避難誘導にみな大人しく従ってるっすねー。
てっきり住民のあの反応ならもう一悶着ありそうな気がしたんすけど。
まるで催眠にかかったみたいに?
そんなわけないっすよね。
でもあの機甲車両に乗ってるだけの人はなにしてるんすか?
サボってるんすか?
そんなわけないっすよね、よく見ると周りを凝視してるような?っす。
極め付けはあの若い女の隊員、ありゃやばいっす。
なんすかあの氷の処理の仕方は?
あれは溶かすというより、氷と氷、いや原子と原子を分けて極小の粒に変えてるっすか?
確かに目に見えないほどの粒に変えれば溶けるのは早いっすけど!
あの若さであれ程の魔力制御が可能とはっす。
「第三警魔隊……あなどれないっすね。」
体が勝手に震えてくるっす。
それにしてもっす、この1週間で3度目の火事っすか。
少し多いっすね、なんかきな臭い物を感じるっす!
敏腕記者の勘が言ってるっすよ!
待ってろ事件!待ってろ黒仮面卿!
敏腕記者サリーちゃんからは逃げられないっすよー!!
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