第2話 ヒーローも辛い物がある
号外ー! 号外だよー! 黒仮面卿がまたまた活躍だよー!
「今度は火事の中から子供を救出だってよ!」
「颯爽と空を飛んできたらしいぜ!」
「黒仮面卿には足を向けてねられねぇな!」
「どこにいるかわかんねえけどな!」
「違ぇねぇ!ガハハ」
みんな久しぶり!え?誰だって? 俺か?
前世では川ノ上翔! この異世界メメント・モリに生まれてからはクロードだ。
そんな俺は絶賛遅刻中だ。
とても焦っている。
本気をだせば間に合いそうだが、本気をだした余波で建物が崩壊してしまうのでやれないが。
今年大学を卒業し働き始めた俺は、今月だけでもう7回も遅刻している。
もう二度といたしません!って言ったばかりだからマジでヤバい。
それもこれもあんな深夜に火事が起きるのが悪いのだ。
俺は悪くない。
でも子供を助けられたのは本当に良かった。
だからきっとマリアさんも許してくれるだろう。
まぁ俺が助けたって知らないんだけど。
なんとなく察してくれる事を祈ろう。
いやもう諦めた方がいいのかもしれない。
人生諦めが肝心だって隣の家の爺さんも言ってたし…
でも受付のマリアさん怒ると恐いんだよなぁ、まぁ俺が悪いからしかたないか。
職場に着くまで俺の仕事について説明しよう。
おおまかな業務といえば、’魔道具の整備や開発。更には魔物の討伐、護衛' など多岐にわたる。
まぁ所謂何でも屋みたいなものだと思ってもらえれば話は早い。
俺は戦闘は全くできないと会社に報告してるので魔道具専門で雇ってもらっている。
そんな雑な説明してる間に職場に着いてしまった。
覚悟を決めよう。
「おはよーございまーす」
「クロードさん、今何時か分かりますか?いえきっとあなたには難しすぎる質問ねこれは」
「ほほほ本当ーに申し訳ございません!マリアさん!もう二度しません!許して下さい!」
土下座しながら俺は許しを請う。
静かに怒るマリアさんは本当にヤバい、見なくてもわかる恐いやつや。
「説教は後です。すぐに3番街のミッシェル様の家に行きなさい。冷蔵型魔道具の調子が悪いとの事です。」
「ええ〜あの貴族のですか?あんまりいい思い出がないんですが……。」
「そうですか、遅刻したうえにつべこべ言うならばもういっそクビに「すぐ行きます!」
「最初からそう言いなさい。
遠方から取り寄せた珍しい食材がダメになるかならないのかの瀬戸際だそうです。
寄り道せずに真っ直ぐ向かうのですよ?」
「はい!では失礼します、マリアさん!」
どうやら説教は免れたみたいだ。
感謝しますミッシェルさん。
俺が住んでいるこの"帝都バラクーダ"はとても
大きい都市だ。
総人口20万人を超える大都市。
その広さも尋常ではない。
区画も1番街から7番街まであり、人の足で歩いて回るに日が暮れるどころの騒ぎではない。
そこで天才魔学者"ベルモンド"によって、色々な乗り物が開発された。
その中でも一際目をみはるのが地下に作られた魔道エンジン搭載型地下列車だろう。
地球でいう地下鉄だ。
その技術は都市と村々を繋ぎ、物流の方にまで革命を起こしたのだから、帝国民は頭が上がらない。
まぁそんなすごい乗り物も発射時刻に間に合わなければ意味がないがな。
クソ、走ったばかりでまた走るハメになるとは。
急がねば!
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