第44話 魔王の能力
〘魔王様……いえ、魔王の能力は下位スキルなら全て使えます。スライムの分裂であれ、ドラゴンのブレスであれ、オークの生殖やオーガの凶化であれ、全てのスキルを使えます〙
【ってことは……広く浅くスキルを使ってくるってことか?】
黒龍は首を横に振った。
〘いえ、魔王はそれもできますが……多くのスキルをデータとして活用し、独自スキルを作り出す能力があるのです〙
【明らかに有能そうな力だ】
〘……実際、魔王は有能です。不可能と思われた教皇への勝利はあの魔王でなければ果たし得なかったでしょう。どんなスキルを使ってくるか全く分からず、大体が初見殺しスキルです〙
【初見殺し……】
〘いきなり殺試合(デスゲーム)をすれば勝てたと思うのですが、二回も使いましたから……魔王は対策をしてるでしょうね〙
対策、か。
どんな対策をしてくるのだろう。
俺のスキルは発動さえしてしまえば、基本的には無敵だ。
それを上回るほどの濃い魔力があるなら対策などしないで普通に力のごり押しで何とかなる。
一体魔王はどんな手段を使ってくるのだろうか?
【魔王の容姿ってどんなだ?】
容姿さえ分かれば、対策が練れる気がする。
黒龍はスマホを操作し、俺に画面を見せた。
〘こんな見た目です〙
【こ、これが魔王!?】
〘はい〙
【……女の子か】
〘そうですね。男の姿に変身したりすることもあるのですが、本隊は少女です〙
それはかなりの美少女だった。しかも、巨乳だ。
綺麗な蒼髪と緑色の目が輝いて見える。黒いマントを棚引かせ、巨大な槍を持つ様は可愛らしくさえ思う。
その美少女魔王を中心としてドラゴンロードやスライムキングがスマホに向かって決めポーズしている。こいつら、仲良しなんだな……。
そんなことより、やばい。
惚れたわ。
【こ、こんな可愛い子が……人類の敵なんだな】
〘可愛い見た目に欺されないで下さい〙
黒龍は俺を窘めるように助言する。しかし、俺としてはこんな可愛い子相手に好きにならずにはいられない。
シスター達も可愛かったが、魔王の可愛さは想定以上だ。
こんな子が人類の敵?
何でそんなことになってるんだよ!
【なぁ、黒龍。なぜ魔王は人類を滅ぼそうとするんだ?】
〘魔王はエルフです〙
俺はスマホ画面を確認する。よく見ると、少し耳が尖っている。確かにエルフのようだ。
【エルフは人間嫌いってことか?】
黒龍が頷く。
〘はい。エルフは人間に奴隷として捕まって売られましたからね。現魔王の両親も人間に殺されてます〙
【!?】
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