第39話 子「テイムしてやるよ」 龍「はは、ありがたき幸せ」 母「変な物飼っちゃいけません!」
ドラゴン達は人間を差別し、沢山殺してきたのだろう。
それは許されないことだ。
だが家族の為に生きようとする姿勢がどこか胸を打った。
逆らえば殺す。
それは当たり前だ。
だが逆らわない限り……生かしてやろうと俺は思った。
俺はドラゴンに向かって、
【テイムした後、お前の家族には手を出さないでやる。】
ドラゴンは涙ぐんで俺に土下座した。
〘勇者様。ありがたき幸せ……〙
【その代わり……お前同様、テイムの対象とする。人に危害を加えたら殺処分も仕方ないと弁えてくれ】
〘無論です〙
ドラゴンは俺の配下になる。
テイム契約書にドラゴンが魔力を注ぎ、俺がそれに了承した。
スマホに《ドラゴンをテイムしました》と表示される。
さて、コメント欄はどうなっているか、っと。
――――――――――――――――――――――
:ドラゴンを配下にできるなんて
:ええええええええええ
:そんなこと、できるの?
:配信者常識外れ過ぎるだろ……
:まるで魔王だな……
――――――――――――――――――――――
驚かれている。
この世界は魔物と人なら圧倒的に魔物に優位だったらしいから当然と言えば当然か。
万事解決、と思った。
俺がテイムしたドラゴンに契約の魔紋が刻まれ、殺試合(デスゲーム)配信を解除した。
そして俺は【首輪】に関してはそのままにしておいた。
ドラゴンが人間に逆らうと、爆発する仕様に書き換えている。
もしドラゴンが人間を襲ったら、その行為によりドラゴンは死ぬ仕様だ。そして勿論、俺に反逆の意思を抱き実行しようとしたらその時点で爆発する。
俺はスマホにドス黒い魔力を注ぎ込み、
【一件落着。今回もありがとうございました~】
――――――――――――――――――――――
:おつー
:おつかれ!
:また配信待ってます!
:次は魔王城かな?
:お疲れ様でしたー!
――――――――――――――――――――――
温かいコメントに俺の心が躍る。
俺はチャンネルを閉じた。
【おい、ドラゴン】
〘な、何でしょう主様?〙
ドラゴンは俺に話しかけられビクッとした。……まぁしょうがない。
こいつにとって俺はドラゴン数千体を殺した張本人だ。
慣れるまで時間がかかるかもな。
【お前、名前はあるか?】
〘いえ、ドラゴンに名前はありませんでした。識別は顔や念話だけで行えるので〙
【そっか。でも俺は名付けたいんだよね。呼ぶときあると思うから】
〘でしたら主様に任せます。生かして貰ったこの身、どのような名前でもありがたく頂戴します〙
【……】
俺は母を振り向く。
母は小さく何かを呟いていた。
え、怖。
何コレ、何呟いてんの?
【か、母さん?】
「ぶつぶつぶつ」
【ドラゴンの名前を決めたいんだけど、何かある?】
「ぶつぶつぶつ……え!? 名前!?」
母は意表をつかれたようにハッとした。
自分の心に閉じこもって周りが見えてなかったらしい。
【うん。ドラゴンをテイムしたから、名前を決めようと思って】
「ドラゴンの名前」
【何が良いかな?】
母は最初、呆然としていた。
しかし数秒後、わなわなと肩を震わせながら顔を真っ赤にさせた。
まずい、これは母が怒っている時の顔だ!
「何言ってるんですか、ユシアちゃん! 変な物飼っちゃいけません!」
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