第33話 デスゲーム、開始
「酷い」
母は潤目になって口を押さえた。
俺はキョロキョロと辺りを見回し、スマホを探した。
黒龍が次々に飛来して、街を焼き払っていく。更に空には次々に召喚用の魔法が作られていって魔王軍の兵士と思しき奴らが出てきている。
「ぶばぼ! ぶばぼ!」
俺が叫んで母の胸を叩く。母はピクッと動き、歩き始めた。
近くにあった棚の引き戸を開けて、中からスマホを取り出す。
「はい、ユシアちゃん」
「ばぶ」
俺は頷きつつ、スマホを受け取って自分の魔力を注入。スマホが起動した。
よし、いけるぜ!
【殺試合(デスゲーム)、開始しました】
俺は更に自分のスマホに魔力を注いでいく。
気のせいだろうか?
昨日より力が増している気がする。
空に天蓋が張られ、十三本の巨大な支柱が降りてくる。この街は俺の結界に囚われた。
【街と人々に『強固防壁』を付与】
俺がそれを付与した瞬間だった。
〘ロードブレス!〙
低い声でそういう声が聞こえた。
巨大な黒龍の吐く灼熱の息が街を襲っていく。
空のドラゴン達が喜ぶ声が聞こえた。
〘やったか!?〙
〘流石ドラゴンロード〙
〘これでは敵はあとかたも残りますまい〙
〘ドラゴンロード様のブレスにかかれば人間の耐久など紙も同然よ〙
人間を嘲笑するような声の数々。
煙が晴れていき、こちらからも視認出来る内にドラゴン達は慌て始めた。
〘ま、街が……無傷!?〙
〘あ、ありえない。なぜ〙
〘ドラゴンロード様のブレスは完璧だったはず!〙
〘何が起こったというのだ!?〙
俺は母に頼み、家を出てドラゴン達の元まで歩いてって貰う。
既に人と街には「強固防壁」を付与しているので基本心配はない。
問題は、俺の魔力切れだ。
俺はスマホに黒い魔力を注ぎ、Live機能をオンにした。
――――――――――――――――――
:配信、キター!
:待ってました!
:えええええ、ドラゴン達!?
:魔王軍主力を除けば最強部隊だろ……
:やべえええええ!
――――――――――――――――――
朝からだというのに、見てくれてる人がいるな。
よしよし。
俺はスマホに更にドス黒い魔力を入れてゆく。
【ドラゴンさん達。貴方達を捉えさせて貰いました。この結界の外に貴方達は出て行くことはできません】
空を飛翔する黒龍達は千匹ほどいる。
こんな街に来るとは……教皇を殺しにきたのだろう。過剰戦力にも程があると感じる。
俺は一番大きな黒龍と目が合い、ニヤリと笑う。
【今から皆さんに、殺し合いをして貰います。殺試合(デスゲーム)、スタートです♪】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます