第31話 教会のシスター達、転生勇者に授乳をする
俺は今、母に抱かれて教会に来た。父と教皇と教皇側近(しんぷ)も一緒だ。
そして夕方の教会で、俺の目の前には見目麗しい若いシスター達がいる。
っく。
「きゃー、これが勇者様?」
「可愛い~~」
「この子におっぱいあげればいいんですね?」
きゃっきゃと十人以上のシスター達が俺に向かって近づいてくる。俺はこの後起こることを予想した。
あろうことか、母(セレス)がさっと俺をシスター達に渡し、俺はシスターに抱かれてしまう。
「ぶ、ぶぅ~」
俺は抗議する。だが母は厳しい顔で首を横に振った。
「ユシア、甘えるんじゃありません」
「ばっぶぅ!」
「貴方はこの母からしか授乳したくないって言うんですか?」
「ばぶばぶ!」
俺は頷いた。母は俺を――パシンと叩いた。痛い。俺は呆然とした顔で、頬を押さえて母を見た。
母は泣いていた。
「甘えるんじゃないわよ、このバカ息子が!」
「び、びべぇ……」
「今まで何百万人以上の人が、魔王軍に殺されてるのよ! 貴方しか救えないの! だから授乳して魔力を補給して……貴方は人類を救わないとだめなのよ!」
母は泣いている。しかし、泣きたいのはこっちだった。俺の羞恥心と人類の存亡、確かに比べるまでもないのだろう。
しかし恥ずかしいものは恥ずかしいんだよね。
俺の母に、シスターが一人近づいて、
「お母様、気持ちは分かります。あたし達がしっかり授乳させますから」
「!?」
シスター達は上半身を脱いで乳首を露わにする。っく、止めろお前達! 俺が精通を起こすのは十年くらい早いんだよ! って起きないか。
俺は乳首を見ても一切興奮しないが、凄く恥ずかしかった。
見たとこ、女子校生程度の年齢だ。この子達、何で皆巨乳なんだ?
「あ、ユシアくん。あたし達のおっぱい見てる」
「お母さんより大きいから興味津々かな?」
黄色い声で言うシスター共に俺は腹が立った。
「ばぶ!」
俺はつーんと腕を組み、明後日の方向を見る。お前達の乳なんか、誰が飲むものか。恥ずかしいっての。
と思ったら、俺は母にズボンを下ろされた。母、なぜや?
「ユシアぁあああああ!」
母はぺんぺんと俺の尻を叩く。俺のトラウマが蘇ってしまう。
「びひゃぁああああああ!」
痛い。痛い痛い痛いってマジで! 母、止めて!
「ユシア! 人が母乳をあてがってくれるっていうのに、その態度は何? 母しか飲まないなんて好き嫌いも良いとこでしょ!」
「ば、ばぶぅ……」
俺は俯く。尻、痛いぜ。
「飲みなさい」
「……ぶ」
「飲みなさい!」
母は凄い剣幕だった。父も教皇も介入できないくらいに、怖かった。
俺は頷く。
「ばぶ」
「分かったのね?」
「ばび」
俺から母が離れていき、俺はシスターの乳首に口を当てた。そして母乳を吸っていく。
驚愕した。
美味い。母よりずっと美味い。なんだこれ、本当に母乳か? 吸えば吸うほど、魔力が漲ってきやがる。
美少女シスターが俺の頭を撫で撫でしてくる。
「あはは。あたし達は孤児院で恵まれない子供達に母乳をあげる仕事をしているんです。その為、母乳が出る魔法の訓練をしています。天然の母乳より健康にも良いし栄養にも優れているんですよ」
俺が見上げると、シスターは得意げな笑顔だった。悔しいが、俺の母の完敗だ。
こんなに美味しい母乳を異世界に来て飲めるとは思わなかった。
……俺は母に嫌われたくない。別に、お前の母乳を飲みたくて飲んでるんじゃないんだからな。
べ、別に勘違いするなよ。シスターなんかより俺は実の母の母乳のが好きなんだから。
俺はおっぱいを飲む。美味い。なんて美味しいんだ。例えるなら、母の母乳はそこら辺の安肉を焼いたようなクオリティだが、シスターの母乳は国産のサーロインを炭火焼きしたってくらいのクオリティだった。
レベルがまるで違う。同じ女性のはずなのに、母乳でここまで違うとはな。
俺の体に魔力が漲る。
ぶわっと俺の体からドス黒い魔力が拭きだした。
「す、凄い」と教皇。
「魔力は本人固有の所蔵量のはず。ここまで凄い量だとは」と神父。
「俺の全盛期を遥かに凌ぎやがる。既にS級冒険者クラスの魔力量だな」と父。
「まさに、世界を救う為に生まれた神童というわけね」と母。
おい、大人達。その態度は何だ?
今お前らがやってることは幼児虐待だぞ。俺は恥を忍んで母乳を吸ってる。そのことを忘れるんじゃねえ!
俺は勢いよく、シスターから母乳を飲んでいく。とっととこんな食事、終わらしてやる!
「す、凄い勢い」
シスターが驚くと同時に、俺はもう片方の乳首に口を当てた。そして吸っていく。
「何でやる気出してくれたの? あたしの母乳、美味しい?」
シスターは笑顔で俺の頭を撫でてくる。ふん、無視だ無視。お前の母乳はそりゃ美味いよ。感動さえした。こんな美味しい母乳を飲ませてくれてありがとうって思えるくらいには凄い母乳だぜ。
だがな、俺には羞恥心があるんだよ。そこを忘れるんじゃねえ!
「びゅひゃあ!」
「あ、もう飲み干されちゃった!」
シスターが驚いている。というか、他のシスターも母達も驚いている。
母は満面の笑みで俺に言う。
「ユシア、美味しい?」
「ばばぼばぼびびいぼ」
母のが美味しいよ、と言ったつもりなのだが伝わらなかったらしい。母は笑顔で頷き、
「でしょうね。シスター達は最高の母乳を出せるように修行しているからあたしの母乳より美味しくて当然よ」
どんな修行だ、どんな。
するとまた俺の腹がぐーっと鳴った。っく、俺のお腹って本当にすぐ空くな。殺試合(デスゲーム)の魔力消費量は半端じゃない。どうやらまだ飲む必要があるらしいな。
俺はひょいっと別のシスターに渡された。俺は、猫かなんかか? まぁ、ベイビーだからしょうがないんだが。
「はい、ユシアちゃん」
俺はまたもやおっぱいを顔に押し付けられてしまう。ここまで来たら、少しだけ羞恥心は消えた。
仕方ない。仕事と割り切って飲むとするか。
「ばぶ」
俺は素直にシスターの乳首から母乳を貰っていく。この子もマジ美味いな。栄養たっぷりだし魔力がどんどん回復していくのが分かる。
「えへへ。漸く懐いてくれたみたいで嬉しい」
シスターは軽く俺の体を抱きしめ、他のシスターに「ずるい~」とか言われてる。
その時俺はハッとした。
俺は、心の壁を造ってしまっていたようだ。羞恥心を思う余り、シスター達を傷つけていたかもしれない。彼女達だって……もしかしたら俺のこと好きじゃないけど仕事で母乳をくれてるかもしれないと言うのに。
っく。
迂闊だった。
俺は……まともな人間として失格だ。そもそも世界の危機で、母乳を飲めと言われたら飲むのが大人の対応に違いない。
だというのに俺は、余りにもガキな対応をしてしまった。
母以外のおっぱいを吸いたいくない?
贅沢な悩みだな。きっと戦争ならご飯に苦しんでる人は老若男女いる。というか、母がそう言ってた気がする。
俺は片方のおっぱいを飲み終わって、もう片方に口を移す。
……恥ずかしいけど、俺は人間的に成長するしかない。
魔力回復の為に、飲もう。そして俺が拒絶すると、シスター達は傷ついているかもしれないのだ。
他に仕事があるかもしれないのに、来てくれてる。
彼女達の為に、さっさと飲んであげるとするか。
「ぶひゃあ!」
俺は人間的に成長しつつ、母乳を摂取するのだった。それにしても、このおっぱい本当に美味いな。
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