第23話 スライムキングの残基は多かった
……おかしいな。なぜスライムキングは平気なんだ?
俺は母達を見てそう思った。
母達はには俺が『一撃必殺』の加護を付与している。
そして母達は今でも攻撃していて、攻撃の度に母達の頭上に浮かんだ討伐数はカウントされていく。
だというのに、一向にスライムキングは死なない。
【どういうことだ? スマホよ、答えておくれ】
《マスター。スライムキングは残基が多すぎる》
【残基? 命の数そのものが多いってことか?】
《はい》
【どのくらいあるんだ?】
《二十万くらいですね》
【は!?】
スマホの返答に俺は驚いた。
そんなの、配信しきれないだろ。
【何でそんなに残基あるんだよ】
《スライムキングは一体の独立したモンスターではなく、複数のスライムが集合して出来た存在です。超個体、と言ったところですね》
【超個体?】
《多数の個体から形成され、あたかも一つの個体であるかのように振る舞う生物の集団です》
【成る程な】
俺がスマホとやり取りしてると、スライムキングは逃げ出した。
〖こ、こんな奴とやってられないであーる!〗
スライムキングは涙目になって逃走していく。それを母達が必死に追い掛けていく。
俺はスマホでしっかりカメラに収めて配信し、
――――――――――――――
ペペロン:スライムキングんごwwwwwww
スパゲ:戦えよwwwww
ツウィト:そりゃ逃げるよねwwwww
イカス:wwwwwww
カルボ:草w
――――――――――――――
とコメントを確認。うん。配信としては上手くいってる。
しかし、俺は自分の故郷をちらりと一望する。
瓦礫だらけで燃えた痕も多い。
災害にあったかのように破壊されまくった自分の地元を見て義憤が起こる。
許せねえ。
スライム達を、俺は許せねえ。
一匹残らず駆逐してやる。
二十万ものスライムの塊を逃がしてたまるか。
だがあいつを倒すには二十万くらい『一撃必殺』を喰らわさないといけないらしい。
さて、どうしよう。このままでは逃亡を許す結果に――。
と思ったら、ぐーとお腹が鳴った。
腹が減ったな。
《マスター、急いで食事して下さい》
【は? 今それどころじゃないだろ】
《魔力が尽きたら、殺試合(デスゲーム)の発動が消えます》
【何!?】
《さっさと倒さないとまずいです》
どうすんだよ。今から母乳を飲みに行くか?
いや、それは恥ずかしい。
さっさとスライムキングを倒そう。
しかし二十万の残基、どう削るか。
ピピピ、と通知音が鳴った。
スマホを確認すると、嬉しいニュースが表示されている。
《おめでとうございます。チャンネル登録者十万人を突破しました》
俺はニヤリとほくそ笑む。
《登録者十万人を記念し、トロフィー「真紅ノ盾」をマスターに贈呈します》
「嬉しいねえ」
《それに伴い、スキル向上しました。殺試合(デスゲーム)の仕様変更も可能です》
?
これは前世の俺がやってなかったな。
だが今はありがたい。
俺はスマホに魔力を注ぐ。
【おい、スマホ】
《はい、マスター》
【スライムキングは沢山の命の集合体なんだよな?】
《その通りです》
【ならさ、スライムキング同士を殺し合わせればいいんじゃないか?】
《思いも寄りませんでしたが良いアイディアかと。可能です》
スライムキングは俺の【殺試合(デスゲーム)】結界の端っこ――支柱の近くまで来ている。
試したこと無かったが、やるしかない。
殺試合(デスゲーム)をもう一度発動するんだ。
俺は逃亡するスライムキングに向かってドス黒い魔力を発し、詠唱した。
【殺試合(デスゲーム)!】
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