第21話 転生勇者、〖強化防壁〗で住民と街を護る

 俺が頭上のスライムキングを見ていると、母達が恐れる声を聞いた。


「た、大変よ。あれはまさに魔王軍の幹部『スライムキング』!」と母。

「え、あの有名な……最強の魔物の一体とされる魔物ですか?」とパピル。

「な、なんて威圧感だ。普通のスライムとはまるで違う」とブレイブ。


 皆、空に浮かぶスライムキングを見て恐怖しているようだ。

 が、俺の心は違った。


 俺は歓喜に打ち震えていた。


【あれを配信できれば、バズるんじゃないかな】とスマホに魔力を込めると、

《流石ご主人様、そこに痺れる、憧れるぅ!》と返ってきた。


 俺はスマホで撮影する。

 スライムキングを映したら、皆どんな反応するかな?


――――――――――――――

ペペロン:おいおい

スパゲ:こりゃ死んだわ

イカス:魔王軍の大幹部……スライムキングかよ

カルボ:本当にでかいな。出現すれば確実に街一つ潰れるだけのことある

モブデス:あいつのせいで従兄弟の故郷潰れたんだよね

インス:まじで怖い

――――――――――――――


 ……どうやら皆、怖がってるらしいな。

 今までの俺の配信の何を見ていたというのか?


 俺の【殺試合(デスゲーム)】なら主催者は勿論、依怙贔屓した奴は絶対に勝利するのだ。

 仕方ない。圧倒するとするか。


 俺はスマホに魔力を注いで質問。

【おい、俺のmp……魔力残量はどうなってる?】

《10001です》

【いやにキリの悪い数字だな】

《マスターの基礎mpが1。そして後は登録者数が今ちょうど10000人なので、登録者数分増えます》

【そういえば、前世の黒歴史ノートはそういう仕様にしたんだったな】

《そうです。マスターの基礎mpを1として、後はチャンネル登録者1人増えるごとにマスター一人のmp分増える感じです》

【そっか】


 俺はちょっと考える。


【『強化防壁』を住民や街全体に付与したいんだが、いけるか?】

《はい。今のmpでしたら可能です》

【よし、じゃあ頼む】


 俺がそう言うとドス黒い魔力が建物に覆い被さっていく。


【今更だけど、俺の魔力ってすげえ黒いな】

《強力であればあるほど、濃い色になります》

【そうなのか】

《はい。色の強さは魔法発動の優劣を決定するので、マスターより黒いものがいない限り殺試合(デスゲーム)の発動は解けません》


 それは参考になるな。

 逆に、俺よりドス黒い魔力の持ち主がいたら気を付けないといけないんだな。


 と、そんなやり取りをしていると。

 巨大な緑色の大質量――スライムキングが落下してきた。


 あまりの質量に、砂塵が巻き起こる。

 そして、野太い声の嘲笑が聞こえた。


〖がーはっはっは! 我が配下であるスライム達を殺した報い、とくと受けるがいい!〗

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