第18話 スライムの数は五千以上だった。
俺はスライムの数を確認することにした。スマホに魔力を注ぐ。
【残数はどのくらいだ?】
《五千以上はいます》と返答があった。
このスマホ、Siriみたいなのが搭載されているようだな。初代iPhoneなのに良い仕様だ。電力でなく魔力で動いているっぽいからそれが理由かな?
だが五千匹以上か……流石に多いな。
【何でここまで数が多いんだ?】
《侵攻されてるからだと思われます》
確かにそういう話ある。
俺はチャンネルのコメント欄をチェック。どこまで伸びてるかな?
――――――――――――
ペペロン:プラハヤデの治安マジ終わってる
スパゲ:他動画の配信見てきた。空が黒くなってスライムの攻撃が効かなくなったのはガチらしい
イカス:マ?
モブデス:この配信者、マジで勇者か何かなんじゃね?
ツウィト:それはないwwwww無い……よな?
――――――――――――
良い感じにコメントは盛り上がっているようだ。
同接はなんと三千人を超えている。
すげえ!!!!!
こんな同接は初めてだ!
俺はスマホを使って加護を付与した三人を映す。それぞれがスライムに殴る様は、視聴者にどういう感想になるだろうか?
「はああああああ!」と母。
「えい!」とパピル。
「いったらああああ!」とブレイブ。
スライムの体がひしゃげて霧散していく。
緑色の体液があった中央部分から光る石が出てくる。
――――――――――――――
モブデス:魔石ドロップ、凄いな
ペペロン:儲かりそうだよね
イカス:スライムの魔石、一つ三十万から百万するからな
ツウィト:冒険者からすればよだれものだよ
――――――――――――――
は? あの光る石、そんな値段するの!?
通りで母が拾ってるはずだ。
ていうか、母の拾う姿は手慣れている。冒険者時代の感覚はまだ残ってるんだろうな……。
母の動き、明らかにパピルやブレイブよりキレがあるんだよね。
っと、俺にスライムが襲いかかってきた。
しかし、俺はゲームマスターだ。
プレイヤーにかけられている『強固防壁』より硬い魔力で覆われている。
このスライムにはそれが分からないのだろうな。
俺は、軽く腕を振り回した。
ぐしゃ、とスライムが飛び散る。
……数が一向に減らない。それどころか、どんどん増えている気さえする。
なぜだろう。
スマホに訊いてみるとするか。俺は魔力をスマホに流し、質問する。
【なぜスライムの数が減らないんだ? それどころか、増えている気さえする】
《スライムキングが分裂を行っているからだと思われます》と返答。
【分裂?】
《はい。スライムキングの特殊能力です。眷属を魔力の数だけいくらでも造れます》
【とんでもなく強力なスキルなんだな】
《はい。土地に流れる魔力を使って眷属を造り出すのですが、このプラハヤデ周辺に流れる魔力を使えば十万体くらいはスライムを生産できます》
【えぇ、まだ増えるのかよ】
《はい》
【でも、魔石をドロップするってんならいいのかな。金稼ぎになるみたいだし】
《スライムが生まれる度、土地の魔力を使われるので土地が痩せていきます》
【え……】
《早く倒すことを推奨します》
【お、おう。助言ありがと】
《どういたしまして》
俺はスマホとの会話を終える。
土地が痩せていく、か。
この辺りは食料が豊富だ。土地が痩せていくとプラハヤデの産業に支障が出るかもしれない……。
それに、いつまでもスライムの相手をするのは億劫だ。
俺はスマホを操作し、母達の戦績を確認する。
――――――――――――――――――
セレス:136体討伐
パピル:12体討伐
ブレイブ:39体討伐
――――――――――――――――
……成る程な。
このままなら多分、スライムが増える速度のが多い。
最低討伐数はパピルの12体討伐か。
なら簡単だ。
俺はアナウンス機能を使って、新ルールを説明した。
【スライムの皆さん。殺し合いをして下さい。今から12体以上殺してない参加者は、五分後に死にます】
夥しいほどの絶叫がそこかしこから聞こえる。
スライム達に動揺が走っているようだ。
俺はスマホを操作し、ルール追加を行う。
【スキル、『条件式時限爆弾』を発動。五分後に十二体以上参加者を倒していない者は、爆発します】
俺はニヤリと笑う。
これで五分後はスライムの数が十二分の一になっていることだろう。
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