第16話 配信二回目。登録者数が増えていく

 俺はスマホを見て、視聴者数を確認。よしよし、一名二名三名……どんどん増えてくるな。


 あれ?

 チャンネル登録者数が三百人になってる。さっきの百倍だ!

 これは嬉しい!

 さっき配信したばっかのデスゲーム動画がウケたのかな?

 この調子で頑張るぜ!


【はい、皆さん。ユシアチャンネルで~す! 今回も元気に、スライム達をぶっ飛ばして行こうと思いまーす!】


――――――――――――

ペペロン:キタコレ!

スパゲ:うわああああああ、また配信だああああ!

イカス:これマジ動画かよ

ショケン:初カキコ、ども!

――――――――――――


 色んな人が俺の動画を見に来ている。

 先ほどとは違う人達のようだ。

 まぁ、仕方ない。告知用のTwit○erとかやってないしな。

 トレンド入りとかしてくれたら嬉しいんだけど。


【今回は、三人の人にスライム軍団をぼこぼこにしてもらいまーす!】


――――――――――――

ペペロン:三人でスライム軍団をぼこぼこ? 舐めすぎじゃね?

スパゲ:S級冒険者でもキツイだろ。

イカス:でもこの配信者ならいけるんじゃ

ショケン:やらせ、乙!

――――――――――――


 ……どうやら俺の言ってることを信じて貰えないらしいな。

 俺はスライム軍団を映す。背景は炎上中の街、プラハヤデ……見るも無惨な状態だ。赤い屋根の代わりに炎や黒煙が街を彩っている。


【今回は、こいつらをぼこぼこにしまーす! 俺の故郷を燃やしたんだから、仕方ないよね!】


――――――――――――

ペペロン:ちょwwwwここプラハヤデじゃんwwwwww

スパゲ:ガチで戦場から配信かよ。死ぬ気か、配信者?

イカス:ヤバいwwwスライム怖いwww人食ってるじゃんwww

ショケン:これ、魔力で作った高解像度のCGだよね? リアル過ぎて怖い

――――――――――――


 っち、信じて貰えないようだな。

 俺は今回のデスゲーム参加者として起用した母・パピル・おっさんの三名を映す。


【この三人に、スライムをボコってもらいまーす!】


――――――――――――

ペペロン:ちょwwwウケるwwwww

スパゲ:主婦、少年?、おっさん……

イカス:無理、だろ

ショケン:あ、これネタ動画か

――――――――――――


 ……スライム倒すのって、やっぱこの世界の人間には難易度高いのかな?

 まぁ、剣さえ母達は持って無いから無理もない。

 前世の世界で言うなら熊狩りに素手で挑む、しかもこの面子って感じなんだろう。

 うん。

 信じてもらえないの、しょうがない。


 しかし、俺の口角は上がった。

 チャンネル登録者数や視聴者数が増えている。ネタ動画だと思われても配信者として成長できるなら問題無い。

 俺のスキルは向上するし、この世界にもあるのか分からないが収益化できるかもしれない。

 それに、もし収益化できなくても人気者になって企業案件を受注するとか出来るだろう。

 ずっとカメラに企業のロゴマークを映しておくみたいな宣伝はできるだろうしな。


 よし、やる気出てきた!


【ブレイブさん、スライムを殴りにいってくれ】


「君は俺に、死ねというんだね?」


 おっさんは今にも泣きそうな顔で俺にそう言ってきた。

 おっさん、俺を信じてくれよ。


――――――――――――

ペペロン:wwwwwww

スパゲ:これおっさん虐待だろwwwww

イカス:まれに見る鬼畜

ショケン:これ、通報した方が良いかな? おっさん可哀想だろ

――――――――――――


 っく。ショケンさんはちょっと空気読んで欲しいな。通報なんかされたらデスゲーム配信できなくなってこの街滅ぶぞ?

 でも実際、人間が飛び散らないならセーフだと思うんだよね。

 バラバラになるの、スライムだけだし。


 俺はスライムに向かってスマホを構え、おっさんにお願いした。


【ブレイブさん、殴りに行ってくれ。視聴者が見てるんだ。それに俺、あんたの体を治癒したんだ。命一回救ったんだ】


「……」


【借りを返すと思って、頼みます】


「くそがあああああ、いったらあああああ!」


 ブレイブは俺の言葉で漸くスライムに殴りかかる決意をしてくれたようだ。おっさんは大泣きし叫びながら、スライムに向かっていく。

 実際、ブレイブが俺に命の借りを感じる必要なんてない。母の命を救おうとしてくれたあの行動で俺は満足してる。

 でも、俺が命救ったのは事実だからね。配信の盛り上がりには協力してもらうわ。


――――――――――――――

ペペロン:おっさああああん!

スパゲ:あ、死んだわ

イカス:おいおいおい……

ショケン:死に次第、通報するわ

――――――――――――――


 ブレイブの拳とスライムの体が触れ合い、スライムの体がひしゃげる。ゼリー状のその体は魔力の塊だ。スライムの魔力は弾け飛び、それと同時に体が融解していく。


「え……」


 ブレイブは呆然とスライムの死骸を見つめた。煙となって消えて行く死骸の中に光る石がまた出現した。


――――――――――――――

ペペロン:は?

スパゲ:な に が お こ っ た

イカス:え、ちょっと待って……え?

ショケン:なんだ、CGかよ……そうに違いない。……よな?

――――――――――――――


 っち。コメント欄を見ると、皆信じられないようだな。

 仕方ない。地道に配信していこう。

 沢山配信すれば信頼は勝ち取っていけるだろうからな!

 おっさんでこれだ。

 母とパピルはか弱い女だから尚のこと、動画を信用してもらえないかもな……。

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