第10話 スライム達が殺し合わないので、上位スキル「狂化」で殺し合わせます
【スライム君達、多いね】
スライム達は無言だった。中には俺の声で体をぶるっと震わせたものもいる。
【おい、聞いてるのかよ。返事しないなら容赦しないぞ】
俺は赤ん坊なので、すごんでもびびられないと思ったが黒い魔力が発生。なかなかの濃い魔力だったので、スライム達はびびっていくれる。
〘ひいいい、す、すみません!〙
【君達に、技を強化してあげるよ】
〘〘〘〘?〙〙〙〙
スライム達は全員疑問に思ったようだ。それもその筈だ。デスゲーム主催者である俺がプレゼントって言っても分からないよな。
俺はか細い腕を振って、スライム達に『技』を付与した。
〘こ、これは〙
俺はニヤリと笑う。
【それは『一撃必殺』だよ】
俺の言葉にスライム達は動揺する。
〘そ、そんな……それは勇者教の聖典『ぼくの考えた最強の呪文書』に書かれる上位魔法。魔王様でも使えないっていうのに〙
魔王でも使えないのか。
確か、上位呪文は勇者専用かその親友じゃないと使えないんだよな。そういう風に俺は前世の黒歴史ノートを書いたんだったぜ。
俺は自信を持って高らかに命じた。
【さぁ、殺せ】
スライム達は俺を恐怖するものの、なかなか動かない。
……恐怖が足りないのだろうか?
〘い、嫌だ〙
【は?】
〘やっぱり……仲間を殺すコトなんてできない! 同じ草を食ってきた仲間なんだ!〙
美しい友情ではある。
しかし、彼等は敵だ。
人間を食う癖に、仲間同士殺し合いませんと言われてもね。
害敵なら殺すしかない。
知性があるくせに人を差別して殺そうとするなら尚のことたち悪いわ。
俺はスマホを見る。すると、コメントがあった。
――――――――――――――――――――
ナナシ:何コレ。魔物怖。やらせなら不謹慎だと思う。
ツウィト:殺試合(デスゲーム)配信?
インス:これが初配信かな?
――――――――――――――――――――
お、視聴者が三人いる。これは嬉しい。ファンは段々確保していかないとな。
【皆さんこんにちは。えー】
俺はチャンネル名を確認する。すると、俺は大きく目を見開いた。
『ユシアチャンネル』、ってそのままかよ、おい。
本名晒しはリスクあるからなぁ。
ええい、この際しょうがない!
【『ユシアチャンネル』のユシアです。よろしくお願いします!】
俺はスマホで自分の顔出しはしないでそのまま配信する。
――――――――――――――――――――
ナナシ:声幼くない?
ツウィト:っていうかこれ、マジで戦場生配信かよwwwwwww
インス:現地中継、怖。っていうかスライム達、びびってない?
――――――――――――――――――――
【スライムさん、殺し合ってね? はい、『狂化』】
スライム達が苦しみ出す。
どうやら抵抗しているらしい。
だが、それは無意味だ。
狂化は対象の理性を減少させていく上位スキル。
俺の設定では魔王さえ抗うことはできないとしたからな。デスゲームを開催する為のスキルは幾らでもある。狂化はその内の一つだ。
〘み、皆……逃げて〙
〘うぅ……こんなの、俺じゃない〙
〘うわあああああ!〙
あるスライムが、他のスライムを殴った。そして一撃でスライムは絶命した。
――――――――――――――――――――
ナナシ:ええええええええええ
ツウィト:やべえwwwwwwwww
インス:仲間割れ!?
――――――――――――――――――――
俺の動画にどんどん他の人も入ってくる。
確認はしないが、多少は高評価されるだろう。
問題はこれが過激な動画、としてbanされないかどうかが気になる。
運営に目を付けられないと良いんだけどな。
俺はスマホの登録者を見ると、五名に増えていた。
よしよし。
この調子で配信してスライム達を殲滅するぜ!
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