3 厭だ。厭過ぎる
(お前は息子ではありません。わたくしに息子なぞはおりませぬ。お前は――わたくしの大切な大切な娘です)
さらり、と
それに
わたくしに息子なぞはおりませぬ。
――一体、何度その
玉蘭から
本当に面倒な事になった。
今後玉蘭を見舞う展開など、考えずとも知れるというもの。
これからこの宮中では、玉蘭を三交にと望む
今後母は、この三交の求婚選定にも数千年単位の時間をかけて
その背景が分かるが故に、玉蘭は不快と溜息を内心に
自身が恵まれている事は十二分に理解していた。
この眼前に迫る物質的事実と共に、その
生まれとは、そういうものなのだ。
与えられた数だけ、背負わされるものの重みはいや増す。
それが、玉蘭の手足を、命を、
そういったものへの反発が、己を
ちらり、と丸窓の外へ視線を投げる。
すると、折よく
黒い。それで単純に
次の瞬間、鳥が
やはり、烏か。
それで、どうという事もない。
ただ、
身体がほてる。だるい。しんどい。頭がぼうと、
視線を璞蘭の方へとゆるく向け直す。焦点は合わせずともいいだろう。形だけ注心している振りをすればよい。
そうすれば璞蘭の機嫌は――
ああ、厭だ。
どうしてこんなにあんな勝手な女を気にしなければならないのか。
ぎゅうと、硬く眼を
玉蘭を
その為に、玉蘭は
参拝によって多少でも体内に
長の血を引くのだから、程度は
まあ実際は、そう簡単にはいかないものだろうが。それに、
――そんな事をすれば、女達にも触れられなくなるではないか。
死屍散華を体内に持った雄性が姮娥の民を抱いて殺した話は枚挙に
恐らく今頃は、
厭だ。厭過ぎる。
「ねぇ、玉蘭?」
ふいに掛けられた璞蘭からの呼びかけに、玉蘭は「はい」と
それだけで、これが
この毒の吐息にも、死屍散華程の威力があれば良かったのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます