2023年6月8日の日記 甥っ子よ、最後のピースはどこですか

 甥っ子がパズルをしている。それも立体パズルだ。つい最近平面の三十ピースパズルを簡単に組み立てられるようになったばかりなのに、無謀だ。しかも組み立てているのは私のボディーである。


「○○ちゃんそこ! そこに落ちてるお耳をこっちの穴に挿して!」

「うーん、ここ?」

「そこは頭のてっぺん! おばちゃんは頭のてっぺんから耳生えてないでしょ!」


 甥っ子はケラケラ笑う。どうも面白がっているらしい。おばちゃんがついさっき魔法使いからパズルになる魔法をかけられてバラバラのピースにされてしまったばかりだというのに。


 さっきまでは口もついていなかったから大変だった。甥っ子が自主的に私を組み立てくれたから助かったものの。けれど口は左頬の位置についている。さながら福笑いだ。甥っ子も私の顔を見てゲラゲラ笑う。


「おばちゃん面白い顔ー」

「面白くしないで! おばちゃんを元のお顔に戻してー!」

「はい」


 甥っ子は私の眉毛を困り顔にしてしまった。そうじゃないと訴えても面白がるだけである。右手と左手も逆だから本当に大変だ。絶対にグロいと思うのだが甥っ子はただただ面白いらしい。


「あっ、○○ちゃん! こんなに散らかして!」


 甥っ子のママ、つまり私の妹がやってきた。甥っ子はニヤニヤ笑い、私を指差し、


「見て見てー、おばちゃんだよ」


 とのたまう。妹は、


「そんなわけないでしょ! 片づけなさーい!」


 と言ってお片づけの歌を口ずさみだした。甥っ子は困惑気味に片づけをする。私のボディーは再びバラバラにされ、甥っ子のブロック入れに放り込まれる。


 そんな……。私はどうなるのか。助けて甥っ子、と思うが彼にはどうしょうもない。彼は幼く、行動を管理されている側である。


 悲しい……。助けて助けて。たす……けて……。


「という夢を見たんだよ」


 私がそう話すと、甥っ子はプロック遊びをしながら作った構造物を見せ、


「見て! 洗車機」


 と笑った。その作品を見て、正夢になるような気がして少し震えた。








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