〜あいつの弊害〜

 目が覚めると、薄暗い空が窓から見えた。時間を見ると5時20分。

目覚めるまでに少し時間が立っていたらしい。


頭がふわふわする。まるで何百人ものデータをまとめ終わった後のようだ。


その感覚に戸惑いながら、所々途切れている先程の夢の記憶を思い出した。


誰かと話していた気がする。そうだ、禍々しい気配の何者かと話していたんだ。


えっと…あいつの名前は…


「…うぐっ…うがぁぁ…」


突然銃で撃ち抜かれたかのような痛みが、頭を襲った。


あまりの痛さにうなりながら、床に座り、壁にもたれかかった。

その間もあの世界のことを考え、好奇心がうずいていた。


痛い。もはやその感覚すら麻痺するほどの痛みが続いていた。

しかし、『あいつ』のことを考えられなくなったと同時に、頭痛が治った。


…一つの仮説似すぎないが、『あいつ』は夢の中の怪物。

それならば、現実に存在が知られてしまうときっと不都合なのだろう。


怪異解決課というものがあるくらいだ。

『あいつ』に目的があるならば、納得することはできる。


その頭痛が終わってから、名前の片鱗すら出てこなくなった。

まあ、忘れ…させられたのであれば、無理に思い出す必要はないのだろう。


私は頭に違和感を覚えながら、時間なので、荷物をまとめて会社に行くことにした。


       俺が『あいつ』に影響されているのも知らずに

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