Vol.2 珈琲屋➀:萩原 陽目線
「カランカラン。」
鈴の音がなる。きっと入店した時の音を
知らせる音だろう。
「いらっしゃい。」
優しい声。お爺さんの声だった。少しホッと
するような声。ここは全体的に暖かい。
周りの人達がみんな優しそうだ。
「えっと…。」
どこに席をつけばいいのだろうか。
そう考えている内に後ろで声がした。
「んーと…誰…?」
驚いてしまったが、後ろを振り向けば
驚きなど忘れた。
「あ、えーと…うーん…大昔、隣の県のココに
来た人です。」
少し考えてしまった。当然、常連ではないし、
昔よりも古いだろう。何故なら、もう
10年以上経ってしまっているから。
「じゃあ…初めまして…かな?
えっと…うん!あそこ、座ろっか!」
彼女があそこと言って指を指したのは、
2人用のテーブル席だった。
「あ…はい。」
何故か、彼女からは初めての感覚が
しなかった。どこかで会ったことがあるような…
…いや、気の所為だ。俺は中学2年生に来てから
一度も来たことがない。
でも、なぜか…会ったことがある方に
希望を持ってしまって…
名前を、すぐに聞いた。
「貴方の…お名前は…?」
ユメト ミライ
「私の名前は夢戸 未来だよ!よろしく!」
…俺は、夢戸さんが出した手を握ってしまった。
『でも、やっぱり…見たことがある。』
甘めの恋にはほろ苦い珈琲を添えて。 @kuroneko11110
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