第3話
建物の中が突然青白く光っていく。
(どうなってるんだこれ、、、)
もうすでにこの空間はツッコミ所で溢れかえっている。急に光るし人の声も聞こえるし障子も立って固定されてしまっている。
「ここは
またあの妙な声が頭に響く。声が高い女の子みたいな声が、いや子供の声じゃね?
「気のせいじゃ。」
「気のせいじゃないよねえ!?」
まじで子供の声じゃん。自分はこんな声にビビっていたのか。てゆうか状況が呑み込めねえ。幽霊?幽霊でも出てんのか?誰かこの異常現象を説明してくれ。
「何を驚いておる。普通のことじゃろう?」
「驚かないわけないだろ!?」
「主、まさか領域も何もかも知らんのか?」
「知らないよ!」
領域とか知らないし、中二病のノリでしか聞いたことねえよ。
「そうか、主は相当の無知なのじゃな。」
なんかすごいムカつくけど聞かなかったことにしよう。
「無駄話はここら辺にして、そろそろ本筋に入るとするかの。」
そういうと怪しげに空気が全て水晶に収束していく。水晶の淡い光がさらに強くなっていく。
「突然なんじゃが。妾の魂とか妖気を主の身体に移したいんじゃが。」
「なんで?」
「妾の住んでおるこの神社もそろそろ本格的に信仰を失って朽ち果てそうなんじゃよ。」
確かにここら辺はだれも整備しないし近づこうともしない。信仰が失われて建物が死んでいくのも納得だ。
「でもなぜ俺なんだ。」
「主の身体には人間の生気が並の倍くらい宿っているんじゃ。」
そうだったのか。どうでもいいこと聞いたわ。
「そういう事で主の身体に住まわしてほしいんじゃg、、」
「嫌です。」
そう言って踵を返し建物から出ようとしたのだが
「だから逃がさぬといっておるじゃろ?」
一瞬の出来事だった。幽霊らしきモノがそう口にした瞬間自身の腹から手が生えていた。いや正確には手で貫かれたのだが。
「主には最初から拒否権などというものはないのじゃ♪」
そう楽しそうに呟いてくる。そして周りを囲っていた空気も全て自身の中央に向かっていく。
「うぁあ、、」
うめき声しか出ない。痛みはない。もしかしたら痛覚を消されているかもしれないがそんなことを考えている余裕はない。膝から地面に崩れ落ちる。そしてさっきまで強く光っていた光が消えた途端全身を駆け巡っていた吐き気が少し落ち着いてくる。
「ようやく心地よい住処にたどり着けたの。」
そう頭の中から聞こえてくる。まだ倦怠感はぬぐえない。
「少し生気を取りすぎてしまったようじゃの。しかしこれでようやく現界できるようになったわ。」
そう言って身体のなかから違和感が消える。
「ほら、顔をあげてみい。主の顔をよく見てみたい。」
そういわれたので仕方なくまだ頭痛がする重い頭を上げるとそこには、
屈託のない笑顔でこちらを見据える一人の女の子が浮いていたのだった。
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