第2話

「遅いじゃねえかよ。」

「すいません。」

見知った顔が勢ぞろいしてこちらを見てくる。

「まあそんなことはどうでもいいんだよ。ところでお前この森の奥に古い廃れた神社があること知ってるか。」

「聞いたことはあるけど。」

「なら話は早え早速だがお前には神社に行ってきてもらう。」

「なんでだ?」

「そりゃお前、面白いからにきまってんだろ!」

周りが下品な笑い声を発していると急に背中を蹴り飛ばされ転んでしまった。

「早く行ってこいよ!!」

行くしかないのか、、こうなったら覚悟を決めて足早に道を歩いていく。ちゃんと中まで入って証拠を撮ってこないと駄目らしい。奴らの気配を感じなくなってきたときはじめて周りを見渡した。

「さすがに暗いな」

周りの木々は密集しているためか背が高く月明りさえも隠してしまっている。このままでは周囲が見えなくなってしまうのでスマホのライトをつけようとしたのだが、、

「充電が、、、ねえ。」

かろうじて数パーセントは残っていたが使えないものとみていいだろう。流石にここまで暗いと少し不安になってくる。足元を凝視して細心の注意をはらって歩いていると鳥居が見えてきた。そしてその奥には。

「これが神社か。」

異様な雰囲気を発している建物がそびえたっている。もう遠い昔に廃れたはずの神社からは身体を震わせる威圧感が出ている。暗いからそう頭が思い込んでいるだけだと頭で言い訳をし、違和感を振り切った。

「そろそろ入るか。」

目の前で葛藤をしている暇はないのだ。境内へ向けて歩いてゆく。

「とりあえず適当な建物に入るか」

手始めに境内で一番でかいであろう建物にはいる。戸の障子に手を掛けて開けようとするが上手く開かない。

「仕方ない罰当たりかもしれないが許してくれ神様。」

そう呟いて障子を思い切り蹴飛ばす。木片が飛び、辺りに埃が舞い散る。本来伝えるべきは仏様なのだろうかとくだらないことを思いつつ足を踏み入れる。

「なんだ?ここ。」

その言葉は神社をよく知らないがための言葉でもあるが、ここに漂っている冷たい空気感に対しても言っていた。鳥居を見たときよりも更に肌身に伝わる寒気を感じながら中に入っていく。意外にも中は物が少なかっただからなのか、いやだからこそなのか中央に祭られているに目を惹かれる。端的に換言すると靄がかった水晶玉なのだが、中に人間の魂がそのまま入っているかのような異質な空気を出していた。つい触りたくなる衝動に駆られるがその欲を抑え奴らへの証拠写真を撮ることにした。シャッターの音と共にまぶしい光に包まれる。

「これでいいかな。」

そう呟いてまた憂鬱な日常に戻ろうとする————

「急に明かりをまき散らすなど不敬じゃの」

後ろからそう声が聞こえた、人が居るはずがないのに!急速に体温が下がる。本能的に自身の危機を感じ取り建物から出ようとするのだが、、、、

「逃がさぬぞ?主よ」

誰も触れていない障子が起き上がり元の位置に戻る。触ってもびくともしない。そう何を隠そうこの成宮悠は今ここで謎の声の人物と二人きりになってしまったのだった。

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