第2話 本性
今日の晩御飯は叔父の作った夏野菜カレー
この近くの畑で採れた野菜を使ったらしい。想像よりもずっと美味しく叔父が料理のできることに驚いた。
リビングのソファに座り先にお風呂に入った母親が戻って来るのを待ちながら明日行く湖まで道をスマホのマップで調べていた。
マップで湖を拡大してみると湖の周りは崖のようになっている所が多くあった。
だが写真を捨てるならこの手で確実に水に沈められるところがいい
もっと水に近づける場所はないかと探したが良さそうな所が見つけられず叔父に聞くことにした。
2階へ行き母親の部屋の隣りにある叔父の部屋へと向かった。
しかし部屋にはおらず他にいそうな所も分からない。
仕方なく戻ってくるまでリビングで待っていようと階段を降りようとした時、自分の部屋の扉が少し開いていることに気づいた。
閉じようと部屋の前に行きドアノブに手をかけたとき中に人影が見えた。扉の隙間から覗いてみるとその正体は叔父だった。
一体何をしているのかよく見るために少し扉を開けた時、叔父の手にあるものを見て私は部屋に入り鍵を閉めた。
「叔父さん何してるんですか」
大きな音をたて扉を閉めおまけに鍵までかけたのに、叔父は少しも驚かず手にある写真を見つめていた。
「ここ私の部屋ですよ手に持っているもの返してください」
返してもらったところで見られたからにはどうにかしなければならないが、とにかく取り戻さなければ、もしかしたら写っている人物の顔は分からないかもしれないそう思ったが
「この写真写っているのは姉さんかな」
自分の姉の体調に気がつく奴がわからないはずがなかった。
「はははっ、そうかこれは姉さんか、さすがだなこんなに堂々と知らない男の腕を持ってホテルの中に入っていくなんて、さすがだよ」
そう言うとまた笑い始めた。
今日見ていた叔父の雰囲気とは全く違うことに少し怖気付いていると
「未莉ちゃんこれどうやって撮ったの、いや撮ったのは未莉ちゃんじゃないのかな、これをくれた人がいるのかい」
顔にとても楽しそうな笑みを浮かべながら聞いてくる。今日ずっと見ていたあの笑顔ではない、恐くあの笑顔は嘘でこっちは本当だ。
「そんなことどうでもいいですよね。返してください」
「それは無理でしょ、ねぇ未莉ちゃんこれ僕にくれないかな?必要ならお金も払うよ」
呆れて一瞬言葉が出なかった
「あなたの姉ですよ、なんでそんな写真欲しがるんですか」
少し無言になったあと、口を開いた
「それは君がこの写真をくれたら教えてあげるよ」
「無理です」
「そっか、それじゃあ僕も教えられないな」
態度まで昼間とは全く違う、これがこの人の本性かと今更ながらに気がついた。
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