第36話 集落→洞窟へ


 殲滅戦を終え、さらに奥へと進む僕。


 周囲は焼けこげたような匂いがほのかに香る。.....いや普通に匂うね。



 まぁ、それもそうだよね。だって集落周辺の森林を焼き払っちゃったわけだし。

 その甲斐あってか、辺りを囲んでいた雑魚どもは一層できたわけなんだから......まぁ、許してほしいなぁ。そのうち元に戻ってくれることを祈っておこ。


 そんなことをはさておいて(おくような事案ではないんだけど)、さっさと洞窟へ入るとしよう。奥の魔素の塊がかなり気になる。


 慎重に中へ侵入を試みる。

 そとの騒ぎを聞いていたからかすでに警戒態勢が引かれているようだ。しかし、隠密系スキルをフル発動させている状態のため多少気が付いていない部分があるようだ。


 ただ、外にいたモンスターたちよりもレベルやスペックが高いモンスターが多いからか隠密がばれたりしている。


 つか、ゴブリン系だけでなく大柄なゴブリン......いや、オークか?そんなモンスターもいるね。すでに中級寄りのモンスターも確認できる時点でなかなかのレベルの集落のようだ。


 というか、洞窟内とはいえこの時点で中級であるオークが徘徊している時点で最奥に待ち構えているモンスターは恐らく中上級のモンスターであることが想像できるね。



 .....これは少し気合を入れないとまずいか。

 洞窟内に対して【魔素感知】と【索敵】を行ってみると外で感じた魔素が分かれているように感じる。

 恐らく捕虜の人たちは集落のボス?的な存在とは少し離れた場所にいるみたいだね。.....先にそっちを対処したほうがいいか。



 そういうわけで、僕は目的地の逆方向へ向かう。






「ここだね」


 数人の人型の魔素の塊のもとへ向かうと、5,6人程度の女性が横たわっていた。

 .....プレイヤーじゃないよね?多分現地人の人だ。


 身ぐるみは破れかぶれになってしまっているが、かろうじて大事な部分は隠されている。ただ、皆意識がないように感じる。.....ただ息はある、おそらく気絶しているんだろうか?


「......すみません、意識はありますか?」


 と、僕は目の前の女性をゆする。



「............」



 返事がない、次だ。


「......すみません、意識はありますか?」




「............ぁ......ひぃぃぃぃ!!!!」

「だ、大丈夫です。人間です!落ち着いて」

「............ぁ......ぅぁ。ひ、人?!ひ、ひ、ひと」



 一応、意識が覚醒し始めたようだ。

 端的に要件を伝えないと、



「ギルドからの要請を受け、やってきました」

「ほ、本当に?た、助けにきたの?」

「はい、大丈夫です。少なくとも外にはびこっているモンスターは倒しました。あとは奥のモンスターを狩るだけです。.....ただ、先に皆さんの安全を確保するためにこちらへ来ました」

「あ、は、はい。あ、ありがとう......ございます」



 女性は泣き崩れながらもなんとか意識を保っている。

 やはり、ギルドや僕の推察通りここの集落の忌み者として扱われてしまったのだろう.....。



「とりあえず、あなた方の安全を確保させていただきます。この入り口をせき止め敵からの侵入を防ごうとおもいますが.....この中のどなたか明かりを保たせることはできますか?」

「............いえ、ここにいる者は村の町娘たちが多くそういった類は.....」

「わかりました、ではこちらを」



 僕は、近くにあった木に火を焚きつけ松明代わりにする。


「少なくとも、これで高原は確保できるはずです。あとはこの周辺をせき止め、外敵からの侵入を止めます。もう少しの辛抱ですのでお待ちいただいてもよろしいですか?」

「は、はい!だ、脱出できるのでした!お、お願いします!」




 女性はそう言うと目にほんの少し光が灯る。

 よかった、まだこの人の心は完全に死んだわけではなさそうだ。其の声に周囲の魔素が揺らぐ。



 どうやら今の声に周りが反応してしまったか.....。

 ま、どのみち殲滅コースだしどうでもいいかな。



「............では、他の人にも説明などお願いします。必ず助けますのでもう少しだけ待っていてください」



 僕はそう言うと、来た道をもどりつつ【ストーンウォール】を形成し入り口をふさぐ。



「さ、第三ラウンドの殲滅戦だ」


 僕は拳銃と短剣に武装変形し、【疾走】する。




《これまでの行動経験値より、熟練度が上昇しました》




 入り口から再び今度は最奥まで駆けぬけつつ、道中いたオークやホブゴブリンを討ち倒しながら疾走する。


 やはり、外にいたモンスターとは一筋縄ではいかない.....瞬間的に狩るため機力操作と魔力操作を並行して行いながら、剣と銃の威力を上げ対敵最短で倒す。



 弱点とかはわかんけど、人的構造的に首の頸動脈か心臓あたりを斬れば一撃で死んでくれるだろ。




 なんとか狩りつくし、最奥へたどり着く。





「さて、ここが正念場.....ボス戦.....かな?」

「Grgaaaaaaaaaaaaaaaa‼‼‼‼‼」



 最奥で待ち受けていたのは冠を被った大柄のゴブリンと鎧をまとった大柄ゴブリン2匹、そしてオークが4匹のようだ。



 さ、ボス戦といきましょうか!

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