第28話 久々の冒険ギルド
魔素術を習得し、師範代にしこたま蹴飛ばされました。ミワンです。
なんだかんだ最近は街の中で生活している方が多く、フィールドのほうに最後に出たのはいつだったのか全く思い出せない。
.....ま、まぁというか?時間が濃密すぎて短期間な気もするんだけどさ.....。
ということで、そろそろフィールドのほうにも出て魔獣を倒してレベルを上げておきたいというのが正直なところである。
そんなわけで今日はさっそくフィールドのほうへ向かうことにした。
「あ、せっかく外に行くんだしクエストも受注しておこうかな」
そろそろ受けないと冒険ギルドに行く機会なんてないに等しいからね。
だって、クエスト受けたのだってゴブリンの巣の壊滅の時だけだし.....。しかもあれ僕が受けたわけでもないからね。
よく考えれば、僕自身ファスト以外だとそこまで探索していないかった気がする。
せっかくなんだからクエストも探索系のがあれば受けてみようかな.....。
僕は冒険ギルドへ向かうことにした。
「あれ、なんか少ない?」
全開来た時と比較してもけっこう減っている気がする。前回は昼間でも人がごった返ししていたと思っていたんだけど.....。ここまで変わるのかな?何かあったのかなぁ、ほとんど冒険者活動していなかったからよくわからないや。
あ、フェルシアさんだ。.....あの人の列はなんというか.....あいかわらず空いていますね。
お礼もあるしさっそく行ってみますか。
「あ、あのフェルシアさん。おひさしぶりです」
「......ん、まだいたの?」
え、なに?僕ここにいたらおかしいのかな?唐突に言われて結構驚いているんですけど。
「え、何か問題があったんですか?」
「ん、来訪者の人って基本的にすぐどこか別の街へ行くって相場らしいから。あなたもいなくなったのかなって思った」
「あ、あぁそういうことなんですね」
確かに、ラキたちもなんだかんだすぐに別の街へ向かっていったような.....。そういうことを考えるとプレイヤーのみんなって基本的に定住はしないのかな?
まぁ僕の場合って弟子入りしちゃっているからしばらくはファストに居座るつもりだからもう一度挨拶するべきかな?
「まぁ、ファストで弟子入りしていますのでしばらくはここでお世話になるつもりですのでよろしくお願いします」
「ん、本当に道場にいったんだ。ひやかしかとおもった」
「いやぁ、それがなんだかんだでとんとん拍子で弟子入りできたんですよ.....なのでここのギルドでも何度か来るつもりです」
「そう、でもなんで私のところなの。あっちでもいい」
「......それもそうなんですけどね。フェルシアさんには先日場所を教えてくださったこともあるのでなんだかんだでお世話になっているのでつい来ちゃいました」
「ん、気にしないでいい。それが仕事」
「それでもです。あ、今度何かお礼をさせてくださいね」
「別にいい、仕事」
.....この人、仕事は仕事ってわりきっているんですね。
まぁ、なんかあった時とかに何か渡せばいいかな?
「あ、それで僕、街の外にあまり出ていないのでフィールド探索のついでにクエストを受けたいのですが、何かおすすめありますか?」
「おすすめ?.....なんでもいいなら、これ」
えっとなになに?
【探索クエスト:生態調査
草原地帯から森林地帯、山岳地帯を中心に魔獣の生態を調査
また、植生されている薬草類の調査
魔獣のドロップ品や薬草の種類と報告次第で報酬変動あり
指定期間:なし
基本報酬:1200G】
へぇ、まさに僕がやりたいところがすべて埋まっているね。
でもそこそこ報酬がいいのになんであるんだろう?
「確かに僕にはちょうどいいですけど.....なんでこんないいクエストが残っているのでしょう?」
「それは誰もやりたがらない」
「なぜでしょう?」
「それ、基本的に恒常クエスト。生態は変化する恐れがある。だからいちいち調べる必要がある。でも、達成基準がその都度曖昧になるから何とも言えない。来訪者は他の街に移動することのほうが多いから誰もやる必要がない」
「なるほど.....暇人向けなのですか」
「ありていに言えばそう」
確かにラキたちも他の街へ移動しているからそういったことを考えると妥当なのか。
でも、フィールドワークって割と大事だよね?知らないところでいろんなものを見つけられるし.....うん、僕はこういうのでいいかもね。探索しているの楽しそうだし。
「じゃあ、これ受けます」
「......いいの?」
「はい、せっかくお勧めしてくださったので」
「......ありがとう」
フェルシアさんは少し微笑むとすぐに受注作業をした。
.....ギャップがすごいね。普段無表情な人が急に微笑むとなんかドキッとするというかなんというか.....。NPCにも感情があるといってもこういう反応されるとすごい実感がわくね。
「ん、これで受注完了。この依頼は.....誰だっけ?」
「あ、そういえば僕だけまだでしたね。僕はミワンといいます」
「ん、ミワンが満足したら終了。基本報酬に達成するとしたら草原、森林、山岳からそれぞれ魔獣や薬草類について報告してくれたら大丈夫」
「わかりました」
「じゃ、頑張って」
「はい、行ってきますね」
そういうとフェルシアさんはまた事務作業へ戻ってしまった。うん、あの人は切り替えのスピードが本当に早いな。
ま、まぁ僕もさっさとフィールドワークに行こうかな?
そんなことを考えながら僕は冒険ギルドを後にするのであった。
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