第17 凪拳蹴撃  


 適当なところを選んだら、試験が始まったんですが.....。

 ....うん、状況を確認しないと.....


 って!



「うわっ」

「考え事とは、余裕ですかね!?」

「いや!急っにっ!はじま、ってるんですからっと!」


 レンネさんの怒涛の蹴りが襲い掛かってくる。


 こち、とらっ回避するのに精いっぱいなんだけどっ!



 やはりというかなんというか徒手空拳の格闘がメインの道場のようだ。

 特殊クエストにも凪拳襲撃流って言っていたからいきなり流派のある道場に来てしまったんだね。何も考えずに来たことに呆れてきたな。


 まぁ、クエストに発展しているしせっかくなんだからやれるだけ本気でやってみよう!


 レンネさんの猛攻に対して後退しつつ、態勢を立て直す。


 が、

「甘いです!」


 下がった分そのまま詰められ、蹴りが襲い掛かる。

 とっさの判断で腕を篭手付きに変形させ、そのまま防御する。


「......ほう」

「うぐ、普通にくるなっ」


 なんというか、レンネさんの一撃は外傷というよりかは内部に浸透するかのような感じがする。まぁ、ぎりぎり人の部類である分ダメージがあるけど.....内臓破壊とかはまずないかなぁ。


「今度はこっちの番です!」


 片手で制し、もう片方で拳を繰り出す。

 が、綺麗に解かれ回避。そのままもう一撃もらってしまった。



「っく、本当に分が悪すぎる」


 なにせ、徒手空拳なんてやってないし適当に剣を振っていただけだし。真似しようにも躱すのに精いっぱいだ。


「目はつぶるな!よく見ろ!!」

「は、はい!」


 つい、返事してしまった。

 ヴァットさんから指摘を受けてしまった。


 もういっそのことスキル乱用しまくるか。

 僕は〈観察〉〈模倣〉さらには〈機力変換〉を同時に発動しつつ、この回避行動に対して〈反復〉を服用する。


 なにがなんでも動きを盗んでやる!持久戦と行こうじゃないか!








 あれから6,7分程度経過したと思う。


「はぁあ!っし!」

「......」


 僕は目をそらさず、意識は完全にレンネさんの動きを視ることに集中させる。

 本当に少しずつだが、始め大げさに避けていたのが最低限の範囲で避けることができている。


「......」


 次第に蹴りにたいして、腕で捌くことができ始めたころ。


《ただいまの行動経験値につき〈格闘術〉を習得しました》

《ただいまの行動経験値につき〈回避〉を習得しました》

《ただいまの行動経験値につき〈情報処理〉を習得しました〉

《ただいまの行動経験値につき〈凪拳蹴撃流(仮)〉を獲得しました》

《今までの行動経験より熟練度が上昇しました》

《レベルが上がりました》



「やめ!」


 その声の元、レンネさんの動きが止まる。


「はい」


 お、終わったのか.....?



「は、はぁ.....つっかれた~」


 つい僕の体はしりもちをつき、そのまま座り込んでしまった。


 なんか、いろいろとスキルも獲得できたようだけど.....なにより目と頭がいたいな.....。頭痛が特にひどい。


「お疲れ様です、こちらお水になります。ゆっくりと呼吸と整えて、水分をしっかり確保してくださいね」

「あ、あり、ありが.....とうござい.....ます」






 ある程度呼吸を整えて、水分補給をしっかり確保する。

 眼をだいぶ休ませたからか頭痛も収まってきた。


 多分、視覚的情報を自分の力にするための情報処理が今までやってきたことのない分野だから、かなりの負担になっちゃったんだろうな。



 ゆっくり落ち着くことができ、僕の思考はレンネさんの動きについて考えるようになっていた。


 かなり蹴り技が多い印象にあるけど、重要な役割をしていたのは腕と体幹だと感じた。一撃が強い足に意識を持っていかれてしまうけど、多分レンネさんが多用しているだけな気がするんだよね。兎の獣人族だからか、脚部の威力が高い傾向にあるみたいなんだよね。


 加速に跳躍、蹴り技ときたらそう考えざるをえないよねぇ。


 だけど、その中で一撃を確実にヒットさせるためが腕と体幹だと感じる。そもそも一撃の威力が高い蹴り技だけど、回避されてしまえば大きな隙が生まれてしまい反撃されてしまう。

 だが、レンネさんはその隙すら見せていなかった。さすがは教官と思いつつその動きがこの流派の基本なのかな?



「どうやら、ここの流派の戦い方が理解できてきたようだな」

「ま、まぁなんとなくそうなのかなって感じですが」

「......実行できていたぞ?最後の捌き」

「......マジですか」



 あ、多分模倣の力なんだろうな。

 じゃなきゃ、この短時間でここまで捌くことなんて本当にずぶの素人にできるわけがないからね。



「すみません、ヴァットさん。何となくは理解したんですけどこの凪拳蹴撃流の術理ってなんでしょうか?」

「......そうだな、まずは順を追って説明するが.....とにかくミワン。お前をこの道場の入門を許可する」



《特殊クエスト・凪拳蹴撃流道場 入門試練をクリアしました》

《レベルが上がりました》

《今までの行動経験値より熟練度が上がりました》





 どうやら認めてくださったみたいだけど、入門?入会じゃなくて?ちょっとした疑問は残ってしまったが、とりあえずヴァットさんの話を聞くことにしようか。




 名前:ミワン(機人族・アモルファス★ フォルム:【ウルフ】)

 所属:〖〗

 レベル:12 SP:10

 職業:模倣者

 HP:380/380

 MP:620/620

 STR:45 【50】

 VIT:26 【15】

 AGI:48 【120】

 DEX:60 【35】

 INT:46 【5】


 AP:4

 スキル

 ・形状操作70・形状維持40・高速操作2・ストック3(人間・ウルフ・○○・○○・○○)・機力変換5・+増殖2


 ・模倣12↑・反復15↑・+情報処理2


 ・魔力感知50・魔力操作63

 ・剣術1・+格闘術9

 ・索敵25・観察25↑・同化4・不動19↑・彩色4↑・索敵4・疾走1・身体強化3↑・+回避2

 


 ・脆弱:水20

 ・言語理解2


 称号

 ・不定形・ユニーク

 ・優柔不断

 ・凪拳蹴撃流(仮)

 ・冒険ギルドK級

 ・来訪者


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