第16話 初めての道場


 街を歩き始め、ある程度時間が進んだ。

 歩いてみてやはり大きめの街であるからかいろんなところがある。屋台通りでご飯を食べたり、武器屋や服屋はてには魔道具屋などもあった。


 やっぱ適当に歩いてみるのも悪くないよね、情報収集という面もあるけど実際にこういった街をゆっくり歩く機会なんてないんだしさ。

 そんな中でようやく道場へたどり着いた。


 さて、結局ある程度の場所しか見ないでどこにどんな道場があるのかとかは確認してなかったや。フェリシアさんに申し訳ないことしてしまったな.....ま、いいか。

 とりあえず、失礼してみましょうか。


「すみません、やってますか?」


 と、戸を叩くと


 兎の耳がついている女性が現れた。

 兎ベースの獣人族なのかな?


「はい、本日は午後からですが......あれ、見ない顔ですね。入会希望ですか?」

「あ、そんな感じなんですけど.....勉強のため入会したいのですが大丈夫ですか?」

「あー、わかりました。ちょうど師範代がいらっしゃいますのでそちらへ案内いたします」



 そういうと、僕はまるで秘書のような女性の後ろについていく。


「......そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はレンネと申します。ここの道場の教官を務めております」

「あ、僕はミワンといいます。来訪者で、参加希望です」

「......来訪者さんだったのですか。珍しいですね、入会してまで参加されるなんて」

「あ、やっぱり珍しいんですかね。僕みたいな人は」

「まぁ、そうですね。来訪者の方々は生まれ持った才能をもっていらっしゃいますし、こういったところにわざわざ行くよりもレベルを上げて基礎能力を上げられる印象がありますね」


 やはり、レンネさんが言う通り僕のような人のほうは結構珍しいのだろう。少なくとも検証勢とかが調べそうなのにね.....。

 まぁ、僕は模倣のスキルレベルを上げるには道場で経験させてもらったりした方がいいと思っているから、これが一番の近道なんじゃないだろうか?


 そんなことを考えていると、奥のほうについたようだ。

 見えた先は体育館のような広い場所だった。木目や木のにおいがただよって人によってはリラックスすらできそうな感じがある。


 その場所であぐら_あれは座禅かな?を行っている人がいる。

 なんとなく、なんとなくだけどラキたちよりも強い雰囲気を感じ取れる。

 僕なんてあっさりとやられるんじゃないかな。それもそうか。


「師範代、瞑想中失礼します」

「......なんだ」

「道場入会希望の客人が来られました」

「......午後からだと言え」

「あー、それがですね。お相手が来訪者の者でして」

「......」


 レンネさんと師範代さんのやりとりを聞いていると、こちらのほうに視線を向ける師範代さん。


「.....機人族.....なのか?若干異質だな」

「あ、わかるんですね。初めましてミワンです」

「......何となくだがな。ヴァットだ、ここの師範代をやっている」

「僕は勉強のため入会を希望しております。一応、他の道場にも参加させていただけたらなとは思っておりますが、あいにく皆様の考えがまだわからないのでご教授していただけたら幸いとおもっております」

「......そうか、お前に軽く教えておこう」


 師範代のヴァットさんがいうには、この街の道場は比較的に交流が多いため複数の道場を掛け持ちすること自体は別に問題ではないらしい。ただ、基本職業や得意不得意に合わせて選ぶから、まずそんなことはしないらしい。


 まぁ、それもそうだよね。


「で、お前はどうする」

「そうですね、僕の職業は別に戦闘系の職業ではないので.....どれが得意なのか不得意なのかもわかりません。なのでそれを含め様々なところで勉強させていただけたらなと思っております」

「......いい考えだ。だが、俺たちのように一極化にするつもりか?」

「そうですね.....広く深くが希望ですが.....まず最初のめどとして基礎的なところからスキルの獲得までは目標としておきます」

「わかった」


 納得してくださった.....のかな?この人無口というわけではないけど、反応が鈍い気がしちゃうんだよな.....。


「じゃあ、入会できるんですか?入会金はどのくらいなのでしょうか?」

「......金は要らん、ただお前が入会できるかどうかはまた別の手段で決めさせてもらう」

「というのは?」

「簡単だ」



 というと、寒気を感じた。


 これはっ、背後か。


 僕はそのまま下に伏せる。



 その瞬間頭上を空を切る音がした。


「よく躱せましたね、ミワンさん」

「なんとか.....。ですが」




 どうやらレンネさんが僕を狙って蹴ってきたようだ。

 ぎりぎりだったけど.....。


 これって、もしかしなくてもですかね.....。



「ヴァットさん、これは.....。そういうことですか?」

「あぁ、簡単だ。俺かレンネと戦い、認めさせてみろ」


 そういうと、ヴァットさんのほうにも強い敵意を感じるようになった。






《特殊クエスト・凪拳蹴撃りゅうけんとげき流道場 入門試練を開始します》








 URO2日目にして格上二人と戦闘する羽目となってしまったのであった。



 .....というか、お二人とも徒手空拳ですかね。

 武器使えなさそうなのはマジっすか?

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