第13話 クエストを終えて


 ゴブリンの巣の壊滅がレベルアップの報告とともに終了したということを知らせる。僕にとって初めてのクエストだったが、無事に終えて少しホッとする。だが、課題点が少しずつ見えてきた。


 まぁ、そのことに関してはおいおい考えていくことにしていこう。

 案はあるけどゆっくり考えていたいからね.....。


 とりあえず、今はラキたちのもとへ戻ろう。


「というか、この規模で巣という扱いになるんだね。集落化したらどのぐらいの強さになるんだろうか.....。気にはなるけど一人では無理だな」



 そんなことを考えながら、戻っていくと


「お、ミワン!お疲れさん!」

「ラキ、そっちもお疲れ様」


 ラキがこちらへ駆け寄ってくる。僕らは互いに拳をぶつける。


「で、どうだったよ。今回は」

「まぁ、楽しかったよ」


 そう答えるとラキは面白そうに笑う。


「そっか!.....まぁ皆それぞれ色々と聞きたいだろうけど、ステータス開示はご法度だからな!ある程度は自重して質問してろよ?」

「そりゃそうだ、大将。だがあれはびっくりしたな」

「そうだよっ!ミワミワの姿が変わったと思ったらすごいスピードでいっちゃうんだよっ!あれってなんなの!?機人族ならできる感じ!?ほかの姿にもなれるの!?」

「こら、AHATO。詮索はしてはいけませんよ?ミワンさんもすみません、でも皆一同興味はあるので.....」

「まぁまぁ、いいじゃないですか。今回の戦闘でミワンさん自体はソロでも十分やっていけることが証明できているので、今後AHATOが個人的に誘って仲良くなれば教えてくれるんじゃないですかね?実際ラキは知ってるんだろうですし」

「よくわかったな、俺は教えてもらってるぜ」


 颯さんの推測の通り、ラキには説明してあるがそれでも僕らの中でも特異的な存在であるため囲われる危険性もあるのではということでかなり親しいものでも簡単に紹介すべきでは今のところないというところで落ち着いている。

 自分以外のユニークタイプに騒いでくれたら少しずつ紹介したほうがいいかもしれない。


「まぁ、状況が落ち着いてら僕も皆には紹介したいと思います。それまでは自己研鑽とともに自衛の手段を増やそうと思う」

「おう、それがいいと思う。みんなもそれで大丈夫か?特にAHATO」

「うん!全然大丈夫だよっ!でもラキー、なんで私だけ名指しなのー!?」

「そりゃ、ぐいぐい質問攻めするやつなんてこの中じゃお前だけだしな」

「ごめんなさい、私も否定できないわ」

「えー、ショック~」


 そんなAHATOさんの嘆きに『比翼』のみんなは笑い合い、僕はただただ苦笑するのみであった。









 ファストの街へ戻り、冒険ギルドへ向かう僕ら。

 そういえばクエスト受注とかってどうしていたんだろうか?


「ねぇ、クエストの受注とか達成報告はどうするの?」

「あぁ、受注に関してはクエストボードの紙をもって受付嬢に言えば受注できるぜ。で達成報告は記録されているからそのまま受付嬢のところへ報告するだけでOKだ」

「なろほどね、じゃあいまから受付嬢さんのところへ向かうって感じかな?」

「あぁ、そうだ。だけどパーティの場合はリーダーが受注、報告する感じだから他のみんなは換金にいったり、装備の整備をしている感じだな」


 なるほど、今のところソロでやっていくつもりだから今回はラキだけだから......。


「あ、ラキ。ついていっていい?」

「は?あぁ、そういやまだ受注も報告も一切やってなかったもんな。いいぜ、ついでに換金所のほうにも案内してやるぜ」

「助かるよ、ありがとう」



 そういうことで、僕はラキについていく形でギルドにおける大きな流れを確認させてもらった。


 クエストの受注自体はまた次回適当にやっておくけれども、報告自体はカードを通して記載されている情報と冒険者の話をすり合わせ状況を確認する。その後依頼の報酬をもらう。ちなみに組合全体として、カードが身分証であり口座でもある。これはお金をカードに保存することができるというナニソレな技術を使っており、そこからお金を引き出したり預け入れることもできる。

 普通に便利すぎるね.....。


 次に換金所についての説明を受けた。

 換金所は教会を除く組合所ならばどこでも換金することができるらしい。ただ、組合所によっては高額で取引する品目が異なる。ドロップアイテムによっては換金所を選んだ方が良いということだね。



 今回はゴブリンのドロップ品がメインで、そのほかに今まで狩ってきた魔獣のドロップ品を換金するから冒険ギルドで事足りた。

 ラキから今回のクエストの報酬の一部をもらって今の所持金は5700Gとなった。



「よし、これで一通り説明はしたな。あとは自分で知っていった方がいいだろ」

「うん、だいたいはわかったからね。あとは僕個人でやってみるよ」

「おう。.....じゃ、ミワンはこっからソロだもんな」

「うん、しばらくはそのつもりかな。種族的にも一人でやっていけそうだしね」

「まぁ、職業的にスキルが現状潤沢ではないのがネックだがな」

「うん、そこは考えがあるからダイジョブ。とりあえずは自己研鑽とともに集落についてもちょっとずつ調べていこうかなって。今回のことも含めて面白そうだと思っちゃったし」

「まぁ、ミワンならそっちのほうがいいかもな。俺らはとりあえずの資金とレベルアップも果たしたし適度に次の場所を目指そうと思う」

「そっか、じゃあラキたちとはいったんお別れだね」

「ああ。どうせまたどっかで冒険するだろ。そん時はよろしくね」

「うん、『比翼』のみんなにもよろしくね」

「あぁ、伝えておくよ」

「じゃあ」「おう」


 と、二人は拳をぶつけ


『またな』


 そうして、僕らは別れた。

『比翼』の皆には特に言わなくていいや、特にAHATOさんなんて呼び止めるに違いない。そのため、とりあえず黙っていくことにしたのだ。




 僕は次の目的地へむかうことにするのであった。


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