第12話 巣の壊滅


 ラキたちと別れ、ゴブリンの巣の奥地へ向かって駆け出していく。


 その最中、何体かゴブリンが向かってきたところにウルフのまま鍵爪で切り裂く。

 もとより、高速機動に特化させたフォルムのため人型の状態よりも速い分その速度とともに繰り出す攻撃は数値以上のダメージを引き出すことができているようだ。


「このまま、最奥まで行けそうだが.....かすっただけでもダメージがやばいね」


 ある程度のダメージは想定していた。

 もとより回避前提で機動力を確保していた分耐久力を初期状態よりも低い値に設定している。体感しているよりもダメージ量は大きいはずだ......実際の数値が見れてないからわからないんだけどね。


〈フォルム〉のおかげでステータスを形態ごとに変えられるようになったもののHPとMPはどの状態でも変わらないため、人型に戻ったとしてもHPが戻るわけではないのだ。


「さっさと移動しきって元に戻ることが適切かな、もうちょっと急ごうか!」










 奥地までむかいゴブリンたちへ向きなおす。

 っていうか、巣のはずだよね?なんでここまで大きいんだろうか......。ちょっと見積もりが甘かったのかな?

 索敵を展開してもやはり誤差があった。20後半ぐらいだと思っていたがトータルで30は少し超えるぐらいはいたようだ。


 まぁ、ラキたちが後ろで引っ張ってくれている分削れているし、ここまで来るときも少ないが倒しているからあと残っても20は切ったはずだよね?



 .....お、索敵にはゴブリンとはまた違った気配を感じる。多分さだまささんが言っていた下中級レベルだろうか。


 目の前に現れたのはゴブリンの集団だ。

 .....多分だが剣持ち_ウォーリアーとリーダーを含めた6人って感じかな?


 ウルフの状態だと回避厨にならなきゃいけないからな、元に戻ったほうが安全だよね。そう考えて僕は人型に戻る。



「さて、やっていきますか」


 剣腕に変形し、正面のゴブリンウォーリアーと相対する。が、真横から2体のゴブリンが襲い掛かる。


「うえっ、危な!」


 瞬時に足を剣に変えて右のゴブリンを蹴り斬る。

 倒れたゴブリンの方向へ退避し、奇襲を避ける。リーダーが指示を出す姿が見られる。その瞬間追撃がかかる。



「っち、やっかいでしょ」


 一度後退するか、ウルフのフォルムに変形し陣形を崩す。



 すぐさま人型に戻り、態勢を立て直す。


「統率がしっかりするとゴブリンでも1対多数は結構きついな.....」


 一対一の状況へ持ち込めたら分はありそうなんだが、それを簡単にさせてくれなさそうだ。

 最悪はラキたちがいるところまで後退し、協力を仰いだ方がいい気がする。


「.....でも、それだと面白くない.....よね」


 この状況、ラキは楽しんでやるもんね.....あ、そうだ。

 せっかくだ、ダメでもともとってことでちょっと試してみるか。


「〈機力変換〉」


 確か、自分の周囲の魔素を機力に変換させる機人族特有のスキル。これで魔力以外のエネルギーを確保して.....。


 剣腕を戻し、拳を前に出す。

 その様子をみたリーダーは気色の悪い笑みを浮かべながらゴブリンへ指示を飛ばす。

 目の前にとびかかる2体のゴブリン。


 一か八かの大博打、だがミスってもすぐに対処できる準備はする。

 基礎は今までやってきたことと変わらない。瞬間的な変形も先の戦闘で慣れてきた。その変形を頭に入れつつ、機力というエネルギーを外部に放つ。機構を変形させる。


 そして


「バァン」



 放つ。



 右拳には変形させたリボルバーがゴブリンに照準を向けられていた。



 目の前のゴブリンに風穴をあけ、そのまま直線状のリーダーにまで当たる。

 そのまま、硬直するもう一体のゴブリンには左腕の剣でなぎ倒す。



「よっし!うまくいった!」


 剣腕への変形の時点である程度は試していた。拳銃という分野。もともとサイボーグやロボットが存在する機人族のなかには重火器を取り扱うことにたけている。そのため自分もできないかやってみてはいたが自分自身の体の一部を弾丸として飛ばすということしかできず、またその威力はそこまでだった。


 だが、〈機力変換〉によって外部からエネルギーを確保することによって十分な威力で発射することができた。ただ結局自分の一部を弾丸にしているから問題点はまだあるんだけど......。


 だが、この場においては十分すぎる成果を発揮してくれた。



「これで、君だけだね」


 これで、現状僕とウォーリアーだけとなった。

 しかし先ほどの銃撃で硬直状態のままであった分隙ができていたが、接近することに警戒しつつ物陰に退避するような動きが見れる。


「逃がすか!」


 すぐにウルフへ変形し、急接近そのまま首元を噛みつく。


「グギャアアアアア!!」


 僕は喉ぼとけをかみちぎり、その痛みに苦しむウォーリアーはそのまま絶命する。




《レべルが上がりました》

《レベルが上がりました》

《レベルが上がりました》

《レベルが上がりました》

《これまでの行動により〈疾走〉を獲得しました》

《これまでの行動により〈剣術〉を獲得しました》

《これまでの行動により〈高速操作〉を獲得しました》

《今までの行動により熟練度が上昇しました》




 どうやら無事にこの巣にいたゴブリンは壊滅できたようだ。

 とりあえず、ラキたちのもとへ戻って報告をしに行こうかな。


 そうして、僕の初めてのクエストは終わり帰りは歩いてラキのもとへ向かっていった。







 現在のステータス


 名前:ミワン(機人族・アモルファス★ フォルム:【ウルフ】)

 所属:〖〗

 レベル:6→10 SP:5→25

 職業:模倣者

 HP:280/380

 MP:410/620

 STR:40 【50】

 VIT:20 【10】

 AGI:42 【100】

 DEX:52 【35】

 INT:46 【5】


 AP:2

 スキル

 ・形状操作70↑・形状維持40↑・+高速操作1・ストック3(人間・ウルフ・○○・○○・○○)・機力変換5↑


 ・模倣1・反復6↑


 ・魔力感知50↑・魔力操作63↑・索敵25↑・観察16↑・同化4↑・不動17・彩色3・索敵4↑・+疾走1

 ・+剣術1


 ・脆弱:水20

 ・言語理解2


 称号

 ・不定形・ユニーク

 ・優柔不断


 ・冒険ギルドK級

 ・来訪者


 オプション


 ※【】はフォルム:【ウルフ】のステータス

 基本は人間時のステータスとなります。

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