第11話 比翼とクエスト
冒険ギルドに無事加入することができた僕はその後ラキたちのパーティ『比翼』の人たちとともにクエストを受けることとなった。
「で、大将。今回は何のクエストを受けるんだ?」
「ま、今回は頭数が多いからな。いっそのことゴブリン退治に行こうと思う」
「ゴブリンね、前も受けたけど.....規模が変わるっていうの?」
「まぁな、話によると近くに巣が発生しているらしい。場合によっては集落化する恐れがあるらしい」
「集落化ですか......今までのパターンならまだしも、この世界での集落化は重要視されていますね」
「えっと、なんで集落化が重要視されてるんです?」
僕は疑問を颯さんに問いかける。
「あぁ、ミワンさんはまだそこまで知らなかったんですね。道中軽く説明しますね」
「あ、お願いします」
「まぁ、そこはさておきだ。その集落化を防ぐための討伐だ。前回よりも規模は大きめだと考えてくれ。いいか?」
ラキの問いかけに一同同意を得る。
「じゃあ、出発だ。戦闘時の隊列なんかは道中相談させてくれ」
「了解した。さっさと行こうぜ」
というと、一同ギルドを後にする。
依頼があった巣へ向かう道中、
僕は颯さんに先ほどの話を聞かせてもらった。
この世界において集落化というのは大きな意味を成すようだ。
確か僕たち来訪者の大きな命題として【集落の作成、発展】というモノがある。そのため魔物や生き物でも集落化することに1つの意味があるようで、今回のゴブリンの巣の討伐も意味合いが強いらしい。
集落化するとその時点で脅威が急上昇する。
巣の状態が今までのゲームで言うところのゴブリンリーダーなどの下中級位の存在がか確認されるが、集落化された時点で他の種族が混在した状態かつホブゴブリンからゴブリンキングなどの中級から上中級が確認され、危険値が上がる。
そのため、街の冒険者は侵略を防ぐため事前に巣の状態のうちに討伐することを目標としている。
「逆をいうと集落化しているところを討伐して自分の集落にしているところもあるらしいですが、その真偽が明らかとなっていない以上むやみやたらに集落化させるのは現状あまり好ましくないらしいです」
「なるほど、わかりやすい解説ありがとうございます」
「いえいえ、何もない情報からでしたらどんな情報も無駄にはできませんから」
「確かにそうですよね」
「まぁ、あそこの脳筋はあまり参考にしていないみたいですが」
と、先行するさだまささんに目線を向ける。
「あぁ?別にいいだろうが、今は強くなることが優先だろうが。実際集落を創れって言われても情報がないんだからよ」
「それはそうですが、あまり気にしてないようじゃないですか」
解説をしてくれた颯さんはさだまささんと問答を繰り返している。
というか、はんば口喧嘩みたいになっているんだけど大丈夫なのかな?
「あー、またはじまったよ。さだっちと颯んの問答」
「そうですね。そのうちラキさんが仲介すると思いますので静観しましょう」
あ、それでいいんですね.....。
「それにしても、ミワンさんはなぜ機人族にしたのですか?なにかきになるところでもあったんですか?」
「あ、そうそう!私も気になってたの!ミワミワって人族っぽいけど何が違うの?街で見る機人族って本当に機械っぽいところがあるからさ~」
と、フューさんとAHATOさんが聞いてくる。
「えっと、なんていえばいいんですかね.....。選ぶだけなのに時間がかかりすぎて結局ランダムセレクトにした結果.....って感じですね」
「えー!ランダムにしたの!?もったいない!」
「まぁまぁ、いいじゃないですか。AHATOだって、面倒くさくなったらいつも適当に選んでるでしょ?」
「そーだけどさー、なんていえばいいかなぁー。ほら選べるところがいっぱいあるから後悔しないかなーって」
「あぁ、それなら大丈夫かな.....結局いつも迷いすぎてランダムにしちゃったりするのでそれを楽しんでたりしますよ?」
「それなら、問題なかったかもしれませんね」
そんなやりとりをしていると肩に重みがかかる
「そーだぜ、こいつに関してはなんだかんだで一番楽しむやつだからな。細かいこと気にしてたら無駄無駄。俺だってたまにあやかってるぐらいだから」
「へー!ラキがそんなこと言うなんて、めっずらしー!」
「そうですね.....というか、そろそろ目的地につくころじゃないですか?そろそろあの二人を止めてきてくださいよ、リーダー」
「へいへい、ったくいつも俺の担当みたいにしやがって.....」
どうやら目的地が近いようだ。ラキはいまだに口喧嘩を繰り返している二人を仲裁しに向かっていった。
3人が戻ってきたところで戦闘時の隊列などについての相談が行われた。
基本はいつもの隊列で自分は遊撃の立ち位置で中間あたりを担当すればいいらしい。
で、いつもの隊列は
前衛にAHATOさん、さだはるさん、
中衛(ほぼ前衛)にラキが
後衛にフューさんと颯さんが担当するらしい。
「つかよ、いまんところミワンの戦闘手段がわかってないんだがよ。あんたはどうやって戦うんだ?」
「そうですね......ちょっと見せるためにもそこにいる狼でやりますか」
「......うお、いたのか。よく気が付いたな」
「まぁ、索敵は何となくですけど」
魔力感知のレベルが高いからか、近くまで接近してきた生物に対してはわかるようになってきた。
そのまま、剣腕を形成しながら横一線。なぎ倒すことに成功した。
《今までの行動から〈索敵〉を習得しました》
《レベルが上がりました》
お、ラッキー。ちょうどレベルが上がったな。その上昇したAP分を使ってさっきラキがいっていた〈機力変換〉を取得しておく。うまいこと行けば銃器への形状変化から遠距離攻撃ができるかもしれないしね。
「っと、こんな感じでやっていますね」
皆のほうへ向きなおすと、唖然とした5人の姿が見れる。
「皆さんどうしました?」
「いやいやいやいや、それどういう原理なんですか!?」
「えっと、体を武器化した瞬間そのまま斬りましたね」
「なるほどな、自分自身そのものが武器ってことか......鍛冶師泣かせな存在じゃねぇか」
「すごーいミワミワ!」
「えぇ、それにしてもそんな機人族の話は聞いたことないんですけども」
4人はそれぞれの感想をいい
ラキは......笑い転げていた。
「ひぃー、ほんと見ていて飽きないな!っつーことで、遊撃で問題ないよな、お前ら」
「あぁ、大将の意見に賛成だな。指定するよりも自由に動いていた方がうまいこと機能しそうだなこれは」
「じゃ、そういうことで頼んだぜミワン!」
「わかったよ」
そういうことで、僕らの打ち合わせも終わった。
そして、さらに進行すると少し開けた土地が目の前に見える。
さだまささんとAHATOさんが一度停止し、偵察を行う。
......こういう時、鳥になって空中で索敵するっていうのも悪くないかもね。と考えつつも一度もやったことないことを今やるのもどうかと思い、お二人に任せることにした。
一応、さっき習得した〈索敵〉を利用し巣に生息しているゴブリンたちの数を確認する。
魔力の大なり小なりさまざまだが、ざっと点として感じられるのは24前後っていう感じかな?
「どうだ、二人とも数は把握できたか?」
「ざっとだがな。数は27ってところか、多少下中級が混じっていやがるが今すぐ集落化する可能性はないとみた」
「そうだねー、罠の類も確認できないし......正面突破でも問題ないねー」
「......了解。じゃあ正面突破といきますか」
そういうと、ラキは後方へ合図をだす。
相変わらず正々堂々正面突破を好んで戦うよねぇ。
「ん、じゃ行きますか」
「後ろは任せてください」
「僕は適当にやっておけばいいんだよね」
「おう、好きに戦ってくれ」
「了解」
そう言うと、僕は一足先に.....駆け抜ける。
「はやっ!.....ミワミワの恰好なんか変わってない!?」
「......確かになんだか変形?しているな」
自分自身の体を大きく変形させる。
迅速に退路を防ぐためにみんなとは別方向の裏手へ回る。
この道中に差し掛かる前に事前に準備しておいたものだ。
「形状変化、フォルム:ウルフ」
ストックに設定しておいた狼の姿、今回は彩色なしステータスもVITとINTを捨てたAGI、STR特化のフォルムで高速で駆け抜ける。
道すがらに妨害するゴブリンを引き裂き、噛みつきそのまま奥まで進んでいく。
「いや、あいつ面白いことしてんな。スピードなら完全にあっちのほうが上かよ。俺よりもレベル低いのにどういう構築してんだか」
「おそらくアジリティ特化のステータスなのでしょう.....ですが、あの変形は先ほど見せた戦闘とは大きく乖離しますね.....興味があります」
「まぁ、そこはオフレコといこうか。よっしゃ俺らもやりますか!」
『おう!!』
ラキたちも戦闘態勢に入るようだ。
僕はそれを尻目に、奥のほうへ突き進んでいく。
名前:ミワン(機人族・アモルファス★ フォルム:【ウルフ】)
所属:〖〗
レベル:5→6 SP:5
職業:模倣者
HP:200/200
MP:350/550
STR:40 【50】
VIT:20 【10】
AGI:42 【100】
DEX:52 【35】
INT:46 【5】
AP:2
スキル
・形状操作59・形状維持36・ストック2(人間・ウルフ・○○・○○)・+機力変換2
・模倣1・反復4
・魔力感知47・魔力操作58・索敵21・観察12・同化3・不動17・彩色3・+索敵1
・脆弱:水20
・言語理解2
称号
・不定形・ユニーク
・優柔不断
・冒険ギルドK級
・来訪者
オプション
※【】はフォルム変化時のステータス
基本は人間時のステータスとなります。
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