第6話 さっさと決めよう


 えっと、機人族だって。

 確か、魔法技術が乏しい代わりに化学分野に特化している種族だったよね。

 しかもフォルムは完全ランダムというなにこれな種族。でもあれだよねロボットならかなりのSTRを持っていたり、サイボーグなら人族と機械の融合で、アンドロイドなら人型の機械なんだっけ?


 で、僕のアモルファスってなに?確か不定形のことだよね?

 しかも★ついてるし。


「レシーさん、この★ってなんなのですか?」

「あ、おめでとうございます。そちらはタイプ:ユニークですね。種族内でベースをランダム選択される種族には各種特殊なものを用意しております。こちらは精霊が選ばれるよりも超超低確率の希少なものです。ちなみに現状アモルファスになった機人族はミワン様のみのようですね」

「あ、そうなんだ......。そんなことあります?」

「まぁ、あるんです。ほかでも出ておりますので」


 なんか、精霊が出たらすごいんだと思っていたけどランダムから希少タイプがあるっていうのもすごいね。

 で、アモルファスの詳細は?


「ちなみにタイプ:アモルファスについてですが、こちらは......少々扱いに困るといいますか何と言いますか......。まず、最大の特徴なのは形が定まっていないというところにあります。様々な形状を取ることができるので、いろんなことができます。また、武器なども自分自身を利用することで用意する必要もなかったりします。

 しかし、欠点として形を維持することと、その操作の技術が高いところにあります。機人族全般は魔法を使うというよりも化学を扱うことに秀でておりますのであまり魔力という概念がないのが大きなところなのですが、アモルファスに限ってはその例外で魔力で補うところもあります。ただ機人族の特性は残ったままですのでその矛盾が発生し種族内でも中途半端な個体となります」

「つまり、メリットは形状を変化することで人の形をすることもできれば魔獣やその他生物の形を取ることができる。その反面デメリットとしてそれを行うことに魔力を必要となる部分があるものの機人族の特性上難しいという点。ですか......本当に扱いに困りますね、これ」

「はい」



 はい、じゃないよねぇぇぇ!

 相当矛盾が孕むタイプってなんだよ。どうやってやりゃあいいっていうんだ!


「ですので、それを加味してステータスをお決めになられた方がよろしいかと」

「まぁそうですよね......そういえば、いろんな姿に慣れるって言いましたけれども生物上速度の速い種族と遅い種族などでステータスの変動があるんでしょうか?」

「......確かにそうですね。今回の事例が初めてでしたので、気づきませんでした」

「おい!」

「少々お待ちください、こちらのほうで確認いたします」

「頼みますよ」

「その間にステータス等をお決めくださると助かります。お詫びといっては何ですが今回の返答次第によっては一度だけ変更できるように調整させていただきます。」

「それは助かります、では僕も考えてみます」



 というと、レシーさんは作業に入った。


 さて、僕も考えていきましょうかね。

 職業は何があるんだろうか、一応人類種に相当するから職業は選べるみたいなんだけど......。いろんなことができるって言われると何しようかわからなくなるよね?

 しかも職業の種類も多すぎるし、これじゃ選びきれないよぉ。


「_ン様、ミワン様」

「は、はい?」

「お待たせいたしました。先ほどの回答なのですが、ステータス上の変更が発生するものの基本ステータスは変わらずSPが再度振り分けとなります。そして、今回のお詫びとしてまだ選択中でしたので特別処理といたしまして〈フォルム〉というスキルを付けさせていただきます」

「〈フォルム〉ですか」

「はい、運営側からその時々で振り分けるとどういったことになるかがわからない関係上、事前に形状変化した状態を記憶させ、そのステータスを記録としてストックさせるというものです。スキルレベルにつき2種類のフォルムを登録できるようにしてあります。詳しくは後程ご確認ください」

「わ、わかりました。あ、ちょうどよかった。ちょっと相談に乗ってほしくて」

「?はい、いかがなさいましたか?」

「あのですね、先に職業を決めてから割り振ろうと思ったんですけど何がいいかわからなくて。ほら、いろんなことができるって言われると何にしようかって......」

「......たしかにそうですね、ミワン様は種族をお選びになる際もかなりお時間使って考えた結果、結局ランダムにされましたね」

「......うぐ」



 そうなんです、実は種族考えるときだって長考してレシーさんに40分経ってるんですけどとか言われちゃったぐらい優柔不断なのであった。


「さすがに種族数よりもさらに膨大な数の職業から1つとなると2時間ぐらいかかりそうですね......。でしたら、わたくしから優柔不断なミワン様に良いと思われる職業を選ばせていただきます」

「そのほうがいいです......。お願いします」


 絶対そのほうがいいって......。


「では、決めやすいように3択から出させていただきます」

「は、早いですね」

「AIですから、ではまず【武芸者】こちらはありとあらゆる武術を扱いやすくなれるというものですね。戦闘系スキルの獲得、成長が大きいかと思われます。2つ目は【模倣者】ですね。こちらは特殊なのですが、技術を見たり、学んだりするとスキルを獲得できるという職業です。時間が通常よりもかなり要するものですが大抵のスキルは獲得できますしその後の転職の種類も多いです。最後は【無職】ですね。これは恩恵そのものはございませんが......。成長すればいろいろできます。はい」

「いや、最後!雑にもほどがありませんかね!?」

「まぁ、ニートですから......。で、どれにしますか?」



 うーん、特に何がしたいっていうところがまだ定まってないんだよね。

 って考えるといろんなことができるっていうところに対応できるようにした方がいいよね?


「じゃあ、【模倣者】にします」

「かしこまりました、では再度設定のほどよろしくお願いします。スキルなんかは種族や職業からおすすめが出せるようにピックアップしておきますね」

「あの、なにからなにまでありがとうございます」


 AIに心配される僕って、とほほ。


 職業欄のところを【模倣者】に設定すると

《スキル〈模倣〉〈反復〉を獲得しました》

 と頭に響く。


 そして、いろいろと設定してとりあえずこんな感じになった。




 名前:ミワン(機人族・アモルファス★)

 所属:〖〗

 レベル:0 SP:0

 職業:模倣者

 HP:100/100

 MP:50/50

 STR:22

 VIT:15

 AGI:35

 DEX:50

 INT:40


 AP:0

 スキル

 ・形状操作3・形状維持5・ストック2


 ・模倣1・反復1


 ・魔力感知1・魔力操作3・索敵1


 ・脆弱:水20

 ・言語理解1


 称号

 ・不定形・ユニーク

 ・優柔不断

 ・来訪者


 オプション




「では、ようやく決まったところでお待たせいたしました。それではUROの世界へ行ってらっしゃいませ」


 そして目の前が暗転する。

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